投稿日: 2019.09.13 | 最終更新日: 2023.04.10

バターコーヒーダイエットに効果はある?やり方と注意点を解説

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バターコーヒー

バターコーヒーは2015年に出版された書籍から一時ブームにもなった食事法の一種です。

バターコーヒーダイエットの詳細とそのダイエット効果、注意したいポイントと健康に配慮しながらダイエットに活かす方法について紹介します。

バターコーヒーダイエットとは

MCTオイル

バターコーヒーダイエットはアメリカ・シリコンバレーのIT企業家のデイヴ・アスプリー氏が考案し、自身の著書で紹介した食事法です。
著書の中でバターコーヒーについて、「飢えと欲求を打ち負かし、新たなエネルギー源で脳をぱっと目覚めさせ、体重を減らし、筋肉をつけ、集中力とパフォーマンスを高めてくれる」と紹介しているそうです。*1)

バターコーヒーダイエットのやり方・作り方

バターコーヒーは、コーヒーにグラスフェッドバター、MCTオイルを加えて作られます。

グラスフェッドバターとは、牧草肥育牛の乳から作った無塩バターのこと。
MCTオイルはココナッツオイルを原料とした「中鎖脂肪酸」に富んだオイルです。

  • コーヒー 2杯
  • グラスフェッドバター 15~30g
  • MCTオイル 15~30ml(12~24g)

バターコーヒーの作り方は、コーヒーにバターとオイルを加え、乳化するまでミキサーやブレンダーで攪拌して完成です。

このバターコーヒーを朝食の代わりにとる、というのがバターコーヒーダイエットの一般的な方法となります。

バターコーヒーのカロリー

原料から栄養価計算をすると、バターコーヒー1杯のカロリーは115~220kcalとなります。
コーヒーに加えるバターやオイルの量が多いほどカロリーは高くなります。

バターコーヒー専門店では1杯のエネルギーは250kcal程度と紹介されており、作り方や作る量によって多少違いがあるようです。

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バターコーヒーのダイエット効果

ゼロカロリーのコーヒー

バターコーヒーを取り入れることでダイエットができるといわれていますが、その効果はどこから来るものなのでしょうか?

バターコーヒーの栄養的な特徴から解説します。

本質は摂取カロリーの減少

ダイエットの原則は「摂取エネルギーを消費エネルギーより少ない状態にすること」。
体脂肪は摂取エネルギーが不足する状態で消費されていくため、消費エネルギーを増やすか、摂取エネルギーを減らすことが必要です。

バターコーヒーを取り入れることによって「やせた」ということは、バターコーヒーを飲むことで摂取エネルギーを少なくしたり、消費エネルギーを増やしたりする何らかのメカニズムがあるようです。

体脂肪を減らすためのダイエットとカロリーについて詳しく解説した記事はこちら

空腹感の軽減

バターコーヒーダイエットを実践した人の感想をみると、バターコーヒーは「腹持ちが良く空腹感を感じにくくなる」といわれています。
空腹感を感じにくくなることにより食事量が減ると、摂取エネルギーを抑えることができ、ダイエット効果が得られます。

バターコーヒーは原則として朝食の代わりとして飲むため、以下のポイントでダイエットの作用があります。

  • 朝食の置き換えによる摂取カロリーの減少
  • 朝食以後の食事摂取量の減少による摂取カロリーの減少

もちろん、食事内容は個人によって異なるため、ダイエット開始前の食事内容や、バターコーヒーを取り入れることでどの程度食事量が減ったかといった違いによって得られるダイエット効果には差が生じることが予想されます。

摂取カロリーの減少幅が大きければ大きなダイエット効果が得られますが、あまり変わらなかった、かえって摂取カロリーが増えてしまったという場合には、ダイエット効果は得られないということも考えられます。

カフェインの基礎代謝上昇効果

バターコーヒーならではというものではありませんが、コーヒーに含まれるカフェインには体温を上げたり、心拍数を上げるなどの基礎代謝(運動を行わなくても消費するカロリーのこと)を上げるような働きがあることが知られています。

