2020.04.17

きな粉は大豆の栄養豊富で美容効果も高い?|管理栄養士執筆

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きなこ

和菓子をはじめとしたスイーツにもよく使われる「きな粉」。
香ばしい風味で人気の高いきな粉ですが、栄養効果も期待されているようです。
「栄養素が豊富に含まれている」「美容効果や健康効果がある」ともうわさされていますが、
実際のはたらきはどうなのでしょうか?
一回に使う量なども踏まえ、紹介します。

Contents

きな粉って何の粉?

そもそもきな粉って何からできているか知っていますか?

きな粉の原料はお豆腐や納豆と同じ「大豆」で、
大豆を炒って粉末状に挽いたものをきな粉といいます。

粉末状に挽く前に皮をむいたものを脱皮きな粉、皮を剥かずに挽いたものを全粒きな粉といい、製品によって口当たりや栄養価も多少異なります。

黄大豆を原料とした黄色がかったものが一般的ですが、青大豆を原料として淡い緑色をしたものもあり、青きな粉やうぐいすきな粉といわれています。

栄養的特徴(100gあたり)

きな粉にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか?
皮ごと挽いた全粒きな粉と皮をむいて挽いた脱皮きな粉の100gあたりの栄養価をあわせて調べてみました。

きな粉の栄養価
きな粉
(全粒)
きな粉
(全粒)
食事摂取基準
(2020年版)
(18-64歳女性)
エネルギー 450kcal 451kcal
たんぱく質 36.7g 37.5g 50g(推奨量)
脂質 25.7g 25.1g
炭水化物 28.5g 29.5g
食物繊維 18.1g 15.3g 18g以上(目標量)
カリウム 2000㎎ 2000㎎ 2600㎎以上(目標量)
8.0㎎ 6.2㎎ 10.5㎎(月経あり推奨量)
ナイアシン 10.8㎎ 11.1㎎ 11-12㎎(推奨量)
葉酸 220㎍ 250㎍ 240㎍(推奨量)
*100gあたり *1日あたり

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

きな粉の栄養成分の特徴

きな粉は豆腐や納豆と違い、水分を含まないために栄養素が凝縮された状態になっています。

①たんぱく質が豊富、アミノ酸スコアも高い

きな粉はその重量の1/3以上をたんぱく質が占める食品です。
また、きな粉に含まれるたんぱく質はその質についても効率の良いものであるのが特徴です。
食品に含まれるアミノ酸の(人の体内においての)利用効率は、アミノ酸スコアという数値で表されます。

通常、植物由来のたんぱく質のアミノ酸スコアはあまり高くないことが多いですが、大豆のアミノ酸スコアは肉や魚を同じ「100」となっており、きな粉を含む大豆製品は優秀なたんぱく質摂取源といえます。

②脂質も多いものの、健康的な組成

たんぱく質を豊富に含む一方で、きな粉は脂質も比較的多く含む食品です。
脂質が多いというと、食べるのを避けたいと思う人も少なくないのではないでしょうか?
摂りすぎはもちろんよくありませんが、きな粉に含まれる脂質は積極的にとりたい種類のものが多いというのも特徴です。

きな粉に含まれる脂質の脂肪酸組成(油の種類別の割合)は飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=15:25:60(%)となっており、血中LDLコレステロールを下げる方向に働く多価不飽和脂肪酸を多く含むのが特徴です。

脂肪酸ごとの違い

③ビタミン豊富、は言い過ぎかも

ビタミンC以外の栄養素はすべて含む日本のスーパーフード!ともいわれるきな粉。
しかし、ビタミンCだけではなく、ビタミンAやB1、B12もほとんど含まれていないため、上述のような表現は過剰なもの、ということになりそうです。

