投稿日: 2020.10.30 | 最終更新日: 2021.09.24

果物は太る?ダイエット中は控えるべき?|管理栄養士執筆

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カットフルーツ

ダイエット中はいろいろな食べ物が気になるもの。
ダイエットの妨げになる食べ物は避けたいところですが、甘くておいしい「果物」はダイエット中に食べると太るものなのでしょうか?

ダイエット中の果物の取り入れ方について解説します。

ダイエット中の果物はOK。ただし量と食べ方に注意

ダイエットはエネルギー収支が本質。食べていけないものはない

一般的には、「ダイエット」とは余分な体脂肪を減らすこと。

からだについた余分な脂肪を減らすには、
食べ物からの摂取エネルギー(カロリー)を、生命維持や身体活動による消費エネルギーよりも小さくすること(エネルギー収支をマイナスにすること)が必要です。

反対に言えば、この原則さえ守れば、「食べてはいけないもの」というものはありません。
よって、果物も、エネルギー収支をマイナスに保てる範囲であれば、食べても全く問題ないものといえます。

太りやすい・太りにくい果物はある?果物のエネルギーを比較してみる

ダイエットにおいて、摂取エネルギー(カロリー)が高くなりやすいもの=太りやすいもの、摂取エネルギーが低く済むもの=太りにくいもの、と考えることもできます。

■各種くだもののエネルギー(100gあたり)

果物 エネルギー
いちご 34kcal
スイカ 37kcal
グレープフルーツ 38kcal
もも 40kcal
43kcal
みかん 46kcal
オレンジ 46kcal
グリーンキウイ 53kcal
パイナップル 53kcal
りんご 57kcal
ぶどう 59kcal
ゴールドキウイ 59kcal
マンゴー 64kcal
バナナ 86kcal
*100gあたり、日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

同じく食品成分表に載っているチョコレート(554kcal/100g)やプリン(126kcal/100g)のような菓子類に比べると、果物はどれもエネルギーは低めですが、その中でも重さあたりのエネルギーがより低いものを選ぶことも、果物を食べつつ太らないようにする方法のひとつかもしれませんね。

果物に特別太る成分が含まれているということはない

「果物に含まれる糖類はお米やパンよりも太りやすい」などといわれることもあります。

これは、米や小麦などの穀類に含まれる糖類のほとんどがブドウ糖で構成されているのに対し、果物に含まれる糖類はブドウ糖と果糖によって構成されている…といった、糖の組成の違いによるものです。

ブドウ糖と果糖では吸収と代謝の過程が異なるため、食後の血糖値の上がり方や体内での動きの違い(ブドウ糖は血糖値を上げる、果糖は血糖値を上げにくいが摂りすぎると血中中性脂肪を上げる)があります。

しかし、「太る=体脂肪が増える=摂取エネルギーが余る」ことに関しては、果糖もブドウ糖も重さあたりのエネルギーは同じ(1gあたり4kcal)であり、太りやすさに違いはありません。

適度な量と食べ方であれば、果物は積極的に食べたい食材のひとつ

果物は太る…といわれることもありますが、重さあたりのエネルギーを見れば、菓子類よりも断然ダイエット向きです。
もちろん、極端に多い量を食べたり、果物ばかりを食べるのは問題ですが、適度な量であれば、積極的にダイエットに取り入れたい食品のひとつといえるでしょう。

果物はどのくらい食べていい?

果物とはかり

量を食べすぎれば摂取エネルギー過剰になる、栄養バランスが崩れる

重さあたりのエネルギーがお菓子類と比べれば低い果物ですが、エネルギーがないわけではないので、食べすぎれば摂取エネルギーの過剰につながります。

また、果物にはたんぱく質や脂質が含まれていないため、食事における果物の割合が極端に多いと、体に必要な栄養素が不足し、体調不良の原因になります。

日常的な消費エネルギーや摂取エネルギーは人それぞれ異なるため、「ここまで食べても大丈夫」という量を明確に数値として示すことはできません。
エネルギーの取りすぎや栄養バランスの偏りを招かない簡単な方法としては、いつも間食として食べているお菓子類を同じ量の果物に置き換える…などの方法が挙げられますね。

「バランスの取れた食事」における果物の適量とは?

