ビタミンAが多い食べ物は?効果と働き、一日摂取量の目安を紹介

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ビタミンAは必須栄養素のひとつですが、どのような食べ物に多く含まれているのでしょうか?
ビタミンAやβ-カロテンの働き、不足や過剰を避けるための一日摂取量、摂取量を増やしたいときのサプリメントの選び方について解説します。

ビタミンAとは

ビタミンAは脂溶性ビタミンに属する栄養素です。

体内で同じ働きを持つレチノールやレチナール、レチノイン酸をまとめて「ビタミンA」と呼ぶほか、体内でビタミンAに変換される「プロビタミンA」という食品成分も存在します。

体内での主な働きとプロビタミンAについて解説します。

ビタミンAの効果・働き

ビタミンAの働きは、「目の健康維持」と「皮膚や粘膜の健康維持」の二つに分けることができます。

ビタミンAは網膜や目の光を感知する細胞を正常に保つ働きがあります。
また、全身の皮膚や呼吸器・消化器の粘膜を正常に保つことで、皮膚や粘膜の機能を保ち、免疫作用の維持に役立っています。

β-カロテンから合成できる

ビタミンAそのものではないものの、吸収された後体内でビタミンAに変換されて働く「プロビタミンA」という成分が一部の食品(主に植物性食品)に含まれています。

α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンなど、およそ50種類のカロテノイドがこのプロビタミンAに分類されており、中でもさまざまな野菜類に含まれている「β-カロテン」が代表的です。

一般的な食品から摂取するプロビタミンAは種類によって体内での利用率が異なり、

  • β-カロテン…重量の1/12のレチノールと同じ活性(働き)を持つ
  • α-カロテン…重量の1/24のレチノールと同じ活性(働き)を持つ
  • β-クリプトキサンチン…重量の1/24のレチノールと同じ活性(働き)を持つ
  • その他のプロビタミンAカロテノイド…重量の1/24のレチノールと同じ活性(働き)を持つ

…ということが知られています。

ビタミンAの不足や過剰による影響

ビタミンAは必須栄養素のひとつですが、食事からの摂取量が不足するとどのような影響があるのでしょうか?
また、過剰に摂取した場合には、どのような悪影響があるのでしょうか?

ビタミンAが不足すると

ビタミンAは目や皮膚・粘膜の健康維持に働く栄養素です。

そのため、ビタミンAが不足すると、以下のような影響があることが知られています。

  • 角膜乾燥症とそれに続く失明(乳幼児)
  • 成長阻害(成長期)
  • 骨・神経系の発達抑制(成長期)
  • 暗い場所での視力が低下する暗順応障害、夜盲症(成人)
  • 皮膚や粘膜の乾燥によるバリア機能の低下

肝臓内のビタミンA貯蔵量が少なくなるとこれらの症状が起こるため、肝臓内の貯蔵量が少なくなりすぎないよう、一定期間に適量のビタミンA摂取が必要となります。

ビタミンAを過剰摂取すると

ビタミンAは過剰量を摂取したときの健康障害として、以下のようなものが知られています。

  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 皮膚が剥がれ落ちる(落屑)
  • 脱毛
  • 食欲不振
  • 疲労感の蓄積
  • 骨の痛み、脆弱性
  • 肝臓障害
  • 胎児の奇形(妊娠期)

ビタミンAは脂溶性ビタミンに分類され、過剰な量を摂取した場合に尿などから排出することができないため、過剰症に注意が必要な栄養素のひとつです。

β-カロテンは過剰摂取にならない

β-カロテンをはじめとするプロビタミンAは、体内で必要な量のみビタミンAに変換されています。
そのため、β-カロテンなどのプロビタミンAは多量に摂取してもビタミンAによる過剰症状は起こらないことが知られています。

ビタミンAの一日摂取量は?

必須栄養素であるビタミンAは、1日あたりどのくらいの量を摂取する必要があるのでしょうか?

健康維持のための摂取量の目安と、日本人の平均的な食生活では足りているのかを解説します。

摂取基準値

ビタミンAの摂取推奨量は体重と体の成長を考慮した値が年齢・性別ごとに定められています。

また、耐容上限量は肝臓障害などが起こらない摂取量をもとに決められています。
耐容上限量は「習慣的に摂取しても健康障害を起こすリスクがないと考えられる量の上限」であるため、この値を多少超えて摂取したからと言ってすぐに健康障害が現れる量という訳ではありません。

■日本人の食事摂取基準2020年版におけるビタミンAの摂取基準値(男性)(㎍RAE/日)

年齢等  推奨量  耐容上限量
0~5か月  300(目安量)  600
6~11か月  400(目安量)  600
1~2歳  400  600
3~5歳  450  700
6~7歳  400  950
8~9歳  500  1200
10~11歳  600  1500
12~14歳  800  2100
15~17歳 900  2500
18~29歳  850  2700
30~49歳 900  2700
50~64歳  900  2700
65~74歳  850  2700
75歳以上  800  2700

*レチノール活性当量(㎍RAE)、耐容上限量はプロビタミンAを除く
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 より作成

