投稿日: 2019.04.26 | 最終更新日: 2024.04.02

魚の栄養とは?身近な魚に含まれるカロリー・タンパク質・DHA・ビタミンを解説

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魚の栄養

「魚」というと、健康的な和食に欠かせない食材としてのイメージも強いように思います。

魚の成分であるDHAやEPAといった成分も健康を後押しするものとして注目され、サプリメントの成分としても使用されています。

魚やその成分は体にどのような作用を持つのでしょうか?また、どれくらいの量を食べるべきなのでしょうか?

サバ缶を活用したレシピ、電子レンジ調理で手軽なお魚レシピも紹介します!

身近な魚(鮭、サバ、アジ)のカロリーと栄養素

魚のカロリーと栄養素

魚の食材としての位置づけは肉や卵などと同様に「メインのおかず(主菜)」の中心的な食材として使われることが多いように思います。
スーパーなどで手に入れやすい魚であるアジ、鮭、サバの3種類について、カロリーや主要な栄養素を紹介します。

また、鮭やサバにはいくつかの種類がありますが、今回は以下の成分値を紹介しています。

  • アジ…まあじ
  • 鮭…しろさけ
  • サバ…たいせいようさば

カロリー

アジ、鮭、サバにおける100gあたりのカロリーは以下のようになっています。

食品名 100gあたりのカロリー
アジ 112kcal
124kcal
サバ 295kcal

魚というとヘルシー=低カロリーなイメージがありますが、一概にそうとはいえず、魚種や部位、漁獲時期によっても幅があります。

魚類のカロリーは脂肪分(脂身、サシ)の量によって左右されるため、いわゆる「脂の乗った魚」ではカロリーが高くなります。

今回の場合、比較的脂質の多いサバはカロリーの高い部類であり、アジと比較すると倍以上のカロリーです。

タンパク質

魚類の主成分はたんぱく質です。
アジ、鮭、サバの100gあたりのたんぱく質は以下のようになっています。

食品名 100gあたりのたんぱく質
アジ 19.7g
22.3g
サバ 17.2g

たんぱく質と言えば肉、というイメージが強いですが、魚類と肉類と比較しても100gあたりのタンパク質はいずれも15~25gの間にあり、肉と魚に大きな差はありません。
また、必須アミノ酸を多く含み、アミノ酸スコアは100となっていることから、肉も魚も優秀なタンパク質源といえます。

タンパク質をしっかりとりたいという人にも、魚はおすすめの食材です。

脂質(DHA・EPA)

アジ、鮭、サバにおける100gあたりの脂質量は以下のようになっています。

食品名 100gあたりの脂質 脂質のうちn-3系脂肪酸
アジ 4.5g 1.05g
4.1g 0.92g
サバ 26.8g 6.56g

脂質量は魚種による含有量の差が大きく、サバ(たいせいようさば)では重量の1/4以上を脂質が占めています。

肉類と比べた時に、脂質量が種類によって幅があるのは肉類も魚類も同じですが、魚類では肉類に比べてn-3系脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸の割合が大きく、飽和脂肪酸の割合が小さいのが特徴といえます。

魚に含まれる栄養素として注目されている「DHA」や「EPA」はこの「n-3系脂肪酸(オメガ3)」に属する栄養素です。

n-3系脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸は、体内でさまざまな働きを持っています。

  • エイコサノイドと呼ばれるホルモンのような物質の材料となる
  • 血中コレステロール値を下げ、生活習慣病及び心血管疾患のリスクを低減する

オメガ3またはDHA・EPAのはたらきについて詳しく解説した記事はこちら

ビタミンD

魚は肉類に比べてビタミンDが豊富なのが特徴です。
あじ、鮭、サバのビタミンD含有量は以下のようになっています。

食品名 100gあたりのビタミンD
アジ 8.9㎍
32.0㎍
サバ 10.0㎍

魚種によって含有量は異なり、今回の3種類の中では鮭に最も多く含まれています。

ビタミンDは食事からのカルシウム吸収を促進し、骨を丈夫に保ち、がん細胞の増殖を抑制する働きがあります。
また、ビタミンDは日光の紫外線を浴びることでヒトの皮膚でもある程度はつくられるという性質があります。
不足しがちな栄養素ではありませんが、外に出て日光に当たる機会が少ない人では体内で作られる量が不十分になることも考えられるので、魚をはじめとして、キノコなどビタミンDが豊富な食品を取り入れるのもいい方法です。

