早食いは太るというのは本当?|管理栄養士執筆

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「食べ過ぎたら太る」というのは当たり前のことですが、それとともによく言われる「食べる速さが速いと太る」というのは本当でしょうか?

食べる速さと太ることの関係、その理由について解説します。

早食いは太るというのは本当?

食べる速度と肥満度について、関連することが報告されている

食べる速さが速いと肥満になりやすくなるというのは、2003年の女子大学生を対象とした研究*1)、2006年の中年男女を対象とした研究*2)など複数の研究によって報告されています。
*1)Sasaki S, Katagiri A, Tsuji T, Shimoda T, Amano K. Self-reported rate of eating correlates with body mass index in 18-y-old Japanese women. Int J Obes Relat Metab Disord. 2003; 27:1405-10.
*2)Otsuka R, Tamakoshi K, Yatsuya H, Murata C, Sekiya A, Wada K, Zhang HM, Matsushita K, Sugiura K, Takefuji S, OuYang P, Nagasawa N, Kondo T, Sasaki S, Toyoshima H. Eating fast leads to obesity: findings based on self-administered questionnaires among middle-aged Japanese men and women. J Epidemiol. 2006; 16:117-24.

また、複数の研究報告を組み合わせて解析した研究*3)では、食べる速度が速い人は、食べる速度が遅い人と比較して肥満になるリスクがおよそ2倍という結果が示されました。
*3)Ohkuma T, Hirakawa Y, Nakamura U, Kiyohara Y, Kitazono T, Ninomiya T. Association between eating rate and obesity: a systematic review and meta-analysis. Int J Obes. 2015; 39:1589-1596.

このようなことからも、早食いは太る…という定説は、事実として成り立つことだと考えることができそうです。

食べる速度と糖尿病発症率についても関連性が認められている

また、早食いの習慣は肥満だけでなく病気の発症にもかかわっているようです。

食べる速さと肥満、糖尿病発症率との関係を7年間にわたって調査した研究*4)では、食べる速度が速い人ほど肥満度が高く、さらにその後7年間での糖尿病の発症率も2倍高かったことが報告されています。
*4)Sakurai M, Nakamura K, Miura K, Takamura T, Yoshita K, Nagasawa SY, Morikawa Y, Ishizaki M, Kido T, Naruse Y, Suwazono Y, Sasaki S, Nakagawa H. Self-reported speed of eating and 7-year risk of type 2 diabetes mellitus in middle-aged Japanese men. Metabolism. 2012; 61:1566-71.

肥満だけでなく、肥満に関連する病気を予防するという観点からも、食べる速さは気を付けたいポイントのひとつといえそうです。

なぜ、早食いは太る?2つの理由

時間と食事の関係

食べる速さと肥満に関連があることはわかりましたが、どのような仕組みで肥満を招きやすくなってしまうのでしょうか?

そのメカニズムははっきりとはわかっていませんが、「早食い」によって肥満につながりやすい状況を作ってしまうようです。

満腹中枢が働く前に食べすぎる

私たちの体は食べ物を食べてから満腹中枢が刺激されて満腹感を感じるまでにタイムラグがあることが知られています。

そのため、早食いをすることによって、満腹感を感じる前に本来の満腹以上の量を食べてしまうために摂取エネルギー過剰からの肥満につながる可能性が考えられます。

流し込みやすい食物繊維の少ないものを選ぶ傾向にある…かも。

早食いの習慣はある人は、忙しい・食事の時間を十分にとれないなどの理由がある場合も考えられます。
このような場合、ゆっくり食べる必要のない、流し込むように食べられるもの(=噛む動作があまり必要にならない、食物繊維が少ないもの)を選びがちになることが想像されます。

複数の研究*5)*6)において、「食物繊維の少ない食事」は体重増加に関連することが知られています。
*5)Du H, van der A DL, Boshuizen HC, et al. Dietary fiber and subsequent changes in body weight and waist circumference in European men and women. Am J Clin Nutr 2010; 91: 329─36.
*6)Reynolds A, Mann J, Cummings J, et al. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. Lancet 2019; 393: 434─45.