■日本人の食事摂取基準2020年版におけるビタミンAの摂取基準値(女性)(㎍RAE/日)

年齢等  推奨量  耐容上限量
0~5か月  300(目安量)  600
6~11か月  400(目安量)  600
1~2歳  350  600
3~5歳  500  850
6~7歳  400  1200
8~9歳  500  1500
10~11歳  600  1900
12~14歳  700  2500
15~17歳 650  2800
18~29歳  650  2700
30~49歳 700  2700
50~64歳  700  2700
65~74歳  700  2700
75歳以上  650  2700
妊婦(初期・中期)  +0 
妊婦(後期)  +80 
授乳婦  +450 

*レチノール活性当量(㎍RAE)、耐容上限量はプロビタミンAを除く
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 より作成

日本人の平均摂取量

令和元年の国民健康・栄養調査では、20歳以上におけるビタミンAの摂取量の中央値は

  • 男性(20歳以上)…399㎍RAE(レチノール当量)
  • 女性(20歳以上)…396㎍RAE(レチノール当量)

となっており、日本人の食事摂取基準2020年版における18歳以上の推奨量を下回っていることがわかります。
ビタミンAは肝臓に数か月分も蓄えることができ、食事からのビタミンAの摂取量が不足していても、肝臓の貯蔵量が少なくなるまでは欠乏による影響は起こらないことが知られています。
そのため、日本人の平均的な食事で欠乏症が起こりやすい状況とまでは言えませんが、ビタミンAやプロビタミンAの摂取量はもう少し増やしたいものと考えられそうです。

ビタミンAを多く含む食品

必須栄養素であるビタミンAの摂取源となる食べ物にはどんなものがあるでしょうか?

プロビタミンAではなくビタミンA(レチノール)を含む食品では、肉類、魚介類、卵類、乳類などの動物性食品が挙げられます。

肉類

肉類のうち、ビタミンAを多く含む食品には以下のようなものがあります。

■肉類のビタミンA含有量(100gあたり)

食品名  ビタミンA含有量(100gあたり)
鶏レバー(生)  14000㎍
豚レバー(生)  13000㎍
牛レバー(生)  1100㎍
鶏ハツ(心臓)(生)  700㎍
鶏かわ(生)  120㎍

*レチノールとしての含有量
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成

肝臓に多く、特に鶏と豚で含有量が多くなっています。
いわゆる正肉(もも肉など)にはあまり含まれていません。
レバーは少量でも効果的に摂取できる食品ではありますが、大量に食べると過剰摂取につながりやすい面もあります。

レバーを習慣的に食べている人はそう多くないと予想されますが、摂取頻度が低くても含有量が多いためか、ビタミンAの摂取源としては2番目に位置するグループです。

魚介類

魚介類のうち、ビタミンAを多く含む食品には以下のようなものがあります。

■魚介類のビタミンA含有量(100gあたり)

食品名  ビタミンA含有量(100gあたり)
あんこうのきも(生)  8300㎍
うなぎ(養殖)(生)  2400㎍
ほたるいか(生)  1500㎍
ぎんだら(生)  1500㎍
くろまぐろ(赤身)(生)  840㎍
鮭すじこ  670㎍
あなご(生) 500㎍

*レチノールとしての含有量
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成

肉類と同様、肝臓(きも)に多く含まれるほか、いろいろな種類の魚介類からとることができます。

含有量が高いため過剰摂取を避ける観点で注意が必要な面もあり、肝臓に多量のビタミンAを含むイシナギという魚では、食後30分~12時間でビタミンAの過剰摂取による中毒症状が起こることから、食用禁止となっています。
イシナギの肝臓は1gあたり30000~60000㎍のビタミンAを含み、5~10g程度の摂取でも中毒が起こる可能性があるとされています。

イシナギのほか、サメ、マグロ、カツオといった大型魚の肝臓もビタミンAの含有量が高いため、食べることは禁止されています。

卵類

卵類もビタミンAの摂取源となる食品です。

■卵類のビタミンA含有量(100gあたり)

食品名  ビタミンA含有量(100gあたり)
鶏卵・卵黄(生)  690㎍
うずら卵(水煮)  480㎍
鶏卵・全卵(生)  210㎍

*レチノールとしての含有量
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成

ビタミンAは卵黄部分に多く含まれます。
肉類や魚類に比べると少なめですが、食べる頻度が多いため、摂取源としては3番目に多いグループとなっています。

乳類

乳類でビタミンAを含む食品には以下のような物があります。

■乳類のビタミンA含有量(100gあたり)

食品名  ビタミンA含有量(100gあたり)
マスカルポーネチーズ  390㎍
チェダーチーズ  310㎍
モッツァレラチーズ  280㎍
プロセスチーズ  240㎍
クリームチーズ  240㎍
リコッタチーズ  160㎍

