投稿日:2023.01.09 | 最終更新日:2023.01.17

糖質をとりすぎるとどうなる?過剰摂取の影響と摂取量の目安を紹介

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糖質は必須栄養素のひとつですが、取りすぎも体に悪影響があることが知られています。
糖質の取りすぎで起こる食事内容や健康への影響、糖質の理想的な摂取量と糖質摂取量を適正量に収めるための食事のポイントについて解説します。

糖質とは

糖質は3大栄養素である炭水化物に含まれる栄養素であり、エネルギー源として生命維持のための重要な役割を担っています。
私たちは日々の食事から糖質を摂取し、消化・吸収を経て体内でエネルギーとして消費しています。

糖質の定義

糖質は、3大栄養素である炭水化物のうち、ブドウ糖や砂糖、アミロース・アミロペクチンといったでんぷんなど、体内で消化・吸収されるものを指します。
消化・吸収されない炭水化物は「食物繊維」と呼ばれます。

糖質は最小単位である単糖(ブドウ糖や果糖など)や、単糖が2個~多数結合したもので、単糖の種類や結合数によって、それぞれ別の物質として存在しています。

単糖、二糖、多糖の図

糖質のうち、単糖と二糖は糖類、糖類にオリゴ糖や多糖(でんぷん)を加えたグループが糖質、とされています。

糖質の働き

糖質の栄養素としての働きは「全身の主要なエネルギー源になること」です。

糖質は食品として摂取されると、体内で消化・吸収を受けて単糖のひとつである「ブドウ糖」として血液に乗り、全身に運ばれます。
その後、体内の様々な細胞で1gあたり4kcalのエネルギー源として消費されます。

また、体内では「原則、ブドウ糖(糖質)のみをエネルギー源とする組織」が存在し、脳や神経組織、赤血球などがこれにあたります。

糖質だけではなく、たんぱく質や脂質もエネルギーとして消費されますが、脳や赤血球などのエネルギー源としては特に必要性が高い栄養素といえます。

糖質を多く含む食品

糖質は主に植物性の食品に、でんぷんや糖類として含まれています。

■糖質を多く含む食品の例

  • 穀類(米、小麦製品など)
  • いも類
  • 豆類
  • でんぷん加工品(片栗粉や春雨)
  • 砂糖類
  • 砂糖類を使用した加工品(菓子類、ソフトドリンクなど)

このほか、含有量としては多くはないものの、果物類や野菜類にも糖質が含まれています。

糖質の取りすぎによる食事内容への影響

糖質はエネルギー源として利用される必須栄養素であり、不足しないように摂取したい栄養素です。
一方で、糖質をとりすぎるのも、食事のバランスを欠いてしまいます。
糖質の取りすぎによっておこる食事バランスの乱れについて解説します。

摂取カロリー過多

大量の糖質を摂取すると、食事からの摂取カロリーが多くなりすぎてしまいます。

これは糖質に限った話ではなく、脂質やたんぱく質でも、必要以上の量を食べると摂取カロリー過多につながります。

1日の消費カロリーは人によって異なりますが、消費カロリーに対して摂取カロリーが多すぎる状態が続くと、のちに解説する様々な体への悪影響が起こります。

栄養バランスの乱れ

摂取カロリーが適正範囲内でも、糖質の摂取割合が大きくなるとその分たんぱく質や脂質の摂取量が少なくなり、摂取栄養素のバランスを欠くことにつながります。

摂取カロリー過多だけでなく、栄養バランスの乱れによっても健康への悪影響があることが知られています。

糖質の取りすぎによる体への影響

糖質の取りすぎは食事からのカロリー過多や、栄養バランスの乱れを引き起こします。

糖質をとりすぎることでカロリー過多や栄養バランスが乱れた食事が続くと、体脂肪の蓄積や生活習慣病など、健康への悪影響が現れることもあります。

肥満

糖質の取りすぎで摂取カロリー過多の状態が続くと、肥満の原因となります。

糖質の取りすぎなど、摂取カロリーが消費カロリーを超えた状態では、エネルギーとして使われず、余ったブドウ糖は脂肪組織に体脂肪として蓄積されます。
体脂肪は摂取カロリーが消費カロリーよりも少ないときに消費されますが、長期にわたって摂取カロリーが消費カロリーを上回った状態が続くと、徐々に体脂肪が増え、肥満に至ることが考えられます。

