体に悪いもの?コレステロールって結局なに?|管理栄養士執筆

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たまごはコレステロールを比較的多く含む

コレステロール。健康診断で引っかかるとちょっとドキッとしてしまいます。
名前は聞いたことあるけれど、どんなものかよく知らない人がほとんどではないでしょうか?
コレステロールと健康の関係、毎日の食事で気をつけたいことを解説します。

コレステロールとは?

脂質の仲間

コレステロールは油の仲間「脂質」に分類されます。
脂質の仲間ではありますが、中性脂肪などと異なり、エネルギー源にはならず、「カロリーゼロ」の物質です。

コレステロールを多く含む食品=高カロリーというイメージもありますが、必ずしもそうではありません。
カロリーや脂質の含有量が高い食品が必ずしもコレステロールを含むわけではなく、脂質100%からなる植物油も、もともとコレステロールが含まれていない、というのが例のひとつです。

食品中では…

食品の中に含まれるコレステロールは主に肉類やたまご、魚介類などの動物性食品に含まれ、野菜や穀物などの植物性食品にはほとんど含まれていません。

食品に含まれるコレステロール(例)
食品名 コレステロール
(100gあたり)
コレステロール
(1食目安量あたり)
鶏卵・卵黄 1400㎎ 280㎎(黄身1個20g)
あんきも 560㎎ 560㎎(1/2匹分:100g)
鶏卵・全卵 420㎎ 252㎎(1個60g)
豚レバー 250㎎ 250㎎(炒め物1人分100g)
するめいか(生) 250㎎ 625㎎(可食部のみ1杯分250g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

食事に含まれるコレステロールのすべてが吸収されるわけではなく、その吸収率は40~60%といわれています。

体内では…

コレステロールは、体内では主に細胞膜に存在するほか、ホルモンや胆汁酸の材料として使われ、体にとって必要な成分のひとつです。

体内でも1日に体重1㎏あたり12~13㎎が合成されています。
体で作られるコレステロールは食事からとるものよりも多く、食事由来のコレステロールの3~7倍になるといわれています。

コレステロールが嫌われる理由は?

血中コレステロール値

「コレステロール」というと、どちらかというとネガティブな印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

体に必要な成分でありながら、なぜ嫌われるのでしょうか?

血中コレステロールの高値は動脈硬化リスクになる

コレステロールが嫌われる原因の一つに、「血中コレステロールが上がると動脈硬化のリスクが上がる」ことがあげられます。

血液中のLDLコレステロールが増えると、血管の内側にコレステロールが沈着しやすくなります。
沈着したコレステロールにより血管が狭くなり、血管が詰まると心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気につながることがあります。

悪玉とは?善玉とは?

「善玉コレステロール(HDLコレステロール)」「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)」という言葉も聞いたことがあるのではないでしょうか?

コレステロールは血液中ではリポたんぱくと呼ばれる物質と結合した状態で存在します。
そのリポたんぱくの種類によってHDLコレステロール、LDLコレステロールに分類されていますが、それぞれ対照的な働きを持ちます。

LDLコレステロール

…いわゆる悪玉コレステロール
コレステロールを肝臓から全身に運ぶ働きを持ちます。
多すぎると動脈硬化を促進してしまいます。

HDLコレステロール

…いわゆる善玉コレステロール
全身のコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きを持ちます。
動脈硬化を予防する働きを持ち、少ないと動脈硬化になりやすくなります。

食事の中のコレステロールは気にしなくてもいいってほんと?

ゆでたまご

摂取基準の数値がなくなった=食べ放題?

「日本人の食事摂取基準」が2015年に改訂された際に、今まで数値として「これ以上は食べないように」と定められていた食事からのコレステロール摂取量の項目がなくなりました。

コレステロール摂取量の基準がなくなったことで、
「食事の中のコレステロールは気にしなくていいということ」
「コレステロールが多い食品でも好きなだけ食べていいのでは」
と話題になりました。

これは本当でしょうか?

食事中のコレステロールは動脈硬化に直結しないのは事実

血中のコレステロール値は、様々な要因に影響されます。

さらに、

・食事由来のコレステロールも一部は吸収されないこと
・食事からのコレステロール摂取量が増えると体内で合成するコレステロールの量が減るようにバランスがとられていること

から、食事からのコレステロール摂取量が体内のコレステロール量に直結するわけではないといわれています。

健康へのリスクの心配がないのではなく、明確な数値を設定する根拠が薄いということ

しかし、日本人の食事摂取基準(2015年版)を詳しく読むと、
「コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいものと考えられるものの、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた。」
との記述があります。

最新版の食事摂取基準(2020年版)では、「コレステロールは、体内でも合成される。そのために目標量を設定することは難しいが、脂質異常症及び循環器疾患予防の観点から過剰摂取とならないように算定することが必要である」、と記述されています。

食事に含まれるコレステロールを気にする必要はない、とは一言も書いてありません。
あくまで「明確な数値目標」がなくなっただけで、取りすぎを気にしなくていいわけではないのです。