実際に、1日3杯のコーヒーを摂取することで基礎代謝が12%ほど増加した*2)という研究報告もあり、コーヒーの摂取がダイエットによいのでは?と期待されています。

しかし、別の研究では、体重増加抑制効果があると認められたのはBMI30以上の女性のグループのみで、12年間でおよそ1.9㎏の体重の増加が抑えられた*3)、という内容だったそうで、男性や標準的なBMIの人では体重の変化は見られなかったとのこと。

カフェインやコーヒーには基礎代謝を上げる効果は認められるものの、「コーヒーを飲むだけで」「数か月間のような短期間で」また、「何㎏もの体重が目に見えて減る」といったような効果はあるとは言えないようです。

メカニズムとしては消費カロリーを増やす作用はあるようですが、実際の効果としてはあまり大きいものではなさそうです。

グラスフェッドバターのダイエット効果

バターコーヒーの材料の一部である「グラスフェッドバター」は通常のバターとは異なるもので、これがダイエットに良いとする説もありますが、これは間違いです。

グラスフェッドバターは原料の生乳を出す乳牛の飼育方法が特別、というもので、(ビタミンなどの微量栄養素が異なるといわれていますが)ダイエットに効果的な成分が入っているかどうかは明らかにはなっていません。

MCTオイルのダイエット効果

MCTオイルとは「中鎖脂肪酸」のことで、通常の油脂に多い長鎖脂肪酸に比べてエネルギー代謝されやすい油として知られています。

普段使用している油脂と置き換えて使用することで体脂肪の低減に役立つといわれていますので、ほかの食事で油脂分を減らしてバターコーヒーでMCTオイルを取り入れた場合には、体脂肪の低減作用によるダイエット効果が得られるかもしれません。

一方、「置き換え」ではなく「単にプラス」した場合には摂取エネルギーを増やすことにつながるため、摂取するほどやせる油というわけではないことに注意が必要です。

バターコーヒーダイエットの注意点

バターコーヒーをダイエットに取り入れるにあたって気を付けたいのが、「ただただ飲めばいいというわけではない」ということ。

取り入れ方を誤るとダイエットに逆効果であるばかりか、健康面でも悪影響を及ぼしかねないので、注意しながら活用したいですね。

摂取カロリーの過剰摂取

バターコーヒーは分量にもよりますが、1杯115~250kcalといわれており、ゼロカロリーの食品ではありません。

そのため、たくさん飲めば飲むほど痩せるというものではなく、取りすぎは摂取カロリーの過剰にもつながります。
いつもの食事にプラスするだけだとバターコーヒー分の摂取カロリーが上乗せされてしまいますので注意しましょう。

朝食と置き換える場合も、バターコーヒーを取り入れることで結果的に摂取カロリーが少なくなるように取り入れたいところです。

■朝食の使用頻度が高い食材とそのカロリー(参考)

  • 白米ごはん(茶碗1杯180g) 281kcal
  • 食パン(6枚切り1枚60g) 149kcal
  • ロールパン(市販2個60g) 185g
  • たまご(1個) 71kcal

脂質の過剰摂取

バターコーヒーは1杯あたり15~30g近い脂質を含み、ほかの炭水化物、たんぱく質はほとんど含まれない食品です。
そのため、1日の食事に占める割合が多くなりすぎると、脂質の過剰摂取が心配されます。

脂質そのものは体に必須の栄養素ではありますが、適正量を超えてとりすぎると脂質異常症のリスクを高めることが知られています。
また、バターコーヒーダイエットでは極端な食事量の制限や糖質制限が併用されることもあり、栄養バランスが偏りやすいことが懸念されます。

脂肪分たっぷりのバターコーヒーを飲み、そのほかの食事を極端に減らす食事法は健康面からいえば毎日のような頻度で、また何か月もの長期では実施すべきではありません。

カフェインの摂取過剰

カフェインを含むコーヒーの過剰摂取は体に害を及ぼすことが知られています。
具体的には、胃痛・嘔吐などの消化器症状、不安・興奮などの神経症状、心臓の期外収縮(不整脈の一種)などが知られています。

