投稿日: 2022.07.01 | 最終更新日: 2023.08.08

熱中症対策は食事から!熱中症予防にいい食べ物・食事のポイントを紹介

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そうめん

近年の夏の暑さは厳しく、毎日のように熱中症で救急搬送されるニュースが流れています。
屋外で活動する人以外にも、室内にいても熱中症になることも。
死亡のリスクもある熱中症を、毎日の生活の中で予防するポイントを解説します。

熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境に対応できずに起こる様々な症状のことを指します。

熱中症では、

  • 発汗で体内の水分が失われる
  • 発汗で体内の塩分が失われる
  • 体温が上がって下がらなくなる

主にこの3つによって体に影響が起こります。

水分不足

汗をかいたり水分補給が不十分だったりして、体内の水分が不足すると、血液の水分量が減ってしまい、脳へ十分に血液がいきわたらなくなります。
そのため、めまいや頭痛、重症では意識障害などが起こることがあります。
また、脱水の状態では汗になる水分が不足しているため、汗をかけずに体温が下げられず、熱中症が悪化してしまうこともあります。

塩分(ミネラル)不足

汗は水分以外にナトリウム(塩分)やカリウムなどのミネラルが含まれています。
汗によって塩分を失い、体内の塩分のバランスが崩れると、脚の筋肉などがつったり、痙攣をおこしたりといった症状が出ることがあります。

また、汗をかいた後に水だけを補給すると体内の塩分濃度が低くなってしまいます。
体は塩分濃度を元に戻すために水分を排出しようとするので、水の補給だけでは脱水症状になってしまうこともあります。

体温が下がらなくなる

風邪などのときの体温の上昇は、ウイルスなどから体を守る反応ですが、熱中症で起こる体温の上昇は全く別の反応です。
高温の環境で、人の体は体温を平熱に保つために汗をかきます。
汗の水分が蒸発するときに体から熱を奪っていくと体温を下げることができますが、体内の水分が少なく汗をかけない状態、または湿度が高く汗の水分が蒸発しにくい状態だとなかなか体温を下げることができません。
体温が高い状態が続くと体内の臓器や細胞が障害され、重症では多臓器不全となって死亡する恐れもあります。

熱中症のなりやすさは人によって異なる

また、同じ環境にいても人によって熱中症になりやすい度合いが違います。
熱中症になりやすいのは乳幼児や高齢者、暑さに慣れていない人や汗をかきにくい人など、気温の変化に対応しにくい人と言えるでしょう。

屋外での活動が多い人はもちろん、普段は室内で過ごすことが多い人にも熱中症のリスクはあります。
むしろ、暑さに慣れていないぶん、外に出たときのリスクは高いともいえるので、十分に気を付けていただきたいと思います。

熱中症の予防策

水を飲む女性

熱中症にならないようにするには、普段から熱中症になりにくい体と習慣を作るのが大事です。
ポイントごとに予防策を紹介します。

睡眠をとり疲労をためない

睡眠不足は体温調節機能に悪影響を及ぼし、熱中症のリスクを上げてしまいます。
就寝時間が十分でも、寝ている間に眠りが浅くなってしまうと疲れが取れないということもありますので、快適な環境で眠りにつくのも重要です。

なるべく体温を下げる

体は体温を下げるために汗をかきますが、高温多湿の環境では汗が蒸発せず体温が下がらなくなってしまいます。
汗をかいたときは乾いたタオルなどよりも、水分やアルコールなどが入ったボディシートがおすすめです。
適度に水分とアルコールが含まれていて揮発しやすく、体温を下げやすい利点があります。

また、屋外が暑い日中は無理をせず冷房のきいた室内にいることも大事です。
水分補給をいくらしていても、外気温が高く体温が下がらなければ熱中症になる可能性は十分にあります。

水分・塩分の補給をする

私たちの体は夏場でなくとも毎日2.5リットルの水分を失っています。
体内で作られる水が0.3リットル、通常の食事からは1リットル程度を摂取しています。
それ以外の飲み物として毎日1.2リットルが必要とされ、夏場は発汗量に応じてこれ以上の水分補給が必要です。

特に睡眠時や入浴時は汗をかいて脱水状態になりやすく、寝る前と朝の起床時、入浴前後には水分補給をしましょう。
ポイントはのどが渇く前に飲むことです。
こまめに飲むことで、脱水症状を未然に防げます。