肥満度(BMI、体格指数とも)は身長に対する体重で計算することができ、BMIが25.0を超えると肥満と判断されます。

■体格指数(BMI)の計算方法

BMI=体重(㎏)÷{身長(m)}2 

■肥満度の分類(日本肥満学会)

体格指数(BMI)  肥満度の判定
18.5未満  低体重
18.5以上25.0未満  普通体重
25.0以上30.0未満 肥満(1度)
30.0以上35.0未満 肥満(2度)
35.0以上40.0未満  肥満(3度)
40.0以上  肥満(4度)

このほか、メタボリックシンドロームの診断基準では、ウエスト周囲径が男性85㎝以上、女性90㎝以上の場合に内臓脂肪が蓄積した状態=内臓脂肪型肥満と判断されます。

血中中性脂肪値上昇(脂質異常症)

糖質の摂取量が多すぎると、血中中性脂肪値が高くなることが知られています。

血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が高い状態は「脂質異常症」のひとつで、血中トリグリセライド150㎎/dl以上で「高トリグリセライド血症」と判断されます。

脂質異常症には高トリグリセライド血症のほかに高LDLコレステロール血症や、低HDLコレステロール血症などがあります。
脂質異常症は高血圧や高血糖状態とともに動脈硬化を進行させる要因のひとつです。

血中中性脂肪の上昇は肥満によっても引き起こされることはよく知られていますが、肥満の有無とは別に、糖質の取りすぎも血中中性脂肪の値を上げる要因となります。

動脈硬化性疾患(生活習慣病)

糖質をとりすぎる食生活による肥満や脂質異常症に加え、その他のリスク要因が組み合わさると、動脈硬化の進行によって、心臓病や脳卒中など、より重大な病気を引き起こすことが考えられます。

動脈硬化は血管が硬くなったり、血管内にコレステロールが沈着して狭くなったり、詰まりやすくなったりした状態のこと。
動脈硬化は肥満、脂質代謝異常、糖代謝異常、高血圧、喫煙によって進行しますが、これらのリスク要因が複数重なることによって、さらにリスクが高まることが分かっています。

肥満に加えてこれら複数のリスク要因が重なった状態を「メタボリックシンドローム」といい、動脈硬化による脳卒中や心臓病などのリスクが高い状態を指します。

メタボリックシンドロームと特定健診・特定保健指導について詳しく解説した記事はこちら

虫歯

糖質のうち、砂糖などの「遊離糖類」の摂取量が多すぎると、虫歯のリスクが高まることが知られています。

もちろん、虫歯の発生には糖類の摂取量だけでなく食事のとり方や歯磨き習慣などの要因も大きく関係しますが、糖類の摂取量が多いと虫歯になりやすい状態になりやすいと考えることができそうです。

たんぱく質や脂質の摂取不足

糖質の摂取源となる食品(穀類など)ばかりを食べ、たんぱく質や脂質の摂取源となる食品を食べないような極端に糖質に偏った食事では、同じく必須栄養素であるたんぱく質や脂質の摂取量が減ってしまうことによる健康への悪影響が起こることも考えられます。

たんぱく質、脂質はエネルギー源として以外にも、必須アミノ酸や必須脂肪酸の摂取源として必要な栄養素です。
糖質の取りすぎでたんぱく質や脂質が極端に少ない食事が長期に及ぶと、これらの不足により種々の健康障害につながる恐れがあります。

このほか、極端な食生活ではたんぱく質や脂質以外の栄養素(一部のビタミン・ミネラルなど)が不足し、体調に異常をきたす可能性も考えられます。

糖質の適正量とは

糖質に偏った食事では、カロリー過多、糖質の摂取過剰、糖質以外の栄養素の不足などにより、健康に様々な悪影響があることが知られています。

摂取栄養素のバランスを保ち、肥満や虫歯といった糖質の取りすぎによる悪影響を避けるための「適正量」を紹介します。

摂取エネルギーの50~65%

日本人の食事摂取2020年版では、炭水化物(≒糖質)の摂取量の目標値を摂取エネルギーの50~65%と示しています。(1歳以上男女)

これは、脂質やたんぱく質の摂取量を適量の範囲に収め、かつ必要なカロリーを確保することを目的として示された量で、「栄養バランスを保つための糖質摂取量」と考えることができます。