健康障害を避けるための日本での明確な摂取量の目安は定められていませんが、カナダ保健省では健康な成人でカフェイン400㎎/日(180mlのドリップコーヒー4杯程度)をひとつの基準としています。

通常の範囲を超えるような量を摂取するのは避けるほか、カフェインへの耐性は個人差が大きいので、自分に合った量を見極めることも必要です。

バターコーヒーをダイエットに活かすには

ダイエットにも使えると話題のコーヒー

バターコーヒーがダイエットに効果的、とする口コミは多いものの、取り入れ方には注意が必要といえます。

バターコーヒーを取り入れながらダイエットを成功させるには、以下のような点を意識するとよいでしょう。

  • 食事全体のカロリーを調整する
  • 食事バランスの偏りに注意する
  • カフェインの過剰摂取に注意する

それぞれについて解説します。

食事全体のカロリーを調整する

バターコーヒーは「飲むだけで痩せる」といったものではないため、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを意識する必要があります。

運動による消費カロリーの増減がないと仮定した場合、

  • バターコーヒーのカロリー(115~250kcal/杯)の増加
  • それ以外の食事の減少によるカロリーの減少

以上の要素を加味して、摂取カロリーがダイエット以前よりも少なくなるようにしましょう。

食事バランスの偏りに注意する

バターコーヒーは脂質に偏った食品であるため、長期的な健康リスクを考慮すると、ほかの食事では脂質は控えめにするとよいでしょう。

糖質制限が併用されることもありますが、糖質制限の食事では脂質の摂取割合がさらに大きくなるため、脂質異常症予防の観点からは推奨されません。

カフェインの過剰摂取に注意する

コーヒーに含まれるカフェインは頭をすっきりさせてくれる一方で、取りすぎは体への負担となりえます。

バターコーヒー1杯ではカフェインの過剰摂取の心配はあまり大きくはありませんが、1日に何杯も飲んだり、濃く抽出しすぎることには注意しましょう。

まとめ

バターコーヒーはコーヒーにバターとMCTオイルを加えたもので、空腹感の軽減によりダイエットに役立つようです。
ただし、バターコーヒーにもカロリーがあること、ほかの食事を減らす必要があることからも、朝に飲んで昼食のボリュームを減らしたり、間食をとらないようにしたり、といった方法がおすすめです。

また、世の中のダイエット方法の多くは、「摂取エネルギーを減らす」方向のものが多いですが、食事の制限だけでなく、運動によって消費エネルギーを増やすのも大事な方法のひとつです。
二つを組み合わせることでそれぞれの負担が軽くなるので、食事の管理と運動を上手に組み合わせたダイエットがおすすめです。

バターコーヒーに関しては、適切な食事と適度な運動を心掛けたうえで、無理のない範囲で取り入れるのがよさそうです。

グラスフェッドバター ニュージーランド産 ポンドバター フォンテラ 無塩 454g

体脂肪を減らすためのダイエットとカロリーについて詳しく解説した記事はこちら

参考文献

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(コーヒー、カフェインについて)

青山 敏明.中鎖脂肪酸の栄養学的研究. オレオサイエンス3巻8号(2003)

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

最強のバターコーヒー:「よくある質問」

*1)日経Gooday 30+:朝食に「バター入りコーヒー」 その真意を語ろう『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』の著者に聞く(2

*2)Acheson KJ, Zahorska-Markiewicz B, Pittet P, Anantharaman K, Jéquier E. Caffeine and coffee: their influence on metabolic rate and substrate utilization in normal weight and obese individuals. Am J Clin Nutr. 1980 May;33(5):989-97.

*3)Lopez-Garcia E, van Dam RM, Rajpathak S, Willett WC, Manson JE, Hu FB. Changes in caffeine intake and long-term weight change in men and women. Am J Clin Nutr. 2006 Mar;83(3):674-80.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。