ゼロカロリーの人工甘味料で太る?デメリットや危険性のウワサを解説

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調味料

砂糖やコーンシロップの代わりにゼロカロリー甘味料を使ったダイエット飲料。
カロリーを気にせず甘いソフトドリンクを楽しめると人気ですが、「人工甘味料を使ったゼロカロリー飲料はかえって太る」ともいわれることも。
実際はどちらが正しいのでしょうか?
甘味料そのものが体重に与える影響と、「甘味料を使った飲み物と食事との関係」について解説します。

ゼロカロリー系人工甘味料はゼロカロリーなのに太る?というウワサ

ゼロカロリーの人工甘味料はダイエット向けの食品に使われていることが多い食材です。
しかし、その一方でゼロカロリーの人工甘味料は逆に肥満につながるという噂も。本当でしょうか?

甘いのにゼロカロリーなんてうまい話はない?

「甘いもの=高カロリー=太る」というイメージは一般的なものですが、いわゆる人工甘味料は「甘いのにカロリーがない(または極めて低い)」というものです。

人工甘味料にはいくつかの種類がありますが、砂糖と比較して

  • 消化吸収されない(アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン)
  • 砂糖と同じカロリー(4kcal/g)だが、甘味が200倍強いためごく低カロリーで済む(アスパルテーム)

という特徴があります。

人工甘味料はほとんどエネルギーにならないにもかかわらず、甘い味を楽しめるためにダイエット系飲料や食品にひろく活用されています。
一方で、その安全性や健康への悪影響を心配する声もあります。

ゼロカロリー人工甘味料の健康への影響について詳しく解説した記事はこちら→カロリーゼロの人工甘味料は健康に悪いもの?|管理栄養士執筆

人工甘味料にまつわるウワサのひとつが、「人工甘味料でかえって太る」というウワサです。

人工甘味料が肥満や糖尿病を引き起こすというウワサ

そもそも、「太る」というのは食事などからの摂取エネルギーが活動などによる消費エネルギーを上回り、余った分が体脂肪として蓄積された状態を指します。

エネルギー源にならない人工甘味料が、なぜ太る原因になるのでしょうか?

人工甘味料による影響を心配する記事では、その理由として

  • 人工甘味料の甘さに慣れてしまってより甘いものを求めるようになるのではないか?
  • 人工甘味料のひとつであるサッカリンには依存性があることがマウス実験でわかり、ヒトにも同様の効果があるのではないか?
  • 人工甘味料とブドウ糖を続けて摂取すると、水の後にブドウ糖の場合と比較して血糖値が上がりやすくなり、インスリンの分泌が多くなって体脂肪をため込むほうにはたらくのではないか?

などといった仮説があげられています。
いずれも人工甘味料の摂取量と体重の変化を調べたうえでの説ではないために鵜呑みにはできませんが、こういった仮説から「人工甘味料は太る」と考えられているようです。

ダイエット飲料をよく飲む人は太っている?太っているからダイエット飲料を飲む?

ダイエットコーラ

体型と食習慣について、2014年の論文

人工甘味料等が使用された「ダイエット飲料」を含む様々な飲料と体格指数(BMI)の関係を調べた研究*1)があります。
*1)Sara N. Bleich, PhD, Julia A. Wolfson, MPP, Seanna Vine, BA, and Y. Claire Wang, MD, ScD. Diet-Beverage Consumption and Caloric Intake Among US Adults, Overall and by Body Weight. Am J Public Health. 2014 March; 104(3): e72–e78.