糖類はエネルギーの10%未満

世界保健機関(WHO)は、肥満や虫歯の予防のため、遊離糖類(調理加工の際に加えられる糖類。砂糖類、ハチミツ、シロップ、濃縮果汁などに含まれる糖類)の摂取量を摂取エネルギーの10%未満、できれば5%未満にすることを推奨しています。

糖質摂取量を適正量に収めるコツ

糖質は食品中に含まれる成分であり、普段の食事で「今日は何グラム摂取したか」を知るのは容易ではありません。

また、糖質の適正量は摂取エネルギーの50~65%と比較的幅が広く、ある程度バランスの取れた食事内容であれば、厳密な計算をしなくても、おおむね適正な範囲に収めることが可能です。
糖質の摂取量を適正範囲に収めるための食事のポイントを紹介します。

1日3食食べる

朝食、昼食、夕食以外の時間に食べる「間食」では、お菓子などの糖質・糖類に偏った食事になりがちです。

甘いお菓子や飲み物ではない、ごはんとおかずを組み合わせた食事を1日3回しっかりとることで、糖質や糖類に偏った食事を避けることができます。

主食・主菜・副菜をそろえる

食卓にのぼる料理は主食、主菜、副菜に分類することができ、それぞれ摂取できる栄養素に特徴があります。

  • 主食…主にごはんやパンなど、糖質の主な摂取源となる
  • 主菜…肉、魚、たまご、大豆製品のおかず、たんぱく質の主な摂取源になる
  • 副菜…野菜、きのこ、海藻類などのおかず、ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取源になる

*食事バランスガイドではほかに果物、乳製品の分類がある

1回の食事ごとに主食、主菜、副菜をそろえることで、糖質の摂取源になる料理ばかりになることを防げます。
また、たんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラルなど、必須栄養素の適量摂取にも効果的です。

主食、主菜、副菜がそろった食事の代表格がいわゆる「定食メニュー」。
反対に、主食に偏った食事の代表格は「ラーメン+チャーハン」のような「主食+主食」の組み合わせです。

甘い間食は1日200kcalまで

お菓子類やソフトドリンクなどの食品は砂糖類が多く使われている傾向がある一方で、糖質以外の必須栄養素はあまり多くなく、健康的な食生活につながりにくいものといえます。

お菓子やソフトドリンクの取りすぎは単純に糖質の取りすぎや栄養バランスの乱れにつながるため、適量範囲に収めるのが良いでしょう。

その目安となるのが、1日あたり200kcalまで。
お菓子や飲み物のパッケージの表示などを確認し、1日を通して適量に収まるように意識してみましょう。

まとめ

糖質は身体のエネルギー源として必要な栄養素のひとつではあるものの、たんぱく質・脂質と同様に、取りすぎは健康に悪影響を及ぼします。

糖質の過剰摂取を通じた摂取カロリー過多による肥満や生活習慣病のリスク増大のほか、摂取栄養素が糖質ばかりになることによる糖質以外の必須栄養素の不足などが考えられます。

糖質摂取量の適正範囲は総摂取エネルギーの50~65%、砂糖などの糖類として摂取する場合は総摂取エネルギーの10%未満(できれば5%未満)が推奨されています。

糖質の摂取量を適正範囲に収めるためのポイントは、バランスの取れた食事をとることです。
1日3回の食事を確保して間食は控えめに、主食・主菜・副菜をそろえることで糖質に偏った食事を避けることができます。

糖質に限らず、たんぱく質や脂質、その他の栄養素についても、不足と過剰のどちらも望ましい状態ではありません。
将来にわたって健康な体を維持するためにも、バランスの取れた食事を無理なく続けていきたいですね。

参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.

上西一弘. 食品成分最新ガイド 栄養素の通になる 第5版. 女子栄養大学出版部, 2022.8

厚生労働省e-ヘルスネット:「肥満と健康」

日本動脈硬化学会.動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版.一般社団法人日本動脈硬化学会:東京,2017.

メタボリックシンドローム診断基準検討委員会. メタボリックシンドロームの定義と診断基準. 日本内科学会雑誌; 2005;94:188-203.

World Health Organization. Guideline: sugars intake for adults and children. Geneva: World Health Organization; 2015.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。