とはいえなにも含まれていないということではありません。
ビタミンの中でも、ナイアシンや葉酸については多く含まれているといえます。

④ミネラルのうち注目したい2種類

カリウムと鉄分を豊富に含むきな粉。
日本人は塩分(ナトリウム)をとりすぎる人が多いため、塩分の排出を助けてくれるカリウムは意識して取りたい栄養素のひとつです。

また、鉄分も月経のある女性では不足しやすい栄養素ですが、なかなか十分な量をとりにくい栄養素でもあります。

⑤炭水化物の大部分が食物繊維

きな粉に含まれる炭水化物の半分以上を食物繊維が占めているのも特徴的です。
食物繊維はしっかりとることで様々な生活習慣病を予防することにつながることが分かっているため、注目されている栄養素です。

大豆製品同士で比較

大豆製品

きな粉は大豆製品の中でも栄養価が高い、といわれますが、実際にはどうなのでしょうか?
同じく大豆から作られる、木綿豆腐や納豆と栄養成分を比較してみます。

100gあたり栄養価
きな粉
(全粒)
きな粉
(脱皮)
豆腐
(木綿)
納豆 食事摂取基準
(2020年版)
(18-64歳女性)
エネルギー 450kcal 451kcal 80kcal 200kcal
たんぱく質 36.7g 37.5g 7.0g 16.5g 50g(推奨量)
脂質 25.7g 25.1g 4.9g 10.0g
炭水化物 28.5g 29.5g 1.5g 12.1g
食物繊維 18.1g 15.3g 1.1g 6.7g 18g以上(目標量)
カリウム 2000㎎ 2000㎎ 110㎎ 660mg 2600㎎以上(目標量)
8.0㎎ 6.2㎎ 1.5㎎ 3.3mg 10.5㎎(月経あり推奨量)
ナイアシン 10.8㎎ 11.1㎎ 0.2㎎ 1.1mg 11-12㎎(推奨量)
葉酸 220㎍ 250㎍ 12㎍ 120㎍ 240㎍(推奨量)
*100gあたり *1日あたり

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

ほかの大豆製品よりも栄養素が豊富…??

同じ重さで見比べてみると、きな粉は度の栄養素も豊富に含まれていることが分かります。
確かに、大豆製品の中でも栄養価が高いというのは本当…なのでしょうか?

この表は、100gあたりでの比較。
100gというと、お豆腐では小さい1パックよりも少なく、納豆では2パックぐらいを指しますが、きな粉では1.5カップ(300ml分)にも相当します。

お豆腐100gを食べるのは簡単、納豆2パックも食べられなくはない量ですが、きな粉1.5カップは、食べるにはあまり現実的ではない量です。

同じ重さで比べれば確かに栄養価が豊富のようですが、あまり現実的な比較とはいえなさそうです。

実際に使う量で比較してみよう

スプーン1杯のきな粉

きな粉の1回使用量は5g程度

木綿豆腐の1人前は冷ややっことして考えるとおおよそ130g(小パック1個に相当)、
納豆の1人前は45g(1パック分)、
きな粉の1人前は和菓子などに使う量として大さじ1(5g)と仮定します。

1回使用量で比較してみよう

1食当たり栄養価

きなこ
(全粒)
きなこ
(脱皮)
とうふ
(木綿)
納豆 食事摂取基準
(2020年版)
(18-64歳女性)
1回使用量 5g 5g 130g 45g
エネルギー 23kcal 23kcal 104kcal 90kcal
たんぱく質 1.8g 1.9g 9.1g 7.4g 50g(推奨量)
脂質 1.3g 1.3g 6.4g 4.5g
炭水化物 1.4g 1.5g 2.0g 5.4g
食物繊維 0.9g 0.9g 1.4g 3.0g 18g以上(目標量)
カリウム 100㎎ 100㎎ 140㎎ 300㎎ 2600㎎以上(目標量)
0.4㎎ 0.3㎎ 2.0㎎ 1.5㎎ 10.5㎎(月経あり推奨量)
ナイアシン 0.5㎎ 0.6㎎ 0.3㎎ 0.5㎎ 11-12㎎(推奨量)
葉酸 11㎍ 13㎍ 16㎍ 54㎍ 240㎍(推奨量)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

