
ダイエットや健康に良いとして注目されている「おからパウダー」。
手軽に食物繊維が取れ、ダイエットに効果的とする声もありますが、実は弱点もあります。
どのように活用するのが効果的なのでしょうか?
Contents
おからパウダーってどんなもの?
乾燥おからのパウダー
もともと「おから」はお豆腐を作る過程でできるもの。
茹でてすりつぶした大豆から豆乳を搾り取った残りかすが「おから」です。
このおからは水分を含んでしっとりとした状態(生おから)ですが、生おからを乾燥させてパウダー状にしたものが「おからパウダー」です。
おからパウダーのカロリー・栄養価は?
おからパウダーは複数のメーカーから発売されていますが、製品によって栄養成分も異なります。
市販品① | 市販品② | 市販品③ | 乾燥おから 成分表 |
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エネルギー | 378kcal | 332kcal | 299kcal | 421kcal |
たんぱく質 | 30.8g | 21.5g | 18.8g | 23.1g |
脂質 | 17.3g | 13.7g | 10.9g | 13.6g |
炭水化物合計 | 44.9g | 54.6g | 61.8g | 52.3g |
糖質 | 6.8g | 6.6g | 1.1g | 8.7g |
食物繊維 | 38.1g | 48.0g | 60.7g | 43.6g |
食塩相当量 | 0.56g | 0.03g | 0.0g | 0g |
イソフラボン | 130.0㎎ | – | 58㎎ | – |
レシチン | 1270.0㎎ | – | – | – |
備考 | 水分7g | 水分10.2g | 水分8.5g | 水分7.1g |
*100gあたり 日本食品標準成分表2015年版(七訂)および各社ホームページより作成 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
きな粉・大豆粉と違うの?
大豆からできた粉、というと「きな粉」や「大豆粉(炒っていないきな粉)」も一般的に知られています。
きな粉・大豆粉とおからパウダーはどう違うのでしょうか?
おからパウダー 市販・3商品 |
乾燥おから 成分表 |
きな粉 成分表 |
大豆粉 市販 |
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エネルギー | 299-378kcal | 421kcal | 451kcal | 440kcal |
たんぱく質 | 18.8-30.8g | 23.1g | 37.5g | 41.6g |
脂質 | 10.9-17.3g | 13.6g | 25.1g | 16.5g |
炭水化物合計 | 44.9-61.8g | 52.3g | 29.5g | 33.0g |
糖質 | 1.1-6.8g | 8.7g | 14.2g | 19.3g |
食物繊維 | 38.1-60.7g | 43.6g | 15.3g | 13.7g |
備考 | 水分7-10.2g | 水分7.1g | 水分2.6g | 水分8.9g |
*100gあたり 日本食品標準成分表2015年版(七訂)および各社ホームページより作成 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
■おからパウダーは食物繊維が多く、たんぱく質・脂質は少ない
きな粉や大豆粉は大豆を丸ごと粉末にしたものであるのに対し、おからパウダーは豆乳を絞った残りの部分。
そのため、おからパウダーではきな粉や大豆粉に比べ、豆乳に移行したたんぱく質や脂質・糖質は少なくなり、代わりに豆乳に溶けださなかった食物繊維が多くなっています。
おからパウダー、いいところはどんな点?
ダイエット効果や健康効果が注目されているおからパウダーですが、具体的にはどんなところがメリットなのでしょうか?
ほかの粉類に比べて食物繊維が豊富
同じ大豆からできているきな粉、日常的に利用する機会の多い小麦粉や片栗粉などと比較しても、食物繊維の含有量が圧倒的に多いのが特徴です。
おからパウダー 市販・3商品 |
乾燥おから 成分表 |
きな粉 成分表 |
小麦粉 成分表 |
片栗粉 成分表 |
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エネルギー | 299-378kcal | 421kcal | 451kcal | 367kcal | 330kcal |
糖質 | 1.1-6.8g | 8.7g | 14.2g | 73.3g | 81.6g |
食物繊維 | 38.1-60.7g | 43.6g | 15.3g | 2.5g | 0g |
*100gあたり 日本食品標準成分表2015年版(七訂)および各社ホームページより作成 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
適量のおからパウダーはヒトの体では消化されない食物繊維(主に不溶性食物繊維)が含まれることで、食後の満腹感を長引かせる効果が期待できます。
また、食物繊維は腸内環境を改善したり、便のカサを増やしたりして、便通を改善すると考えられています。
水を吸って膨らむ
製品によっても異なりますが、小麦粉などと比較して水分をよく吸うことが知られています。
そのため、少量でも水をたくさん吸って大きくなり、満腹感につながりやすい特徴があります。
生おからに比べて乾燥しているので日持ちする
昔ながらの「生おから」はあまり日持ちのしないものでしたが、おからパウダーは乾燥しているために常温での長期保管が可能です。
そのため、毎日・少しずつ使うといった使い方ができ、習慣にしやすい点が魅力といえそうです。
おからパウダーを活用したいのはこんなとき
いろいろな特徴のあるおからパウダーですが、どんな時に活用するのがいいのでしょうか?