また、ミネラル不足を防ぐための塩分補給にも気を付けましょう。

汗に含まれるミネラルはナトリウム(塩分)やカリウムです。
水分と一緒にミネラルを補給することで体内の水分も吸収されやすくなります。

熱中症予防のために食べ物でできる対策

夏野菜

食事面での熱中症対策は、暑さに負けない体を作ること。
とはいえ、具体的にはどのような点に気を付けるべきかをまとめました。

  • 欠食をしない
  • バランスの良い食事を心掛ける
  • 梅干し、スイカなどに熱中症予防効果を期待しすぎない
  • 飲み物は状況によって使い分ける

それぞれ詳しく解説します。

欠食をしない

食事を抜くと1日の活動に必要なエネルギーが不足しやすくなり、体力の減退につながります。

また、1日3回の食事は水分の摂取源としても重要で、1日に経口摂取する水分2.2リットルのうち1.0リットルは食事から摂取しているとされています。

食事を抜くとそこから摂取できるはずだった水分が不足してしまうばかりでなく、体に必要なエネルギーも補給されないため、体力が十分にない、熱中症のリスクが高い状態になってしまいます。

食欲の落ちがちな夏場ですが、食べやすい食事になるよう工夫し、水分およびエネルギーが不足しないよう、1日3回の食事は欠かさないようにしましょう。

バランスの良い食事を心掛ける

1日3回の食事を抜かないよう、まずは何かしら口に入れることが大事ですが、可能であればバランスの良い食事を心掛けるとよいでしょう。

夏場は食欲がわきにくく、「食べやすい麺類ばかり」「冷たいものばかり」など、偏った食事になりがちです。

麺類などの主食(炭水化物)に偏った食事では、エネルギーは取れるものの主菜に含まれるたんぱく質や副菜に含まれるビタミン・ミネラルが不足しやすく、長期的な体力の維持や健康維持には不十分です。

冷たいものばかり食べるのも消化管に負担をかけるため、体調不良の原因になり、熱中症のリスクを上げることが考えられます。

主食だけでなく肉・魚・たまごなどを使った主菜、野菜をたっぷり使った副菜、乳製品、果物などをバランスよく取れるようにできると理想的です。

タンパク質とビタミンB群をとる

豚肉や玄米、ナッツや納豆などに含まれるビタミンB群は糖質や脂質をエネルギーに変換する働きをもち、しっかりとることで暑さにバテない体につながります。
また、肉や魚、卵などに豊富なタンパク質は筋肉量を保つのに役立ち、疲れにくい体のもとになります。

ビタミンB群が直接的に熱中症予防につながるわけではありませんが、バランスのとれた食事の一環として、これらの食品を食事に取り入れてみてくださいね。

脂質の少ない食品で胃腸の負担を抑える

腸が弱っているときには、消化が悪く胃腸に負担をかける脂っこい食品は避けたほうが無難です。

食欲の落ちているときは脂の少ない鶏のささみや白身魚が食べやすくおすすめです。

香味野菜と香辛料で食べやすくする

暑さで食欲が落ちてしまうという人も少なくありませんが、十分に食事がとれていないと体力が落ち、熱中症リスクが高まります。

酸味のある調味料や生姜やシソなどの香味野菜、カレー粉などの香辛料も食欲を増してくれるので取り入れたいですね。

梅干し、スイカなどに熱中症予防効果を期待しすぎない

熱中症予防や夏バテ防止によく取り上げられる食材に「梅干し」や「スイカ」がありますが、これらの食品に特別に熱中症を予防する成分が含まれているわけではありません。

梅干しは塩分を含む食品のひとつであり、また、スイカは水分を多く含む食品であることから、食事に適量を取り入れることで熱中症予防に役立つ面があります。

水分補給をする場面では水だけではなく梅干しのような塩分を含む食品を合わせることで水分と塩分の両方をとることができます。
とはいえ、体内で理想的な塩分濃度になるよう食べ合わせるのは容易ではないので、効率的な水分補給を目的とするのであればあらかじめ適切な塩分濃度に設定されたスポーツドリンク等を飲むほうが効果的です。