コレステロールの摂取量の目標は「ない」のではなく、「低めに抑える」が正解のようです。

食事のコレステロール以外に気をつけたいポイント

血中のコレステロールに影響を与えるのは、食事からのコレステロールだけではありません。
いくつかの関連するものについて紹介します。

食事中の飽和脂肪酸と動脈硬化の関係

コレステロールほど知名度はありませんが、コレステロールと同様に動脈硬化に影響するのが「飽和脂肪酸」です。

飽和脂肪酸の摂取量が増えると血中のLDLコレステロールを増やすことが分かっており、コレステロールとともに摂取量に気をつけたい成分です。

飽和脂肪酸はいわゆる油(油脂)を構成するもののひとつで、動物性では乳脂肪分や肉類の脂肪分、植物性ではココナッツオイルなどに比較的多く含まれます。

肥満と動脈硬化の関係

食べるものの内容に加え、肥満も動脈硬化のリスクを高める原因となります。

血中LDLコレステロールが高い・血中HDLコレステロールが低い・血中中性脂肪が高い状態を脂質異常症といい、動脈硬化をはじめとした、様々な病気のリスクが高い状態です。

体に脂肪が蓄積した肥満の状態では、この脂質異常症になりやすい状態です。
食事の中のコレステロールや飽和脂肪酸だけに気をつけていても、摂取エネルギー過多の肥満状態では、リスクが少ないとは言えません。

適切な体型の維持は健康面でも重要、といえそうです。

健康診断でひっかかった。実際に何に気をつける?

肉類と魚類

普段の生活の中でコレステロールを意識するポイントは、健康診断結果が返ってきたときくらいのもの。
健康診断で「LDLコレステロールが高い」「HDLコレステロールが低い」といわれた時に気をつけたいポイントを紹介します。

受けられるなら、個別の栄養指導のアドバイスを受けるのがベスト

原則、40歳以上から受ける「特定健診」いわゆるメタボ健診では、腹囲や血中脂質の数値によってメタボリックシンドロームの診断を行います。

この健診でメタボと診断されると、医師や保健師、管理栄養士によるメタボ改善のための指導や支援が行われます。

リスクレベルによっても変わりますが、個別の面談では人それぞれの検査値や生活習慣からひとりひとりに合った目標設定、計画作成までプロと一緒にできるため、最も効果的な支援といえるでしょう。

受ける機会があるのであれば、スルーはせずに有効活用するのが健康への近道といえそうです。
以下では、血中コレステロールの異常を含む脂質異常症の改善のためにひろく取り組まれている内容を紹介します。

肥満の改善

食事内容にかかわらず、「肥満」そのものが脂質異常症の原因の一つになります。
摂取エネルギーの取りすぎを正し、消費エネルギーを増やして適正体重にすることで、血中脂質値の改善が期待できます。

お肉をお魚に切り替える

脂質の摂取源となる食材は、調理に使う油脂類のほかに肉や魚などの動物性食品が代表的です。
肉類や乳類に含まれる脂質は比較的飽和脂肪酸が多く、魚類には多価不飽和脂肪酸が比較的多い、という特徴があります。

どちらもメインのおかずとして使われる食材ですので、今までの食事ではメインのおかずに肉類を選ぶことが多かった、という人はお肉に代えてお魚のおかずを選ぶ頻度を上げるのもおすすめです。
あくまでも「切り替える」ことが重要で、いつもの食事に魚のおかずを「プラス」では摂取エネルギーが増えてしまいますので注意が必要です。

「たまご1日1個まで」も一理あり?

食事摂取基準での目標値はなくなりましたが、コレステロールの摂取量が血中脂質に関係しないということではありませんでした。

コレステロールが比較的多く含まれ、食べる頻度も高いのはやはりたまご。
「たまごは1日1個まで」というのも、血中脂質を正常に戻すためには有効な心がけかもしれません。
魚卵にもコレステロールは多く含まれているので、毎日のように食べるのは避けたいですね。

野菜たっぷり、食物繊維をとろう

野菜やキノコ、海藻類は低カロリーながら食物繊維の摂取源となる食材です。
食物繊維をしっかりとることで、血中のコレステロール値を正常化する働きが知られています。

エネルギーの低い野菜がたっぷりの食事は摂取エネルギーの過剰をただし、肥満の解消にも役立つので、「野菜たっぷり」は食事ごとに気にしたいポイントです。

不飽和脂肪酸系サプリは望み薄?

血中LDLコレステロール値を減らしてくれる「不飽和脂肪酸」は魚に比較的多く含まれています。

最近では、魚由来の不飽和脂肪酸を手軽にとれるサプリメントも見かけることが多いように思います。

一見手軽に血中コレステロールを改善できるように思えますが、活用には注意が必要です。

不飽和脂肪酸をサプリとして食事に加え、血中脂質がどう変わるかを調べた研究では、いずれも血中LDLコレステロール値を下げるのに有効であったとは言いにくい結果が出ています。

肥満や運動習慣、食事内容の見直しをせずにサプリメントを取り入れても、あまり期待した結果は出ない、という風に考えたほうがいいでしょう。

運動も取り入れよう

運動そのものは血中脂質の値に好影響を与えることが知られています。
動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版では、

・有酸素運動を中心とした種目
・1日合計30分以上
・週3回以上の頻度で行う

のが望ましいとされています。
血中脂質の数値の改善のためには、数か月以上の根気強い取り組みが有効です。

コレステロールだけでなく、食事を含む生活全体を見るのが大事

コレステロールの取りすぎはリスクのひとつになりますが、コレステロール以外の要素も大きくかかわっているようです。

健康維持のためにはひとつの栄養素に注目するのではなく、食事や運動習慣など、生活全体を広い視野でみるのが大事、といえそうです。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省e-ヘルスネット:「脂質異常症を改善するための運動」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。