投稿日: 2022.07.01

熱中症対策は食事から!熱中症予防にいい飲み物・食べ物を紹介

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熱中症対策の飲み物と食べ物

近年の夏の暑さは厳しく、毎日のように熱中症で救急搬送されるニュースが流れています。
屋外で活動する人以外にも、室内にいても熱中症になることも。
死亡のリスクもある熱中症を、毎日の生活の中で予防するポイントを解説します。

熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境に対応できずに起こる様々な症状のことを指します。

熱中症では、

  • 発汗で体内の水分が失われる
  • 発汗で体内の塩分が失われる
  • 体温が上がって下がらなくなる

主にこの3つによって体に影響が起こります。

水分不足

汗をかいたり水分補給が不十分だったりして、体内の水分が不足すると、血液の水分量が減ってしまい、脳へ十分に血液がいきわたらなくなります。
そのため、めまいや頭痛、重症では意識障害などが起こることがあります。
また、脱水の状態では汗になる水分が不足しているため、汗をかけずに体温が下げられず、熱中症が悪化してしまうこともあります。

塩分(ミネラル)不足

汗は水分以外にナトリウム(塩分)やカリウムなどのミネラルが含まれています。
汗によって塩分を失い、体内の塩分のバランスが崩れると、脚の筋肉などがつったり、痙攣をおこしたりといった症状が出ることがあります。

また、汗をかいた後に水だけを補給すると体内の塩分濃度が低くなってしまいます。
体は塩分濃度を元に戻すために水分を排出しようとするので、水の補給だけでは脱水症状になってしまうこともあります。

体温が下がらなくなる

風邪などのときの体温の上昇は、ウイルスなどから体を守る反応ですが、熱中症で起こる体温の上昇は全く別の反応です。
高温の環境で、人の体は体温を平熱に保つために汗をかきます。
汗の水分が蒸発するときに体から熱を奪っていくと体温を下げることができますが、体内の水分が少なく汗をかけない状態、または湿度が高く汗の水分が蒸発しにくい状態だとなかなか体温を下げることができません。
体温が高い状態が続くと体内の臓器や細胞が障害され、重症では多臓器不全となって死亡する恐れもあります。

熱中症のなりやすさは人によって異なる

また、同じ環境にいても人によって熱中症になりやすい度合いが違います。
熱中症になりやすいのは乳幼児や高齢者、暑さに慣れていない人や汗をかきにくい人など、気温の変化に対応しにくい人と言えるでしょう。

屋外での活動が多い人はもちろん、普段は室内で過ごすことが多い人にも熱中症のリスクはあります。
むしろ、暑さに慣れていないぶん、外に出たときのリスクは高いともいえるので、十分に気を付けていただきたいと思います。

熱中症の予防策

水を飲む女性

熱中症にならないようにするには、普段から熱中症になりにくい体と習慣を作るのが大事です。
ポイントごとに予防策を紹介します。

疲労を回復する睡眠

睡眠不足は体温調節機能に悪影響を及ぼし、熱中症のリスクを上げてしまいます。
就寝時間が十分でも、寝ている間に眠りが浅くなってしまうと疲れが取れないということもありますので、快適な環境で眠りにつくのも重要です。

なるべく体温を下げる

体は体温を下げるために汗をかきますが、高温多湿の環境では汗が蒸発せず体温が下がらなくなってしまいます。
汗をかいたときは乾いたタオルなどよりも、水分やアルコールなどが入ったボディシートがおすすめです。
適度に水分とアルコールが含まれていて揮発しやすく、体温を下げやすい利点があります。

また、屋外が暑い日中は無理をせず冷房のきいた室内にいることも大事です。
水分補給をいくらしていても、外気温が高く体温が下がらなければ熱中症になる可能性は十分にあります。

水分補給

私たちの体は夏場でなくとも毎日2.5リットルの水分を失っています。
体内で作られる水が0.3リットル、通常の食事からは1リットル程度を摂取しています。
それ以外の飲み物として毎日1.2リットルが必要とされ、夏場は発汗量に応じてこれ以上の水分補給が必要です。

特に睡眠時や入浴時は汗をかいて脱水状態になりやすく、寝る前と朝の起床時、入浴前後には水分補給をしましょう。
ポイントはのどが渇く前に飲むことです。
こまめに飲むことで、脱水症状を未然に防げます。

熱中症対策と水分補給に適した飲み物・食べ物について詳しく解説した記事はこちら→熱中症対策のための水分補給におすすめの飲み物・食べ物とは?

ミネラル補給

汗に含まれるミネラルはナトリウム(塩分)やカリウムです。
水分と一緒にミネラルを補給することで体内の水分も吸収されやすくなります。
飲み物では、体の水分と塩分のバランスに近いスポーツドリンクがおすすめです。

体力をキープする食事

夏場は食欲が落ちてそうめんや冷やし中華などといったメニューを選びがちですが、このような主食の単品メニューでは糖質がメインで栄養が偏りがちに。
穀物と肉や魚、野菜や海藻類などをバランスよく食べるのが重要です。
食事に関しては次の項目でさらに詳しく解説します。

食べ物・飲み物でできる対策

夏野菜

食事面での熱中症対策は、暑さに負けない体を作ること。
食欲の落ちがちな夏場ですが、なるべく食事量を確保してエネルギー不足にならないようにしましょう。

バテない体を作るタンパク質とビタミンB群

豚肉や玄米、ナッツや納豆などに含まれるビタミンB群は糖質や脂質をエネルギーに変換する働きをもち、しっかりとることで暑さにバテない体につながります。
また、肉や魚、卵などに豊富なタンパク質は筋肉量を保つのに役立ち、疲れにくい体のもとになります。