便秘解消したいときに
おからパウダーには食物繊維、特に「不溶性食物繊維」が豊富です。
不溶性食物繊維は便の「骨組み」となる成分で、水を含んで便のカサを増やし、腸管を刺激して排便を促します。
便秘が気になるときはたっぷりの水分とともに食物繊維の摂取源としておからパウダーが役立ちそうですね。
健康的のために食物繊維の摂取を心がけたいときに
食物繊維は便秘などへの効果のほかに、生活習慣病予防の面で注目されている成分でもあります。
食物繊維を十分にとると様々な疾患の発症率が低下することから、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2020年版」では食物繊維の摂取目標量が定められています。
1日あたりの摂取目標量は18-64歳の男性で20g以上、18-64歳の女性で18g以上。
平成29年における摂取量の平均値は、20歳以上男性で15.2g、20歳以上の女性で14.8gとされており、目標値まで3-5gほど不足している状態です。
一方、おからパウダーに含まれる食物繊維の量は、100gあたり40-60gほど。
製品によっても異なりますが、1日あたり5-12gほど(大さじ1-2)の摂取で、不足した分を補うことができる計算になります。
ダイエット中で、満腹感が続く食事をしたいときに
食物繊維が多く満腹感が長続きすることや、水を含んで膨らむ特性から、ダイエットに役立てることもできます。
おからそのものは低カロリーな食品というわけではないため、使う量や使い方には注意が必要ですが、上手に使えばダイエット中のストレスを少なくできそうです。
小麦粉の代わりになるものを探しているときに
おからの原料は大豆なので、小麦アレルギーなどで小麦粉が使えないといった場合に、小麦粉の代わりに使える場合もあります。
反対に大豆アレルギーの人はアレルギー症状を起こす場合があるので、摂取にはかかりつけの医療機関で相談するようにしましょう。
おからパウダーを使うにあたっての注意点
人気が高まりつつあるおからパウダーですが、使用にあたっては注意が必要な場合もあります。
気をつけたいポイントを押さえて上手に使いたいですね!
意外とカロリーは高い
小麦粉の代わりにおからを使ったクッキー、というとヘルシーなイメージがありませんか?
しかし、小麦粉とおからパウダーの栄養価を比較すると、(製品によってのばらつきはありますが)おからパウダーは小麦粉と同等かそれ以上のエネルギーである場合も。
おからパウダー 市販・3商品 |
乾燥おから 成分表 |
きな粉 成分表 |
小麦粉 成分表 |
片栗粉 成分表 |
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エネルギー | 299-378kcal | 421kcal | 451kcal | 367kcal | 330kcal |
*100gあたり 日本食品標準成分表2015年版(七訂)および各社ホームページより作成 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
同じ量を使ったレシピで同じ量を食べた場合、摂取エネルギーとしては大きな違いがないことに注意しましょう。
十分な水分とともに少量で抑えれば、食物繊維のはたらきによって満足感が得られやすいでしょう。
水だけでなく油もよく吸う
おからはよく水分を吸う、ということは有名ですが、同時に油もよく吸うことはあまり知られていないかもしれません。
そのため、揚げ物や焼き物の衣などに使った場合、小麦粉や片栗粉に比べてより多くの油を摂取してしまうことも考えられ、こちらも同じ量で単に置き換えるのはおすすめできません。
たっぷりの食物繊維のはたらきを活かして、少量で満足できるように使うのがよいでしょう。
小麦粉と性質が大きく異なるため、おいしく作るにはコツが必要なことも
おからパウダーは小麦粉などと同じパウダー状であることから、置き換えて料理に使われることもあります。
しかし、レシピ上の小麦粉と同量のおからパウダーを単純に置き換えるだけでは、まとまるまでに必要な水の量やでんぷん質の量の違いからおいしく作れないこともしばしばです。
失敗しないためには、おからパウダー専用のレシピを活用するのがよさそうですね。
習慣にしやすいよう飽きにくい使い方がよい
便秘の改善や健康のために食物繊維をとりたい!という場合は、「習慣化」がたいせつです。
自分にとって続けやすく、飽きにくい組み合わせでおからパウダーを取り入れる習慣をつけられると理想的です。
おからパウダーの活用で間食がなくなればダイエットとしても◎です!
おからパウダーの強みと弱点を理解して、かしこく使おう!
おからパウダーは健康やダイエットのための「特効薬」ではありませんが、長所を生かして使えばとても役立つ食品です。
おからパウダーが得意とするところ、弱点とするところを理解し、上手に使いたいですね。
参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 |