「バランスのとれた食事」を示した「食事バランスガイド」では、1日に食べる果物の適量は200gくらいとされています。
(果物はビタミンCやカリウムの供給源として位置づけられています)

200gの果物からの摂取エネルギーは100~150kcal程度。
このくらいであれば、ダイエット中においても果物が原因のエネルギー摂取過剰にはつながりにくいですし、間食にした時も食べ応えがあるのではないでしょうか?
(もともとの間食が100~150kcalよりも少なかった場合には、摂取エネルギーが増えてしまうので、そのほかの「食べすぎになっている原因」を見直す必要があります。)

ダイエット中の果物のいい食べ方・悪い食べ方とは?

食べ方によっては摂取エネルギー過剰につながりやすいかも

「果物」といっても、皮をむいてすぐに食べることもあれば、シロップ漬けの缶詰やジュース、ケーキなどに加工したものなど、いろいろです。

ダイエット中においては、果物はなるべく加工せず、「果物そのもの」を食べるようにするのが余分なエネルギー摂取につながりにくく、おすすめです。

果物なら、スイーツもOK?缶詰・スムージーは?

モモのシロップ漬け

■果物入りでもスイーツは高カロリー

果物そのものはダイエットに適した食品のひとつといえますが、果物を使ったケーキやゼリーなどはダイエット向きとは言えません。

チョコレートケーキやチーズケーキに比べれば、フルーツを使ったケーキは比較的カロリーを抑えられますが、それでもスポンジやクリームのカロリーが多く、果物そのものと同じように考えることは難しいでしょう。

■缶詰はシロップのカロリーが余計かも

また、「フルーツ缶」は日持ちもするため便利ですが、シロップ漬けになっているために重さあたりのエネルギーは高め。

エネルギー
みかん(生) 46kcal
みかん(缶詰・果肉) 64kcal
*100gあたり、日本食品標準成分表2015年版(七訂)より
エネルギー
パイナップル(生) 53kcal
パイナップル(缶詰・果肉) 84kcal
*100gあたり、日本食品標準成分表2015年版(七訂)より
エネルギー
もも(生) 40kcal
もも(缶詰・果肉) 85kcal
*100gあたり、日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

ケーキよりは低カロリーで済みそうですが、食感が柔らかく食べ応えに欠ける面もあるため、積極的に取り入れるべきものとは言いにくいです。

■砂糖不使用の冷凍フルーツもおすすめ!

種類は限られるものの、生の果物(ブルーベリーやマンゴーなど)を冷凍した商品も広く出回っています。

食感は柔らかくなっていますが、カロリーの上乗せはなく、生の果物と同じように取り入れて問題ありません。
冷凍のため、日持ちがするのも魅力といえそうです。
アイスクリームの代わりに冷凍フルーツ…とすれば、ダイエットとしても、栄養バランスとしても、いいことづくめになりそうですね。

■果物は「飲む」ではなく「食べる」

フルーツ100%のスムージーは、果物として考えていいのでしょうか?

果物の果汁だけでなく、果肉も丸ごと使ったスムージーの場合、ビタミンやミネラルといった栄養面では生の果物とほとんど同じと考えることができます。
しかし、ダイエット中の食事としては、液状になっていることで噛む必要がなく、流し込めてしまうため、その魅力は半減。
ダイエットで果物を取り入れるときには、しっかり噛んで食べたいですね。

【まとめ】摂取エネルギーカットに有効活用しよう

お菓子類に代わる間食として果物を取り入れることは、ダイエットの成功のためにとてもよい取り組みといえそうです。
とはいえ、大事なのは「くだものを食べること」ではなく「摂取エネルギーを抑えること」。
取り入れ方に気を付けながら、上手に果物を活用してくださいね。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.

厚生労働省e-ヘルスネット:「果物」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。