脂少なめの食材&香味野菜と香辛料で食べやすく

食欲の落ちているときは脂の少ない鶏のささみや白身魚が食べやすくおすすめ。
酸味のある調味料や生姜やシソなどの香味野菜、カレー粉などの香辛料も食欲を増してくれるので取り入れたいですね。

 

水分と塩分の補給:汗をかく場所ではスポーツドリンクがおすすめ

涼しい屋内で過ごすときはお茶やミネラルウォーターでも問題ありませんが、屋外や屋内でも暑い場所にいるときはスポーツドリンクのような糖分と塩分を適度に含んだ飲み物が最適です。

水分補給のための飲み物の選び方スポーツドリンクがないときは水に加えて塩分を含んだ飴などを食べるのも効果的です。
ナトリウムと一緒に失われるカリウムの補給には、野菜や果物、海藻がおすすめです。

ソフトドリンクに注意!

暑い時期は清涼飲料水が飲みたくなる人も多いですが、飲み方に注意が必要です。
糖類を多量に含んだ清涼飲料水を一気に飲むと、血液中の糖分が急増し、高血糖の状態になります。
高血糖の状態ではのどの渇きを感じるため、さらに清涼飲料水を飲み、さらに高血糖の状態になるという悪循環に陥ることがあります。

この状態をペットボトル症候群、ソフトドリンクケトーシスともいい、重度の場合は意識障害などに陥ることがあります。

アルコールやカフェインは水分不足に注意

また、アルコールを含むお酒、カフェインを多量に含むコーヒーは利尿効果があり、水分を体の外に排出する働きによって脱水症状を起こす可能性があります。
たとえば、ビールでは飲んだ量よりも多くの水分(110%)を排出してしまうといわれており、飲むことで余計に体の水分を失ってしまうのです。
脱水気味の状態が続くと自律神経のバランスが崩れやすく、夏バテになりやすくなってしまいます。
お酒を飲む場面では、追加で水を飲むことを意識したほうがよいでしょう。

健康維持のため1日に必要な水分量について解説した記事はこちら→1日に必要な水分量は?水を飲む重要性と水分補給のタイミング

いつもの生活に熱中症予防対策をプラス

ここまでのポイントをまとめて、1日の生活の中でできる熱中症対策ポイントを紹介します。
ぜひ、できそうなことから実践して暑さに負けない体と習慣を作ってくださいね。

朝にできる工夫

卵サンド

寝起きは体の水分が失われているのでコップ1杯の水を飲みましょう。
朝ごはんは糖質とたんぱく質が両方とれる納豆ご飯や卵サンドなどがおすすめ。
水分とカリウムを豊富に含む野菜サラダや野菜のお味噌汁、キウイなどの果物を加えられたら完璧です!
出かけるときの服装は風通しの良いものにしましょう。

日中にできる工夫

冷やし中華

いつでも水分補給ができるように飲み物を携帯しましょう。
オフィス勤務ならお茶やミネラルウォーター、外に出る機会があるならスポーツドリンクがおすすめです。
のどの渇きを感じる前に、こまめに飲むのがポイントです。

日中は暑いので、お昼ご飯は冷たい食事でもいいですね。
ざるそばなどのシンプルな麺類だと、タンパク質とビタミンが不足して夏バテになりやすくなるため、同じ麺類なら具材のたっぷり入った冷やし中華がおすすめ。
コンビニならチキンやサラダを足すのも手軽にバランスが整えられます。
肉・魚のメインおかずと野菜のサブおかずのある定食メニューが理想的です。

日中の暑さは厳しいので、無理をせず涼しい室内にいることも大事です。

夜にできる工夫

水を飲む女性

昼食に冷たい食事を食べたなら、夜は温かいものを食べて胃腸の負担を減らしましょう。
野菜は炒め物やスープにするとかさが減ってたくさん食べられます。
わかめなどの海藻類もカリウムが豊富で取り入れたい食材です。
脱水状態の予防のため、お酒を飲むときは水と交互に飲むようにしましょう。

お風呂に入る前と後、寝る前にそれぞれコップ1杯の水を飲みましょう。
寝るときはお部屋をしっかり冷やしてから寝ると、暑さによる寝苦しさを抑えられます。
クーラーの風が当たりっぱなしだと風邪をひく原因にもなりますので注意してくださいね。

まとめ:こまめな工夫で夏を乗り切ろう

いかがでしょうか?
ひとつひとつのポイントは簡単なので、ぜひできるところから取り入れてみてください。
暑さに負けない体を作って、厳しい夏を乗り切りましょう!

参考文献

厚生労働省:「熱中症予防のために」

公益社団法人 全日本病院協会 みんなの医療ガイド:「熱中症について」

一般財団法人 日本気象協会 熱中症ゼロへ:「熱中症の発熱と風邪の発熱のメカニズムの違い」

環境省熱中症予防情報サイト:「熱中症はどのようにして起こるのか」

環境省 熱中症予防 声かけプロジェクト:「働いているときの注意」

環境省 熱中症予防 声かけプロジェクト:「栄養をとろう」

厚生労働省:「健康のため水を飲もう」推進運動

厚生労働省e-ヘルスネット:「嗜好飲料(アルコール飲料を除く)」

教えて!「かくれ脱水」委員会:「夏バテしないために!知っておきたい情報Q&A」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。