みそ汁でダイエットできる?機能性成分とダイエット効果の実際

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健康的なみそ汁

最近、テレビや書籍、ネットで注目されている「みそ汁ダイエット」。
日本人にとってとても身近な料理であるみそ汁がダイエットに効果的、というのは本当でしょうか?

みそ汁ダイエットが話題

みそ汁でダイエット?

みそ汁ダイエットが注目されるきっかけとなったのはとあるテレビ番組です。

もともとは医師が考案した健康のための味噌汁レシピの書籍で、その内容がダイエットにも効果的としてテレビに取り上げられたそうです。

書籍のほうには特にダイエットに関して出版されたものではないものの、テレビでは主にダイエット効果に注目が集まったようです。

みそにダイエット効果がある?

また、テレビで紹介された書籍のほかにも、みそ汁やみそにダイエット効果があると紹介している書籍やウェブサイトが見つかりました。

それぞれの媒体で様々なダイエット効果があるとされる食品成分が紹介されていますが、実際にそのような効果は期待できるのでしょうか?

やせる効果があるの?

みそ汁のもと、みそ玉

テレビで紹介されたみそ汁の特徴

テレビで紹介されたおみそ汁は、特定の材料をあらかじめ合わせて冷凍し、食べるときに溶かしてみそ汁として食べるというものでした。

材料は白みそ・赤みそ・すりおろし玉ねぎ・りんご酢の4つです。
全て混ぜ合わせて製氷皿で冷凍し、みそ汁をつくるときにひとつ分を1人前として溶かして使うようです。

これら4つの材料にはそれぞれ健康効果がある成分が豊富に含まれるとされ、
白みそ:GABA
赤みそ:メラノイジン
りんご酢:カリウム
玉ねぎ:ケルセチン
が健康やダイエットに効果を発揮するとされていますが、実際に効果は期待できるのでしょうか?
今回は、ダイエット効果に焦点をあてて考えていきましょう。

白みそのGABA

GABAという成分はγ-アミノ酪酸ともいい、「血圧が高めの人に適した」特定保健用食品にも利用されている成分です。
血圧に対して一定の効果が認められている成分ですが、ダイエットにかかわる機能は報告されていませんでした。

また、ヒトの脳で抑制性の神経伝達物質として働く成分で、食事からとることでリラックス効果などがあるといわれることもあります。
しかし、食事からのGABAは体内で作られたものとは違って利用されにくいため、食事に含まれるGABAにリラックス効果があるとはいえないと考えられています。

大豆や白みそにGABAがどの程度含まれているかを示すデータは見つけられず、「みそ汁で摂取できる量のGABA」に何かしらの健康効果があるのか、ないのかを判断することはできませんでした。

赤みそのメラノイジン

メラノイジンは1種類の成分を指す言葉ではなく、みそなどに含まれる褐色(茶色)の色素成分を指す総称です。

味噌の熟成や、パンやクッキーを焼くときにできる「焼き色」のもととなる成分で、近年さまざまな機能が注目されています。

・食物繊維に似た働き(腸内環境の改善や血糖値上昇抑制)
・血圧低下作用

などの機能があるといわれていますが、いずれも試験管内での実験であったり、ヒトの食事ではありえない濃度のメラノイジンを使った動物実験での結果であったりと、普段の食生活の中でヒトに対して何らかの効果があるとは考えにくいものでした。
そのため、テレビで紹介されたみそ汁を食べることによって腸内環境の改善や血糖値・血圧の上昇抑制などの効果があるかどうかは判断しにくく、「効果あり!」と言い切れるほどのものではありませんでした。

また、ダイエットに直接かかわる「体重減少」「体脂肪減少」といった機能は見当たらず、メラノイジンもダイエット効果があるとは言えない成分です。

りんご酢のカリウム

カリウムはナトリウムとともにヒトの体内の水分やミネラルのバランスを保つのに重要で、ナトリウムをとりすぎる傾向にある日本人には積極的にとりたいミネラルのひとつです。

カリウムを十分にとることで、血圧を正常に保ったり、塩分のとりすぎが原因のむくみの改善にも役立ちます。

しかし、りんご酢にはカリウムが豊富に含まれていると紹介されていましたが、実はさほど豊富ではありません。
テレビで紹介されたレシピの1人分のりんご酢に含まれるカリウムはたったの1mg。
日本人の摂取基準では、1日のカリウムの摂取目標量は成人女性で2600mg以上、成人男性では3000mg以上。
少々のりんご酢ではあまり意味がないといえそうです。

また、カリウムにはむくみの軽減には一定の機能があるものの、ダイエットにかかわる機能は報告されていませんでした。

ちなみに、カリウムを多く含む食材の代表格は野菜と果物です。
ほうれん草は100gあたり690mg。
りんご酢は100gあたり59mg、
白みそは100gあたり380mg、
赤みそは100gあたり440mg含まれていますが、ほうれんそうと違って100gも食べることはできませんね。