これらのことから、早食い習慣がある=流し込める食べ物をよく食べる=食物繊維の少ない食事になりがち=肥満につながりやすい食生活になりやすい と関連付けることもできそうです。

太らないために「食べ方」に気を付けるのも大事

ダイエットや肥満防止の観点から考えると、「何をどのくらい食べるか」ということと合わせて、「どう食べるか」という「食べ方」も大事なポイントになるといえそうです。

いくつかの「食べ方の工夫」について、体重減少との関連が示されているものがありますので、紹介します。

早食いをやめることで体重減少の可能性あり

早食いが肥満につながることが示されていましたが、早食いをやめることによって肥満の解消や予防につながる*7)ことが期待されています。
*7)安藤雄一、花田信弘、柳澤繁孝.「ゆっくりとよく噛んで食べること」は肥満予防につながるか? ヘルスサイエンス・ヘルスケア. 2008; 8: 54-63.

肥満および生活習慣病リスクの高い人に向けて実施される「特定保健指導」*8)においても、早食いは改善すべき食習慣として位置づけられています。
*8)厚生労働省:「標準的な健診・特定保健指導プログラム【平成30年度版】」

早食いの改善方法としては、

・よく噛むことを意識する
・会話しながら食事をする
・汁物で流し込まない
・野菜を増やす(歯ごたえがありよく噛むことにつながる)

などのポイントが挙げられています。

深夜の食事をやめることで腹囲減少等の報告あり

早食いとは別に、「夜遅い時間の食事」も太りやすい食習慣のひとつと考えられています。

就寝前2時間以内の夕食をとる頻度が高い人が早めの夕食をとるように生活習慣を改善すると、腹囲の減少などのよい影響がみられたことが報告*9)されています。
*9)平成22年厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「特定健診・保健指導開始後の実態を踏まえた新たな課題の整理と保健指導困難事例や若年肥満者も含めた新たな保健指導プログラムの提案に関する研究」(研究代表者 横山徹爾)

夜遅い時間の夕食についても、早食いと同様に「特定保健指導」*8)において改善すべき生活習慣のひとつとされています。
*8)厚生労働省:「標準的な健診・特定保健指導プログラム【平成30年度版】」

自分の食べ方に意識を向けてみよう

「何をどのくらい食べるか」と同じように、早食いのような「どのように食べるか」も肥満のなりやすさに影響を与えることが知られています。

食べ方の問題点については、自分自身ではなかなか気付きにくいものではありますが、ほかの人と比較してみたり、食事の時間を確認してみたり…など、自分の食べ方の癖を見つけることから始めてもいいかもしれませんね。

参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省:「標準的な健診・特定保健指導プログラム【平成30年度版】」

Sasaki S, Katagiri A, Tsuji T, Shimoda T, Amano K. Self-reported rate of eating correlates with body mass index in 18-y-old Japanese women. Int J Obes Relat Metab Disord. 2003; 27:1405-10.

Otsuka R, Tamakoshi K, Yatsuya H, Murata C, Sekiya A, Wada K, Zhang HM, Matsushita K, Sugiura K, Takefuji S, OuYang P, Nagasawa N, Kondo T, Sasaki S, Toyoshima H. Eating fast leads to obesity: findings based on self-administered questionnaires among middle-aged Japanese men and women. J Epidemiol. 2006; 16:117-24.

Ohkuma T, Hirakawa Y, Nakamura U, Kiyohara Y, Kitazono T, Ninomiya T. Association between eating rate and obesity: a systematic review and meta-analysis. Int J Obes. 2015; 39:1589-1596.

Sakurai M, Nakamura K, Miura K, Takamura T, Yoshita K, Nagasawa SY, Morikawa Y, Ishizaki M, Kido T, Naruse Y, Suwazono Y, Sasaki S, Nakagawa H. Self-reported speed of eating and 7-year risk of type 2 diabetes mellitus in middle-aged Japanese men. Metabolism. 2012; 61:1566-71.

Du H, van der A DL, Boshuizen HC, et al. Dietary fiber and subsequent changes in body weight and waist circumference in European men and women. Am J Clin Nutr 2010; 91: 329─36.

Reynolds A, Mann J, Cummings J, et al. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. Lancet 2019; 393: 434─45.

安藤雄一、花田信弘、柳澤繁孝.「ゆっくりとよく噛んで食べること」は肥満予防につながるか? ヘルスサイエンス・ヘルスケア. 2008; 8: 54-63.

平成22年厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「特定健診・保健指導開始後の実態を踏まえた新たな課題の整理と保健指導困難事例や若年肥満者も含めた新たな保健指導プログラムの提案に関する研究」(研究代表者 横山徹爾)

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。