1999年から2010年までのアメリカにおける国民健康栄養調査23965人分のデータから、BMIの違いによる飲料・食事からのエネルギー摂取について調べたものです。

グループ分けはBMIによって

  • 健康的な体重(BMI18.5-24.9)
  • 過体重(BMI25-29.9)
  • 肥満(BMI30以上)

に分けられました。

ダイエット飲料と肥満1

調査結果の中で、過体重および肥満の人は健康的な体重の人と比較してダイエット飲料を多く飲んでいた、ということが分かりました。

ダイエット飲料を飲む人の割合

  • 健康的な体重(BMI18.5-24.9):11%
  • 過体重(BMI25-29.9):19%(健康的な体重と有意差あり)
  • 肥満(BMI30以上):22%(健康的な体重・過体重と有意差あり)

ダイエット飲料と肥満2

このような結果を理由に「人工甘味料は太る」といわれることがあります。
しかし、この結果は、人工甘味料が肥満の原因になることを示しているでしょうか?
答えは「×」です。

「太った人はダイエット飲料を飲む人が多い」≠「ダイエット飲料を飲む人は太る」

肥満度の高い人ではダイエット飲料を飲む人が多かったのは事実ですが、このデータからでは「ダイエット飲料を飲んだから太った」のか、「太っているからカロリーを気にしてダイエット飲料を選んでいる」のかを判断することができないためです。

この論文において調査された内容は、「体型別の食習慣」であり、「食習慣における肥満発生率」ではありません、と論文にも記述されています。

肥満の人はダイエット飲料を飲む人が多いが砂糖入り飲料を飲む人の割合も多い

同論文の調査では、ダイエット飲料のほかに砂糖入り飲料についても調査されていました。

ダイエット飲料を飲む人が多かった過体重や肥満の人では砂糖入り飲料の摂取量が少ない、ということがあるかもしれない…と思いましたが、実際には
過体重および肥満の人は健康的な体重の人と比較して砂糖入り飲料も多く飲んでいた、という結果でした。

砂糖入り飲料を飲む割合

  • 健康的な体重(BMI18.5-24.9):59%
  • 過体重(BMI25-29.9):63%(健康的な体重と有意差あり)
  • 肥満(BMI30以上):63%(健康的な体重と有意差あり)

ダイエット飲料と肥満3

肥満の人はダイエット飲料を飲む人が多いが摂取エネルギーも多い

さらに、体型・飲んだ飲料の種類別に「飲料および固形食品からの摂取エネルギー」も比較されていました。

砂糖入り飲料を飲んだ肥満グループは

  • 固形食品由来の摂取エネルギーは有意な差なし
  • 飲料由来の摂取エネルギーが健康体重および過体重グループと比較して多い
  • 総摂取エネルギーは過体重グループと比較して多い

ダイエット飲料を飲んだ肥満グループは

  • 固形食品由来の摂取エネルギーが健康体重および過体重グループと比較して多い
  • 飲料由来の摂取エネルギーは有意な差なし
  • 総摂取エネルギーは健康体重および過体重グループと比較して多い

という結果でした。
ここまでをまとめると、

  • 砂糖入り飲料を飲むBMIの高い人は飲み物からの摂取エネルギーの増加によって総摂取エネルギーが高くなりがち
  • ダイエット飲料を飲むBMIの高い人は固形食品からの摂取エネルギーの増加によって総摂取エネルギーが高くなりがち

つまり、砂糖入り飲料を飲む場合、またはダイエット飲料を飲む場合のいずれにしても、肥満の人では健康体重の人と比較して「飲み物を含む食事全体からの摂取エネルギーが多い」ということが分かりました。

この論文の結論は…

ダイエット飲料と肥満4

体型と食習慣の関係を調べたこの論文の結論は、「ダイエット飲料を多く飲むと太る」ということではありません。

  • アメリカの肥満者は(おそらく)体重管理のためにダイエット飲料を利用している
  • ダイエット飲料を利用した場合、飲料由来の摂取エネルギーが低くなる一方で固形食品由来の摂取エネルギーが多いという実態がある
  • アメリカにおいて、ダイエット飲料を利用する肥満者が体重を減少させるには固形食品由来の摂取エネルギーを減らす必要がある

というものでした。

ダイエット飲料を取り入れるだけではやせられないという現実を示したものではありそうですが、ダイエット飲料を飲むと太る、というものではないのは明らかです。

人工甘味料の有無よりも、食事スタイルが原因になるかも?

