2020.09.25

白い砂糖は体に悪い?茶色い砂糖は体にいい?|管理栄養士執筆

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角砂糖

「白い砂糖は人工的で体に悪い、健康のためにはお砂糖は茶色いものを」という話を聞いたことはないでしょうか?

たしかに、真っ白よりもすこし茶色っぽい砂糖のほうが、自然なものという印象を受けます。
健康のためにお砂糖は白くないものを選んでいるという人も少なくありませんが、具体的にはどのくらい違いがあるものなのでしょうか?
原料や製造法、栄養価などから、比べていきましょう。

白い砂糖・茶色い砂糖って具体的にはどれを指す?

白い砂糖・茶色い砂糖といっても、それぞれ単一のものではなく、いろいろな種類があります。

白い砂糖とは

見た目が白い砂糖には、
・上白糖
・グラニュー糖(氷砂糖、粉砂糖を含む)
などがあります。

このうち、グラニュー糖と氷砂糖、粉砂糖は粒子の大きさが異なるだけの同じもの。
上白糖もほとんど同じものですが、グラニュー糖よりも水分をわずかに多く含み、しっとりとした質感になっています。

茶色い砂糖とは

いっぽう、見た目が茶色い砂糖としては、色味に違いはあるものの、
・黒糖
・三温糖
・きび砂糖
・甜菜糖
などが挙げられます。

白い砂糖と茶色い砂糖の違い

原料はサトウキビまたはサトウダイコン(甜菜)で、主成分も同じ

日本で手に入るほとんどの砂糖の原料はサトウキビサトウダイコン(甜菜)です。

黒糖、キビ砂糖の原料はサトウキビ、甜菜糖の原料は甜菜ですが、上白糖、グラニュー糖、三温糖はサトウキビと甜菜のどちらからでも作ることができます。

これらの砂糖はいずれも、主成分は「ショ糖(スクロース)」と呼ばれる糖類です。

精製度が低いか・高いか・カラメル化による色がついているかの違い

サトウキビや甜菜のしぼり汁を煮詰め、精製することで砂糖全般が出来上がりますが、この過程のどこで取り出したかによって、色や状態が異なり、種類の違う砂糖となります。

■比較的精製度の低い状態で取り出すもの
…黒糖、きび砂糖(不純物による色がついている)

■できるだけ不純物を取り除き精製したもの
…上白糖、グラニュー糖(不純物がないため無色透明=白く見える)

■精製の過程でできる蜜分からできるもの
…三温糖、甜菜糖(煮詰めることでカラメル化が起こり、色がついている)

白砂糖の製造では体に悪い成分が使われている?

「白砂糖は化学的に漂白されていて体に悪い」といったような説がうわさされることもありますが、これは誤りです。

上白糖やグラニュー糖が白いのは、「ショ糖」以外の不純物(サトウキビやサトウダイコン由来のもの)を取り除き、ほぼ100%ショ糖のみになっているため。
ショ糖は無色透明の物質であるため、ショ糖以外の物質が含まれない砂糖は脱色等を行わなくてももともと白いものなのです。

ちなみに、精製の過程で使われるのは漂白剤ではなく、石灰や活性炭などですが、これらは不純物を凝集・沈殿させ、ろ過することで不純物とともに取り除かれ、最終的な砂糖には含まれていません。

いずれにしても、白い砂糖だから危険、ということはなく、安全性を理由に茶色い砂糖を選ぶ必要はありません。

ショ糖以外の成分が含まれる=栄養素が豊富?

茶色い砂糖はミネラルが豊富…といった説も聞かれます。
たしかに、精製度が異なる・または蜜分を用いることで、主成分(ショ糖)以外に含まれる成分に違いが現れます。

精製度が高い 精製時の蜜分から製造 精製度が低い
上白糖 グラニュー糖 三温糖 甜菜含蜜糖 黒糖 きび砂糖
エネルギー 384kcal 387kcal 383kcal 380kcal 356kcal 396kcal
水分 0.7g 微量 0.9g 2.0g 4.4g 0.2g
炭水化物 99.3g 100.0g 99.0g 96.9g 90.3g 98.8g
たんぱく質 0g 0g 微量 0.9g 1.7g 0g
脂質 0g 0g 0g 微量 微量 0g
カリウム 2㎎ 微量 13㎎ 27㎎ 1100㎎ 142㎎
カルシウム 1㎎ 微量 6㎎ 微量 240㎎ 10~35㎎
微量 微量 0.1㎎ 0.1㎎ 4.7㎎ 0.15~0.45㎎
*100gあたり、日本食品標準成分表2015年版(七訂)・メーカー商品情報より