魚を食べる量の目安

魚を食べるメリット

魚を食べるメリットは大きく分けて3つ。

  • 良質なたんぱく質が摂れること
  • 生活習慣病リスクを下げる脂質が取れること
  • ビタミンDの摂取源になること

これらのメリットを受けるために、魚はどれくらいとるのが良いのでしょうか?
目標にしたい魚の摂取量について解説します。

明確な基準値はない

上で紹介した通り、魚はタンパク質、ビタミンD、DHAやEPAといった栄養素の摂取源として優れた食品です。
しかし、これらの必須栄養素等の摂取のために、魚を1日これくらい食べましょう、といった明確な基準のようなものはありません。

とはいえ、日々の食事内容を思い出してみると、魚類よりも肉類の方が多いという方が大半ではないでしょうか。

魚類が肉類に比べて選ばれにくい理由としては、以下のような理由が考えられます。

  • 小骨があるなど、食べにくい
  • 価格が肉類に比べて割高
  • 調理が面倒

実際、魚の摂取量は年々減少していることが知られており、意識して食べるようにしないと摂取量が徐々に減っていってしまう懸念があります。

推奨される魚の摂取量というものはありませんが、

  • 良質なたんぱく質が摂れること
  • ビタミンDやDHA、EPAといった成分の優秀な摂取源であること
  • 飽和脂肪酸が比較的多い肉類と食べ替えることで飽和脂肪酸摂取量を減らし、多価不飽和脂肪酸摂取量を増やせること

といった魚のメリットを考えると、食べる量が減り続けるのはもったいないように感じます。
ひとまず、現状での平均値に近い量を食べるようにするのが第一歩といえそうです。

1週間で350gを目標に魚を食べる

平成29年の国民健康・栄養調査では、魚の摂取量は、平均して1日あたり50gほど。
1週間で350gほど食べているようです。
この値は平均値ですので当然これよりも少ない人もいれば、多い人もいますが、一定の参考にはなるのではないでしょうか。

魚の摂取量に対して目標値のようなものは設定されていませんが、ひとまずはこの数字をクリアすることで、魚の摂取量をある程度確保することにつなげられそうです。

1週間で350gの魚とは、どのくらいの量を指すのでしょうか。
代表的な魚料理に使われている魚の量を比べてみましょう。

  • お刺身…(8切れ)…80g
  • 鮭の塩焼き(1切れ)…80~100g
  • サバの味噌煮(半身)…150g
  • サンマの塩焼き(1尾・可食部)…100g
  • アジフライ(1尾・可食部)…70g

元の魚の大きさや、切り身の切り方によって重さは変動しますが、魚料理1品あたりの量はおおむね70~150gになるかと思います。

よって、1週間で2~5回程度の頻度で魚料理を食べるようにすると平均の摂取量に近い量が食べられそうですね。

いままでほとんど魚料理を食べることがなかった、という人は食事のバリエーションのひとつとして、魚料理も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

