
風邪をひいて熱が出るほどになると、体がだるくて食欲もないという方も出てきます。
食欲がない、消化管が弱っているときに無理に食事をすると消化不良を起こしさらに体力を奪うことにもつながります。
とはいえ、何も口にしないのでは体力は落ちる一方、風邪も治りません。
食事ができないときは、飲み物から水分と栄養素を補充しましょう!
風邪を治すには食事?睡眠?薬?
風邪薬は症状を抑えるもの
風邪を早く治したいときは、薬が一番、と思っている方も多いでしょう。
しかし、一般的な風邪薬と呼ばれるものは症状を抑えるためのもので、ウイルスを退治するものではありません。
風邪薬を飲むのは、せきなどの風邪の諸症状によって体力が消費するのを防ぐ意味もあります。
休養・エネルギー補給は必須
しかし、風邪を治すには、人の体がもともと持っている免疫細胞の働きでウイルスを倒さなければなりません。
そのためには、食事をしっかりとってエネルギーを補給し、免疫細胞たちがウイルスとの戦いに集中できるよう、体を休めておく必要があります。
風邪薬を飲んで熱が下がったからと言って休養を十分にとらないのはやめましょう。
薬が切れたときに症状が悪化する可能性も考えられます!
風邪を治すためのポイントまとめ
風邪を治すためのポイントは3つ。
・症状がつらいときは風邪薬によって症状をおさえて体力を温存しながら
・ウイルスと戦う免疫細胞が使うエネルギーを補給しつつ
・体がウイルスと戦うことに専念できるようしっかり休養をとる
このポイントをおさえることで風邪をしっかり治しましょう!
*急に高熱が出るなどインフルエンザが疑われるときは病院での受診をおすすめします。
食欲がないならひとまず飲み物だけでも大丈夫
風邪をひいてエネルギー補給をしたいけど、食欲がない場合。
胃や腸に負担の少ない飲み物から栄養補給をしてみませんか?
食べられないものは無理に食べることはありませんので、口に入れられそうなものから取り入れるようにしましょう。
風邪をひいたときにとりたいのは、まずは水分・エネルギー源です。
反対に避けたいのは、体の負担になるもの。
具体的にどんなものか、順番に見ていきましょう。
風邪の時に飲みたい飲み物
風邪の時に取り入れたいものから解説します。
体の免疫機能が十分に働くように、水分とエネルギー源を補給しましょう。
なにはなくとも水分をこまめに
熱が出ているときは発汗や皮膚からの水分の蒸発が多く、脱水症状になりやすい状態です。
脱水状態では粘膜のバリア機能も弱まってしまうため、水分補給が必須です。
ただの水だと汗で失われたミネラルが不足するため、塩分もある程度は必要です。
風邪の時の水分補給には、適度な塩分と糖分を含んで吸収されやすい「経口補水液」や「スポーツドリンク」がおすすめです。
食欲がなくても、最低限飲んでおきたい飲み物です。
一気に飲むと尿として排出されやすいため、水分補給のためにはこまめに、少しずつ飲むのが最適です。
糖質が入った甘酒、ポタージュでエネルギー補給
水分補給をしたうえで、エネルギー源になるものも取り入れたいですね。
おかゆやうどんなどの食事に比べると摂取できるエネルギーは少なめですが、食欲がないのであれば飲み物から取り入れましょう。
消化しやすい糖質の入った「米麹の甘酒」「ポタージュスープ」といったものがおすすめです。
米麹の甘酒は栄養補給に最適なことから「飲む点滴」とも呼ばれています。
乳製品はエネルギー源と細胞の材料になるタンパク質がとれる
タンパク質はエネルギー源になるほか、免疫細胞や粘膜などの細胞の材料となるため、なるべく摂りたいものです。
乳製品はタンパク質を豊富に含んだ食品です。
「飲むヨーグルト」「ホットミルク」がおすすめです。
あたたかい飲み物で寒さをブロック
体が冷えると免疫細胞の働きが弱まってしまうため、風邪のひき始めは特に体を冷やさないように気を付けましょう。
