2020.01.10

海苔は栄養豊富?栄養データの「量」に注意!|管理栄養士執筆

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ごはんと海苔

海苔は栄養豊富な食材、と言われています。
各種ビタミンやミネラルが普通の食材の何倍も含まれているとのこと。

でも、海苔のような食品は栄養豊富でも、実際に摂取できる栄養素の量は限られそうです。

海苔に含まれる栄養素と海苔の特性について、解説していきます。

海苔は驚きの栄養素含有量?

人が生きていくうえで食事などから摂取することが必要な栄養素はたんぱく質・脂質・炭水化物に加え、ビタミン13種、ミネラル13種です。

海苔はこれらの栄養素をたっぷり含むことが知られており、「栄養豊富な食材」として様々な場面で紹介されています。

海苔に含まれる各種栄養素データ(100gあたり)
焼きのり 食事摂取基準に対して

充足率(18~64歳女性)
エネルギー 188kcal
水分 2.3g
たんぱく質 41.4g 82.8%
脂質 3.7g
炭水化物 44.3g
うち食物繊維 36.0g 200%
カリウム 2400㎎ 92%
マグネシウム 300㎎ 103~110%
11.4㎎ 109%(月経有の場合)
ヨウ素 2100㎍ 1615%
モリブデン 220㎍ 880%
ビタミンA当量 2300㎍ 330~350%
ビタミンK 390㎍ 260%
ビタミンB 2.33㎎ 210%
ナイアシン当量 20.2㎎ 168~183%
葉酸 1900㎍ 792%
ビオチン 46.9㎍ 94%
ビタミンC 210㎎ 210%
*100gあたり、
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書より作成
たくさんの栄養素がたっぷり含まれる?

たしかに、海苔はたくさんの栄養素を豊富に含み、100gで1日の摂取基準量を大きく上回るものが多数あります。

毎日海苔を食べていれば栄養素不足になることはない…本当でしょうか?

海苔はすごい食品…?でもちょっと考えてみよう

一見すると様々な栄養素をたっぷり含んでいる海苔ですが、このデータは「100gあたり」という点に注意が必要です。

一般的に売られている海苔のうち、一番大きいサイズ、全形(21㎝×19㎝)1枚の重さは3g。

100g分の栄養素を取り入れるためには、33枚以上を食べなければいけません。
もともと、海苔というものは1回にさほど多くを食べる食材ではありません。

手巻きずしなど海苔を多用する料理を除いて、1日に1枚も食べることは少ないのではないでしょうか。

「食べられる量」を考えると…

いくら海苔が栄養豊富な食材だったとしても、1日に何十枚も食べられるものではないうえ、ほかの食材を食べられる量が減ってしまうことも考えられます。

「海苔は栄養素を豊富に含む食品」「栄養素を効率的にとれる」ということは嘘ではありませんが、実際に私たちが摂取可能な量でも豊富な栄養素を摂取できるか、と考えると、少し難しい食品といえそうです。

栄養価の高さはどうやって比べるのがいい?

重さあたりで考えると、乾物類は栄養価が高く出る

「●●に比べて、○○は栄養素が豊富な食べ物です!」といわれるとき、単純に考えれば「同じ重さの場合」で比べることが多いと思います。

食品は水分が少ないほどその他の栄養素の割合は増えるため、一般的に同じ重さで比較すると、水分の少ない食品ほど「栄養価が高い」ように見えるという特徴があります。

乾物の栄養価

しかし、水分が少なく乾燥した食品の場合、調理による水分や、消化管内の水分を吸収して膨張することが多く、「栄養価が著しく高く見える食品=実際には少量しか食べられない食品」であることが多いです。

調理による重量変化

水分を含んだ野菜を100g食べることは容易でも、乾物では調理などによって数十倍に膨張することがあります。
調理前の状態で栄養価を考えても、食べるときには現実的ではない量になってしまう、といったことがおこります。

一回に食べる量で考えたほうがいい場合もある

肉と肉、野菜と野菜のように調理によってカサや重さの変化に大きな差がない食材同士を比べる場合は重さあたりで比べることもできます。

しかし、乾物や調味料類、香辛料、油脂類などは1度に食べる量がもともと少ないため、肉類や野菜類と比べるのは難しい食品です。

そのため、単純な重さではなく、1食当たりに使う量で比べる考え方もあります。

栄養価の比較

海苔1枚分の栄養価

海苔の栄養価。1枚3gあたりでは…

海苔の「1回あたりの使用量」は少なく、1枚以内に収まる場合がほとんどではないでしょうか。
海苔全形1枚(3g)からとれる栄養素について考えてみましょう。

焼きのり 食事摂取基準に対して

充足率(18~69歳女性)
エネルギー 6kcal
水分 0.1g
たんぱく質 1.2g 2.4%
脂質 0.1g
炭水化物 1.3g
うち食物繊維 1.1g 6.1%
カリウム 72㎎ 2.8%
マグネシウム 9㎎ 3.1~3.3%
0.3㎎ 2.9%(月経有の場合)
ヨウ素 63㎍ 48.5%
モリブデン 7㎍ 28%
ビタミンA当量 69㎍ 9.9~10.6%
ビタミンK 12㎍ 8%
ビタミンB 0.07㎎ 5.8%
ナイアシン当量 0.6㎎ 5.0~5.5%
葉酸 57㎍ 23.8%
ビオチン 1.4㎍ 2.8%
ビタミンC 6㎎ 6%
*全形(21㎝×19㎝)1枚3gあたり
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書より作成
1枚あたりにすると、ほとんどの栄養素については多いとは言えない

たんぱく質が豊富、けた違いの食物繊維を含む、といわれることもある海苔ですが、やはり3g程度では「優れた摂取源である」とまでは言えなくなってしまいます。

食物繊維の「ちょい足し」にはよさそうですが、海苔を食事に取り入れれば理想的な量が取れる、とは言いにくいというのが実際です。

1枚あたりでも、ヨウ素、モリブデン、葉酸についてはよい摂取源になりそう

ヨウ素とモリブデンは不足が心配される栄養素ではないものの、海苔全形1枚で摂取基準量の大部分(ヨウ素は5割近く、モリブデンは3割ほど)を摂取できます。

また、妊娠中に必要量が増える葉酸に関しても、十分な量とは言えないものの、補給源のひとつとして摂取量の底上げには繋げられそうです。

葉酸を豊富に含む葉物野菜などとともに、海苔を取り入れるのもいいかもしれませんね。

気を付けたい「栄養価が高い」の意味

たくさんの海苔

栄養価の考え方に注意!

世の中には様々な健康情報が流れていますが、摂取可能な量や、比較条件を考慮しないものも少なくありません。

いくら栄養素が豊富に、高濃度に含まれていたとしても、摂取可能な量が少ないのであれば、大きな意味を持たないという場合も多くあります。

海苔の使いかた、栄養価の考え方

一度に食べられる量を考慮すると、栄養素の摂取を目的として海苔を食べることはあまり現実的ではなさそうです。

あまりたくさん食べては消化管内の水分を吸収して膨らみ、腸管に悪影響を及ぼすことも考えられます。

海苔は栄養価の高い食材というのは間違ってはいませんが、おいしい食材のひとつとして選ぶのがよいのでは、と考えます。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。