簡単調理で取り入れやすいお魚レシピの紹介

魚料理は調理のハードルが高いことも、魚を食べる機会を減らす要因になっていると考えます。

今回は、より簡単に魚料理を食べられるよう、電子レンジ調理や調理済みの缶詰などを活用したレシピを紹介します。

ぜひ作ってみてくださいね。

鮭のちゃんちゃん焼き風レンジ蒸し

鮭のちゃんちゃん焼き風レンジ蒸し

【材料】1食分

  • 生鮭(切り身)…1切れ(80g)
  • 塩…少々(1g)
  • こしょう…2~3振り
  • 玉ねぎ…1/8個(20g)
  • キャベツ…1~2枚(50g)
  • しめじ…30g
  • みそ…大さじ1(18g)
  • 酒…大さじ1(15g)
  • 砂糖…大さじ1(12g)
  • みりん…大さじ1(15g)
  • 醤油…小さじ1(5g)
  • バター…ひとかけ(5g)

【作り方】

1. 鮭の両面に塩、こしょうを振る。
2. 玉ねぎをくし切り、キャベツを2~3㎝のざく切り、にんじんは薄切り、しめじは石づきを取って小分けにする。
3. 皿にオーブンシートを大きめに広げ、キャベツ、玉ねぎ、にんじん、しめじを乗せ、一番上に鮭を乗せる。
4. バター以外の調味料をよく混ぜ、鮭の上にかけ、シートをキャンディ状に包む。
5. 600Wの電子レンジで6分加熱する。
6. 包みを開け、バターを乗せる。

【栄養価とコメント】

  • カロリー…302kcal
  • タンパク質…22.2g
  • 脂質…8.7g
  • ビタミンD…25.8㎍
  • n-3系脂肪酸…0.86g

レンジで手軽に作れる魚料理です。
野菜もしっかりとりつつ、まったりみそ味でご飯が進みます!
n-3系脂肪酸は18~49歳女性の食事摂取基準を50%を確保。
ビタミンDは摂取基準を大きく上回っています。(過剰症の心配のある量ではありません)

サバ缶活用サバカレー

サバ缶活用サバカレー

【材料】2人分

  • サバ水煮缶…1缶(固形量約140g)
  • バター…10g
  • にんにく…ひとかけ(5g)(チューブでも可)
  • ショウガ…ひとかけ(10g)(チューブでも可)
  • たまねぎ…1個(200g)
  • トマトジュース…1パック(200g)
  • 酒…大さじ2(30g)
  • 砂糖…小さじ1/2(2g)
  • カレー粉…大さじ1(6g)
  • 塩…小さじ1/3(2g)
  • こしょう…2~3振り
  • ごはん…1合(約300g)

【作り方

1. 玉ねぎは薄めのくし切りにしておく。にんにく、しょうがはみじん切りにする。(チューブでもよい)
2. フライパンにバターを入れて熱し、にんにく、しょうがを軽く炒め、玉ねぎを加えて炒める。
3. 玉ねぎが半透明になったら汁気を除いたサバ缶、トマトジュース、酒、砂糖、カレー粉を入れて煮る。
4. 全体が煮立ったら火を弱め、塩と胡椒で味をととのえる。
5. 器にご飯を盛り、カレーをかける。

【栄養価とコメント(1人分)】

  • カロリー…514kcal
  • タンパク質…20.7g
  • 脂質…12.6g
  • ビタミンD…7.7㎍
  • n-3系脂肪酸…1.93g

あらかじめ調理された缶詰を使えばお魚料理も手軽に作れます。
水煮缶のほか、味のついたものでも作れます。
塩を加える量などで味を調整してみてくださいね。

まとめ

魚はたんぱく質の摂取源となるだけでなく、健康にいい脂質や必須ビタミンの摂取源となる食品です。

丸ごとの魚はなかなか使えなくとも、切り身や缶詰などを活用すれば意外と取り入れやすいのではないでしょうか?

最近ではスーパーでも、味付けが済んでいて、フライパンでそのまま焼くだけの切り身も多く売られています。
使いやすいものから取り入れてみてはいかがでしょうか?

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参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

水産庁:「水産物消費の状況」

厚生労働省:「国民健康・栄養調査」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(魚油、DHA、EPA、EPA、n-3系脂肪酸について)

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。