飲み物はあたたかいものか体温程度のものがおすすめです。
緑茶には殺菌消炎効果がある
「緑茶」に含まれる苦み成分のカテキンには殺菌・抗ウイルス効果がある事が知られています。
うがいに使うこともあるようですが、普段通りに飲むのも、のどの殺菌作用が期待できますね。
風邪の時には避けたい飲み物
続いては、風邪の時にはあまり飲まないほうがよいもの。
水分や栄養素の働きを妨げたり、体を冷やしたりするため、風邪の間は飲むのを控えましょう。
体力・水分温存のためカフェイン入りのエナジードリンク・コーヒーなどは避ける
カフェインの入ったエナジードリンクやコーヒーは倦怠感や頭痛を解消する作用や眠気を覚ます作用があるので、風邪薬代わりに飲んでしまう人もいます。
しかし、カフェインの効果は一時的なものであるうえ、覚醒作用により睡眠が妨げられてしまうこと、カフェインが持つ利尿作用により脱水症状になりやすくなることから、風邪対策としては逆効果と考えられます。
もしエナジードリンクや栄養ドリンクを飲むのであれば、ノンカフェインのものを選びましょう。
緑茶や紅茶にもカフェインは含まれますが、コーヒーに比べて1/3程度の量にとどまるため、飲みすぎなければ問題ありません。
冷たい飲み物は体を冷やす
冷たい飲み物は胃腸から体を冷やしてしまうので、風邪のひき始め、特に悪寒があるときなどには飲むのを控えましょう。
胃腸の調子が悪いときは余計に悪化させてしまうことも考えられます。
お酒は体の負担になるので治るまで控えよう
お酒はコーヒーなどと同様に利尿作用があり、脱水症状を引き起こしやすくなります。
また、アルコールの分解で肝臓に負担があるうえ、風邪薬の効果が強く出すぎるなどの危険性もあります。
お酒には体を温める効果があるとはいえ、弊害のほうが多いので飲酒は避けましょう。
風邪の時の簡単アレンジドリンクレシピ
風邪で体調が悪いときでも作れそうな、簡単なドリンクレシピを紹介します。
レンチンで!ホットスポーツドリンク
【材料】1人分
スポーツドリンク | 150ml |
レモン汁(あれば) | 小さじ1/2(2.5ml) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. マグカップにスポーツドリンクを注ぎ、電子レンジの飲み物モードか500wで1分半ほど加熱する。
2. (あれば)レモン汁を加える。
水分補給に最適なスポーツドリンクを温めて飲むことで、体も冷えず、風邪の時には最適です。
なくてもおいしくいただけますが、レモン汁を加えてもすっきりさわやかな風味になります。
混ぜるだけの甘酒ココア
【材料】1人分
米麹の甘酒 | 150ml |
ココアパウダー | 小さじ1~2 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. マグカップに甘酒を入れ、電子レンジの飲み物モードか、500wで1分半ほど加熱する。
2. ココアパウダーを加え、よく溶かす。
甘酒の風味が苦手という人も、ココアを加えることで飲みやすくなります。
糖質のエネルギー補給もできて体も温まります。
食欲が出てきたら食事もとりましょう
食欲のなくて食べられそうにないときは無理に食事をする必要はありませんが、飲み物は水分が多いため、栄養素補給に関してはあまり効率的とは言えません。
スポーツドリンクなどで水分と最低限の糖分や塩分を補給しつつ、食欲が出てきたら食事に移行するようにしましょう。
はじめはやわらかく胃腸の負担にならないおかゆや素うどんから。
鶏肉のだしでしっかり煮た野菜スープなどもおすすめです。
風邪の時に食べたい食事について解説した記事もあるので参考にしてみてください。
しっかり休養を取って、早めに風邪を治しましょう!
参考文献 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. |