たんぱく源や微量栄養素の摂取源として最適とは言いにくい

一度に食べる量を考慮して考えると、きな粉に含まれる栄養素にもとびぬけたものはなさそうです。

食事摂取基準の値と照らし合わせてみても、通常使う量のきな粉でカバーできる栄養素、というものはなさそうです。

とはいえ、少量のわりにたんぱく質などの栄養素をとれる、ということを考えると、食が細くたくさん食べられない、という人にとっては効率的な栄養素摂取源のひとつといえそうです。

きな粉の栄養素で現実的なものは食物繊維のちょい足し

大さじ1のきな粉で摂れる栄養素の中で、魅力になりうるものは「食物繊維」かもしれません。
食物繊維は生活習慣病の予防の観点から、摂取量を増やしたい栄養素のひとつです。

もちろん、1食分で1日に取りたい量をカバーできるようなものではありませんが、「ちょい足し」として食事に取り入れることで食物繊維の摂取量を少し増やすことができそうです。

機能性成分が豊富?美容効果・健康効果があるってほんと?

トクホにも利用されている

きな粉の原料である大豆からはたくさんの機能性成分が見つかっています。
大豆由来の機能性成分を利用した特定保健用食品(トクホ)も複数存在し、

大豆たんぱくについては「コレステロールが高めの方に適する」
大豆ペプチドについては「血圧が気になる方に適する」
大豆イソフラボンについては「骨の健康が気になる方に適する」
といった表示の食品が許可されています。

それぞれの効果について詳しく解説します。

大豆イソフラボンの効果は?

女性では更年期から閉経後、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減ることで様々なトラブルが起こることがあります。

大豆イソフラボンは、エストロゲンに構造が似ている物質で、植物エストロゲンとも呼ばれ、体内に吸収されるとエストロゲンに似た働きをする、と考えられています。

①閉経に伴うエストロゲン欠乏に対しての効果

エストロゲン欠乏によるトラブルのひとつである「骨粗しょう症」に対して大豆イソフラボンを利用した特定保健用食品が認められています。

また、トクホにはなっていませんが、大豆イソフラボンをとることで、更年期の「ホットフラッシュ」にも効果があったとする研究報告があり、これらの分野での効果が期待されています。

ホットフラッシュとは:

更年期におけるホルモンバランスの乱れにより、急にのぼせ、ほてり、発汗などが起こる更年期障害の代表的な症状のひとつ。

ただし、どちらも研究によっては「効果があった」とするものと「効果がなかった」とするものが混在している状況です。

トクホなどの個別に評価されたもの以外(その他の健康食品やきな粉を含む一般の食品)では、効果が得られるかどうかは判断できません。

②美肌やアンチエイジングに効果ありってほんと?

大豆イソフラボンがエストロゲンのような働きをする、ということについては期待ができますが、

・エストロゲンの不足が考えにくい年代の人に対しての効果
・上記のような骨の健康やホットフラッシュの改善以外の効果

については確認されていません。

そのため、大豆イソフラボンをとることで「美肌効果がある?」「アンチエイジング効果がある?」といわれることもありますが、現状は美容・アンチエイジングのような効果は期待できないと考えたほうが確実です。

更年期などでエストロゲンが欠乏した結果起きているトラブルに対しては有効である可能性は考えられるかもしれません。

食物繊維・オリゴ糖の便秘改善効果?

大豆オリゴ糖を関連成分として、「おなかの調子を整える」トクホが認可されています。

オリゴ糖は食物繊維の一種で、腸内細菌の栄養源となって腸内環境を整え、便通を改善する作用があるといわれています。
大豆オリゴ糖は1日あたり2-6gの摂取でトクホと同等の効果があると考えられますが、

きな粉に含まれるオリゴ糖は7%程度といわれています。

2-6gのオリゴ糖摂取のためにはきな粉の状態で28-85gほどが必要な計算になり、きな粉からとるのはやや難しいかもしれません。

大豆たんぱく、大豆ペプチドの生活習慣病予防効果?