*レチノールとしての含有量
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成

牛乳にも少量のビタミンAが含まれることから、乳成分を濃縮したチーズで含有量が比較的多くなっています。

β-カロテンを多く含む食品

体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAのうち、代表的なβ-カロテンを多く含む食品を紹介します。
プロビタミンAを含む食品には、野菜類、果物類などの植物性食品が挙げられます。

β-カロテンの含有量と合わせて、α-カロテン、β-クリプトキサンチンを含むレチノール活性当量についても併記します。

野菜類

野菜類はβ-カロテンを多く含むものが多数あり、主要なビタミンAの摂取源となっています。

■野菜類のβ-カロテン含有量(100gあたり)

食品名  β-カロテン含有量  レチノール活性当量
モロヘイヤ(生)  10000㎍  840㎍
にんじん(皮なし・生)  6700㎍  690㎍
しゅんぎく(生)  4500㎍  380㎍
ほうれんそう(生) 4200㎍  350㎍
とうみょう(生) 4100㎍  340㎍
かぼちゃ(生)  3900㎍  330㎍
大根の葉(生)  3900㎍  330㎍
にら(生)  3500㎍  290㎍
こまつな(生)  3100㎍ 260㎍

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成

「緑黄色野菜」は食品100gあたり600㎍以上のβ-カロテンを含む野菜を指すもので、ビタミンAのよい摂取源となります。
重さあたりのカロリーも低く、ビタミンAの過剰症の心配も少ないため、積極的にとりたい食品といえそうです。

果物類

果物類のうち、β-カロテンが多く含まれるものには以下のようなものがあります。

■果物類のβ-カロテン含有量(100gあたり)

食品名  β-カロテン含有量  レチノール活性当量
メロン(赤肉) 3600㎍  300㎍
すいか(赤) 830㎍  69㎍
マンゴー  610㎍  51㎍
びわ  510㎍  68㎍
ピンクグレープフルーツ  400㎍  34㎍
みかん(薄皮むき)  190㎍  92㎍

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成

あまり知られていませんが、果物類にもβ-カロテンが含まれ、ビタミンAの摂取源となります。
β-カロテンのほか、β-クリプトキサンチンなども多く含まれています。

ビタミンAのサプリメントの選び方

令和元年の国民健康・栄養調査における摂取中央値は食事摂取基準の推奨値を下回っており、不足が気になるという人もいるのではないでしょうか。

栄養バランスの良い食事をとるという観点からは、β-カロテンを豊富に含む野菜類の摂取を増やすのがおすすめですが、単にビタミンAの摂取量を増やすという意味では、ビタミンAやプロビタミンAを配合したサプリメントも選択肢のひとつになりそうです。

ただし、ビタミンAを精製したサプリメントでは、通常の食品と比べて多量の摂取ができてしまうため、過剰摂取にならないよう注意が必要です。
サプリメントではビタミンAそのものである「レチノール」が主成分のものではなく、必要な量のみビタミンAに変換される「β-カロテン」が主成分のものを選ぶと、過剰摂取の心配が少なく安心です。

また、β-カロテンはサプリメントとしてとる場合、食品に含まれる場合よりも利用率が高く、1/2重量のレチノールに相当する(食品中のβ-カロテンは1/12重量のレチノールに相当)とされています。

まとめ

ビタミンAは目や皮膚・粘膜の健康維持に働く必須栄養素であり、脂溶性ビタミンに分類されています。

不足すると

  • 目の健康障害(暗順応障害、夜盲症、角膜乾燥症、失明)
  • 皮膚・粘膜のバリア機能低下
  • 骨・神経系を含む成長阻害

などの影響があることが知られています。

また、過剰量を摂取した場合には排出が難しいことから、

  • 頭痛、筋肉痛
  • 皮膚の落屑や脱毛
  • 食欲不振、疲労感
  • 骨の痛み、脆弱性
  • 肝臓障害
  • 胎児奇形

などの影響があることが知られており、過剰摂取にも注意が必要です。

ビタミンAやβ-カロテンを含む食品には

  • 肉類(特にレバー)
  • 魚介類
  • 卵類
  • 乳類(チーズ)
  • 緑黄色野菜
  • 果物

などが挙げられます。

日本人の平均的な食生活ではやや不足気味であるため、過剰摂取に注意しながら、ビタミンAを含む食品の摂取量を増やせるとよさそうです。
サプリメントも選択肢のひとつとなりますが、過剰摂取につながりやすい形態であることから、レチノールではなくβ-カロテンの配合されたものがおすすめです。

ビタミン全般について詳しく解説した記事はこちら→ビタミンとは?効率よくとる調理のコツも紹介|管理栄養士執筆

β-カロテンの摂取源となる野菜の摂取量を増やすコツについて詳しく解説した記事はこちら→一日に必要な野菜の摂取量は350g!野菜不足を解消するコツを解説

参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

厚生労働省:「国民健康・栄養調査」

吉田勉 監修. わかりやすい食品機能栄養学. 三共出版, 2010.

上西一弘. 食品成分最新ガイド 栄養素の通になる 第5版. 女子栄養大学出版部, 2022.8

厚生労働省:「自然毒のリスクプロファイル:魚類:ビタミンA」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。