ジャンクフードと野菜

ゼロカロリーの人工甘味料を使った飲み物に変えてもやせない、または太ってしまうとなると、ゼロカロリーでも太る…と感じるかもしれません。

しかし、ダイエットを成功させるためには、ゼロカロリー人工甘味料だけではなく、食事全体を見る必要がありそうです。

飲み物が変われば一緒に食べる食べ物も変わる

ハンバーガーのセットにつける飲み物はなにを選びますか?
また、一汁三菜の和定食のセットにはどんな飲み物を選びますか?

人工甘味料入りのダイエット飲料そのものによって肥満が増えるとは言いにくいものの、(人工甘味料の有無にかかわらず)飲み物の種類が食事選びに関係する、ということはありそうです。

ソフトドリンクを飲む習慣の多い人は何を食べている?

2008年に発表された日本の研究では、砂糖入りおよびゼロカロリーのソフトドリンクの摂取量が多いほど、お菓子類や油脂類の摂取量が増え、摂取エネルギーも高くなることが分かっています。

その一方で野菜や果物、魚、乳製品、大豆製品などの摂取量は少なくなる*2)ことが分かっています。
*2)Yamada M, Murakami K, Sasaki S, Takahashi Y, Okubo H. Soft drink intake is associated with diet quality even among young Japanese women with low soft drink intake. J Am Diet Assoc 2008;108(12): 1997-2004.

「砂糖入り、人工甘味料入りにかかわらず、ソフトドリンクの摂取量が多いとそれによく合うお菓子類や揚げ物の摂取量が増え、摂取エネルギーも増える」ということが言えるようです。

この研究でも、ポイントは「飲み物そのもの」よりも「食生活全体」といえそうです。

まとめ:人工甘味料のおかげでやせる?人工甘味料のせいで太る?

私たちの生活の中で、飲み物と食べ物は意外に深く関係しているようです。

「人工甘味料入りのゼロカロリーのダイエット飲料を飲んでいるから」何を食べても太らない、ということではなく、
「人工甘味料入りのゼロカロリーのダイエット飲料を飲んでいるせいで」太る、というのも誤りです。

現状、人工甘味料の影響で太る、ということは考えにくいですが、より効果的に・健康的にダイエットしたい、というのであれば、ダイエット飲料の活用は一つのきっかけとして、食事全体を見直すのがいいのではないでしょうか?

ダイエットを成功させるための食事選びについて詳しく解説した記事はこちら→減量中の食事、ダイエットにいいメニュー選びのポイントは?

参考文献

Sara N. Bleich, PhD, Julia A. Wolfson, MPP, Seanna Vine, BA, and Y. Claire Wang, MD, ScD. Diet-Beverage Consumption and Caloric Intake Among US Adults, Overall and by Body Weight. Am J Public Health. 2014 March; 104(3): e72–e78.

Yamada M, Murakami K, Sasaki S, Takahashi Y, Okubo H. Soft drink intake is associated with diet quality even among young Japanese women with low soft drink intake. J Am Diet Assoc 2008;108(12): 1997-2004.

内閣府 食品安全委員会:「食品安全関係情報詳細 欧州食品安全機関(EFSA)、食品添加物としてのアスパルテーム(E 951)の再評価に関する科学的意見書を公表」

内閣府 食品安全委員会:「食品安全関係情報詳細 欧州食品安全機関(EFSA)、食品添加物スクラロース(E 955)について提案されている幼児向け特別医療目的食品への使用拡大の安全性に関する科学的意見書を公表」

内閣府 食品安全委員会:「評価書詳細 アセスルファムカリウム」

内閣府 食品安全委員会:「評価書詳細 サッカリンナトリウム」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。