食品に含まれるカリウムの量

玉ねぎのケルセチン

ケルセチンは特定保健用食品にも活用されている成分です。
脂肪を分解する酵素のはたらきを助けることで、体脂肪を減らすのを助ける効果があることが認められています。
しかし、トクホのお茶500mlに含まれるケルセチンは玉ねぎ3個分とされており、これも上のレシピで摂取できる玉ねぎの量では同じ効果が得られるとは考えにくいでしょう。

トクホの商品も長期間の摂取でわずかな変化が得られたという程度ですから、みそ汁の摂取だけでは目に見えるような効果は期待できないでしょう。

トクホとみそ汁に含まれるケルセチン

みそ汁自体に「やせる成分」というものがあるわけではない

ダイエットに限定しないのであれば、みそや玉ねぎには健康機能が期待されている成分が含まれているのは事実です。

しかし、みそ汁として摂取することを考えると、その機能が発揮されるために十分な量が含まれているとは言えません。

これらのことから考えると、このレシピのおみそ汁を毎日飲んだからと言って、それだけでダイエットができるとは考えにくいのではないでしょうか。

もともとの「健康のためにおみそ汁を」という書籍の情報が、テレビで紹介されるにあたって曲解された結果かもしれませんね。

野菜たっぷりのおみそ汁を取り入れるメリット

野菜たっぷりの味噌汁

ダイエット=摂取エネルギー(カロリー)と消費エネルギー(カロリー)のバランス

結局のところ、ダイエットによって体脂肪を減らすためには、消費エネルギー(カロリー)よりも摂取エネルギー(カロリー)を小さくするのが最も効果的です。

そのためには、食事内容を今よりも低エネルギー(カロリー)にすること、または運動量や身体活動量を増やすことが重要です。

みそ汁がダイエットに逆効果ということはありません。
活用のしかたによっては、ダイエット成功のために大きな役割を果たすかもしれません。

みそ汁でエネルギー(カロリー)を抑えつつ満腹感を得る

みそ汁は水分の多い汁物であり、野菜をたっぷり食べられることが特長です。

そのため、重量のわりに低エネルギー(カロリー)に抑えられるのが大きなメリットのひとつです。
いつもは食事に汁物はつけていなかったという人は、野菜をたっぷり入れたおみそ汁を食事に加えることでご飯やパンなどの主食、肉や魚などのメインのおかずの量を減らしやすくなります。

・野菜たっぷりの汁物を食べる
・代わりにごはんやパン、肉のおかずなどの量を少なめにする

このような工夫でも、十分にエネルギー(カロリー)オフの効果が見込めます。

気を付けたいこと

塩分に注意

野菜をたっぷり使ったおみそ汁は低エネルギー(カロリー)な食事になりますが、飲みすぎには注意が必要です。

みそ汁は塩分を多く含むものであるため、1日に何杯も飲んでしまうと、短期的にはむくみなどのトラブル、長期的には高血圧などの原因になることも。
くれぐれもみそ汁だけを飲み続けるような食事はしないようにしましょう。

また、低エネルギー(カロリー)でたっぷり食べられる料理はみそ汁だけではありません。
生野菜も食べ応えがあって低エネルギー(カロリー)な食材ですね。
果物は塩分を必要としないので、塩分の摂取量を控えめにできます。

みそ汁を免罪符にしないで

「1日1杯このおみそ汁を飲むだけでダイエット!」という情報は、とても魅力的です。
しかし、その効果は私たちが期待するほどのものではなさそうです。

「やせるみそ汁」を取り入れるのは悪いことではありませんが、それを飲んでいるからと言って食べたものがなかったことになることも、努力せずにやせるということも考えにくいでしょう。

みそ汁に限らず、何かひとつの食材や料理、またはサプリメントなどに頼るダイエット方法は効果が期待できなかったり、逆に太ってしまったり、または悪影響が考えられることもあります。

日頃の食事や運動を見直す、堅実なダイエットがいちばん効果的といえると思います。

参考文献

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(カリウム、γ-アミノ酪酸(GABA)について)

三浦 理代.メラノイジンの生理機能 日本醸造協会誌,97巻4号(2002)

本間 清一.メラノイジンに関する食品化学的研究 日本栄養・食糧学会誌,58巻2号(2005)

Fumitaka HAYASE, Sachiko HIRASHIMA, Genichi OKAMOTO, Hiromichi KATO.Scavenging of Active Oxygens by Melanoidins Agricultural and Biological Chemistry,53巻12号(1989)

亀形恵美中津川研一.味噌の種類による抗酸化性の比較 学苑生活科学紀要 No.8302 7~29(2009.12)