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

■精製度が低いとミネラル等が比較的多い

精製度が低い黒糖・きび砂糖はサトウキビに含まれるたんぱく質やカリウム、カルシウム、鉄などのミネラルが含まれています。
特に黒糖は、サトウキビのしぼり汁からほとんど精製を行っていないため、ミネラルが比較的多いことがわかります。
精製度が高い上白糖やグラニュー糖にはショ糖以外のものはほとんど含まれません。

■色がついていてもミネラルが多く含まれるとは限らない

一方、茶色い砂糖であっても、精製時にできる蜜分からできる三温糖、甜菜含蜜糖にはミネラル等はあまり含まれないことがわかります。
これは、蜜分からできる砂糖類は精製後にカラメル化による色がつくためです。
色の濃さと栄養素の量は必ずしもイコールにはなりません。

茶色い砂糖、その中でも精製度の低い砂糖類に限って言えば、ミネラルが比較的多いのは事実といえるでしょう。

砂糖に含まれるミネラルは栄養価のプラスに意味がある?

しかし、砂糖を白い砂糖から茶色い砂糖に変えたとして、どのくらい栄養素の摂取量に違いが表れるのでしょうか?

日常的な砂糖の摂取量から、計算してみましょう。

1日に摂取する砂糖の量

砂糖は調味料として使われ、出来上がりの状態では目に見えないために、正確な使用量を知ることが難しい食品のひとつです。
そのため、日本人が1日あたりどのくらいの砂糖をとっているのか、正確にはわかっていません。

農林水産省が発表している「食糧需給表」において、ここ数年の砂糖の生産量から推測される消費量は、およそ1日1人当たり50gほどといわれています。

1日摂取量の砂糖を変えた場合にどのくらい変わる?

1日に私たちが口にする砂糖が50gとして、もし、すべての砂糖を上白糖などの「白い砂糖」から精製度の低い黒糖やきび砂糖といった「茶色い砂糖」に変えた場合、どのくらい栄養素の摂取量に違いがあるのでしょうか?

上白糖、黒糖、きび砂糖それぞれ50gを比較し、差をまとめました。

■上白糖50g→きび砂糖50に変えた場合の摂取栄養素の差

カリウム +70㎎
カルシウム +4~17㎎
鉄 +0.1~0.2㎎

■上白糖50g→黒糖50gに変えた場合の摂取栄養素の差

カリウム +549㎎
カルシウム +119㎎
鉄 +2.4㎎

日本食品標準成分表2015年版(七訂)・メーカー商品情報より

上白糖をきび砂糖に変えた場合、摂取できる栄養素にはほとんど差はありません。
また、最も精製度が低い黒糖では比較的多くとれる栄養素はあるものの、黒糖は風味が強いため、料理の味に与える影響が大きくなることも気になります。

黒糖に含まれるカリウム、カルシウム、鉄は上白糖の数百倍にもなりますが、1日に摂取する必要のある量から考えると、さほど大きなものではありません。

口に入る砂糖をすべて黒糖に変えるよりも、そのほかの食材で栄養素を多くとるほうが負担が少なく、現実的といえそうです。

たとえば…小松菜110g(約1/2束)で、黒糖50gに含まれるカリウム、カルシウム、鉄はすべてとることができます。

【まとめ】砂糖は栄養価ではなく、味や使いやすさで選んでよい

砂糖は「食材」というよりも「調味料」のひとつであるため、1日あたりの使用量は少なく、しかし料理の味には大きな影響を与えます。

上白糖やグラニュー糖は癖がなく料理の味を邪魔しないといえますし、
三温糖はカラメル分によってコクが出るため、煮物などに向いています。
黒糖は独特の風味が強く、深い味わいになり、色味にも特徴が出ます。

砂糖類にはさまざまな種類があり、白い砂糖と茶色い砂糖で栄養価が異なる面もありますが、あまり意味のない違いといえそうです。

もちろん、どの砂糖もとりすぎれば摂取エネルギー過剰を招き、肥満や生活習慣病を引き起こします。
いずれにしても適量の範囲で、好きな味のものを選ぶのがよいでしょう。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

日新製糖:「商品情報 きび砂糖」

農林水産省:「食糧需給表」

独立行政法人農畜産業振興機構:「白い砂糖の真実、そして三温糖との関係」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。