大豆から得られるたんぱく質として、大豆たんぱくと大豆ペプチドがあります。

大豆たんぱくから分解・生成したものが大豆ペプチドです。

①大豆ペプチドは血圧低下作用でトクホに

大豆ペプチドでは高血圧の人に対して血圧低下作用がみられたことで「血圧が気になる方に適した」トクホ(調味料)が許可されています。

②大豆たんぱくの血中脂質改善作用

また、大豆たんぱくが体内で消化を受けてペプチドとなると、体内でコレステロールから作られる胆汁酸などを吸着して排泄させるなどのはたらきがあることが知られており、
血中コレステロールや血中中性脂肪の低下作用があるといわれています。
「コレステロールが高めの方に適する」トクホ(豆乳飲料)にも利用されています。

大豆ペプチド・大豆たんぱくのトクホは個別許可型。原料が同じ大豆でも、同じ効果があるとは限らない

とはいえ、いずれも調味料や豆乳のような形態であり、製造過程もきな粉とは異なります。
同じ大豆から作られていても「きな粉」の摂取で同様の効果があるとは言い切れません。

確実に効果を得たいのであれば個別に評価を受けたトクホ製品そのものを取り入れるのがいいでしょう。

サポニンでダイエット効果?

大豆サポニンはサプリメントなどにも使われることがある成分で、ダイエット効果があるといわれることもあるようです。

しかし、いまのところサポニンやサポニンを含む大豆をとることでダイエットにつながるという研究結果は得られておらず、ダイエット効果を目的に大豆サポニンや大豆製品をとることにはあまり意味はなさそうです。

きな粉として取った時に健康効果が表れるかどうか、はっきりとはわからない

大豆の成分としての研究は広く行われていますが、一般的な食事に使われる量のきな粉で十分な量が摂取できるというものではなさそうです。

ではたくさんとればとるほど効果が出るか?といえば、よくない影響が出る可能性も高くなってしまいそうです。

大豆イソフラボンの過剰摂取には注意が必要

サプリメントの摂取

きな粉を含む大豆製品の取りすぎで気をつけたいのが「大豆イソフラボンの過剰摂取」です。

とればとるほどいいものということではないことに注意

大豆イソフラボンはエストロゲンが不足しがちな人にとっては有効性のある成分です。

しかし、サプリメントなどによるイソフラボンの過剰摂取によって子宮内膜増殖症などの健康被害が報告されていることに注意が必要です。

厚生労働省より、安全な大豆イソフラボンの摂取量の上限は1日あたり70-75㎎と示されており、サプリメントなど、過剰摂取につながりやすい形態の食品での摂取量に注意しましょう。

1日に取る量の目安は?

通常の食事であれば、私たちが1日に取るイソフラボンの量は平均20㎎程度、多い人でも70㎎程度といわれています。

きな粉のイソフラボン含有量は100gあたり平均266.2㎎といわれていますので、大さじ1(5g)では13.3㎎。

通常の食品からの摂取は問題ないとされていますし、きなこ1食分ではさほど問題の起こりそうな量ではありません。

しかし、イソフラボンの効果を得ようとして多量に摂取するのは避けたほうが安心といえそうです。

食材のひとつとして活用するのが◎

大豆製品のひとつであるきな粉は様々な健康効果が期待されている食品ではありますが、効果については確固たるものはあるとはいえず、またイソフラボンの過剰摂取も避けたいところです。

おいしい食材のひとつとして活用するのがいちばん、といえそうですね。

参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

厚生労働省 女性の健康推進室ヘルスケアラボ:「ホットフラッシュ」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(ダイズ、ダイズイソフラボン、大豆オリゴ糖、ダイズサポニンについて)

国立国会図書館 レファレンス協同データベース:「オリゴ糖を多く含む食べ物について」

内閣府 食品安全委員会:「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」

厚生労働省:「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」

消費者庁:「特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。