同様に、スイカも水分とカリウムなどのミネラルを含みますが、塩分は含まれていません。
塩をかけて食べる場合もありますが、これも水と梅干同様に理想的な塩分濃度になるわけではありません。

梅干しやスイカを食べれば熱中症対策は大丈夫、ということはありません。
塩分をとれる食材、水分がとれる食材のひとつとして食事全体のバランスを見ながら取り入れるのがよさそうです。

スイカの栄養価と熱中症予防効果について解説した記事はこちら

飲み物は状況によって使い分ける

夏場においしい飲み物はたくさんありますが、熱中症予防の観点では、その状況に応じて選ぶことが重要です。

熱中症リスクの高くない涼しい場所では水や麦茶などのノンカフェインの飲み物で十分ですが、汗をかく場所ではスポーツドリンク、脱水症状がみられるときには経口補水液がおすすめです。

砂糖類を多く含むソフトドリンク、カフェインを含む飲料、アルコール類は水分補給に適さないので避けるようにしましょう。

熱中症対策と水分補給に適した飲み物について詳しく解説した記事はこちら

いつもの生活に熱中症予防対策をプラス

ここまでのポイントをまとめて、1日の生活の中でできる熱中症対策ポイントを紹介します。
ぜひ、できそうなことから実践して暑さに負けない体と習慣を作ってくださいね。

朝にできる工夫

卵サンド

寝起きは体の水分が失われているのでコップ1杯の水を飲みましょう。
朝ごはんは糖質とたんぱく質が両方とれる納豆ご飯や卵サンドなどがおすすめ。
水分とカリウムを豊富に含む野菜サラダや野菜のお味噌汁、キウイなどの果物を加えられたら完璧です!
出かけるときの服装は風通しの良いものにしましょう。

日中にできる工夫

冷やし中華

いつでも水分補給ができるように飲み物を携帯しましょう。
オフィス勤務ならお茶やミネラルウォーター、外に出る機会があるならスポーツドリンクがおすすめです。
のどの渇きを感じる前に、こまめに飲むのがポイントです。

日中は暑いので、お昼ご飯は冷たい食事でもいいですね。
ざるそばなどのシンプルな麺類だと、タンパク質とビタミンが不足して夏バテになりやすくなるため、同じ麺類なら具材のたっぷり入った冷やし中華がおすすめ。
コンビニならチキンやサラダを足すのも手軽にバランスが整えられます。
肉・魚のメインおかずと野菜のサブおかずのある定食メニューが理想的です。

日中の暑さは厳しいので、無理をせず涼しい室内にいることも大事です。

夜にできる工夫

水を飲む女性

昼食に冷たい食事を食べたなら、夜は温かいものを食べて胃腸の負担を減らしましょう。
野菜は炒め物やスープにするとかさが減ってたくさん食べられます。
わかめなどの海藻類もカリウムが豊富で取り入れたい食材です。
脱水状態の予防のため、お酒を飲むときは水と交互に飲むようにしましょう。

お風呂に入る前と後、寝る前にそれぞれコップ1杯の水を飲みましょう。
寝るときはお部屋をしっかり冷やしてから寝ると、暑さによる寝苦しさを抑えられます。
クーラーの風が当たりっぱなしだと風邪をひく原因にもなりますので注意してくださいね。

まとめ

熱中症の予防には、日々の小さなポイントの積み重ねが重要なようです。

ひとつひとつのポイントは簡単なので、ぜひできるところから取り入れてみてください。
暑さに負けない体を作って、厳しい夏を乗り切りましょう!

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参考文献

厚生労働省:「熱中症予防のために」

公益社団法人 全日本病院協会 みんなの医療ガイド:「熱中症について」

一般財団法人 日本気象協会 熱中症ゼロへ:「熱中症の発熱と風邪の発熱のメカニズムの違い」

環境省熱中症予防情報サイト:「熱中症はどのようにして起こるのか」

環境省 熱中症予防 声かけプロジェクト:「働いているときの注意」

環境省 熱中症予防 声かけプロジェクト:「栄養をとろう」

厚生労働省:「健康のため水を飲もう」推進運動

厚生労働省e-ヘルスネット:「嗜好飲料(アルコール飲料を除く)」

教えて!「かくれ脱水」委員会:「夏バテしないために!知っておきたい情報Q&A」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。