投稿日: 2020.05.01 | 最終更新日: 2023.07.28

カロリーゼロの人工甘味料は危険?デメリットや体に悪い成分はあるの?

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ガムと人工甘味料

砂糖の代わりの甘味料として利用されている「人工甘味料」。
カロリーゼロで甘いものを楽しめることもあって様々な食品に使用されているものですが、その安全性を疑問視する声も少なくありません。
こんなに甘いのにカロリーゼロだなんて何か裏があるに違いない、人工的につくられた物質なんて体に悪いはず、とも言われますが、本当に体に悪いのでしょうか?

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人工甘味料とは?

甘味料

そもそも、人工甘味料とはどのようなものを指すのでしょうか?

人工甘味料という言葉の指す意味を整理します。

人工甘味料の定義

そもそも、人工甘味料とは一つの物質を指す言葉ではなく、いくつかの物質をまとめた呼び方です。

国として正式な定義があるわけではありませんが、
「化学合成によってつくられた甘味料」
という解釈で間違いないでしょう。

日本国内の食品衛生法では「指定添加物」に該当しています。

代表的なものとしては、

  • アスパルテーム
  • アセスルファムカリウム
  • スクラロース
  • サッカリン

が有名です。

天然甘味料でもカロリーゼロのものもある

必ずしも、「カロリーゼロ甘味料」=「人工甘味料」ではありません。

キシリトールやステビアなどの甘味料はゼロカロリーの甘味料ですが、もともと自然界に存在した物質であり、一般的に「人工甘味料」には該当しません。

甘いのにカロリーゼロなのはどうして?

砂糖不使用

甘味があるのにカロリーがないというのはどういうことなのでしょうか?

その理由は、

  • カロリーはあるが砂糖よりもはるかに少ない量で同じ甘味になる
  • 甘味はあるが消化吸収されないためカロリーにならない

ということが挙げられます。

アスパルテームにはカロリーはあるが、使用量が少なくて済む

先ほど紹介した人工甘味料4種のうち、アスパルテームはカロリーゼロの物質ではありません。
アスパルテームは砂糖と同じく1gあたり4kcalのエネルギーがありますが、低カロリー甘味料として使用されています。

どういうことかというと、アスパルテームは砂糖の200倍の甘みを持つためです。

重さあたりのエネルギーが同じでも、同じ甘さを出すために必要な量は1/200と少量であるため、実質的には食品のエネルギーにほとんど関わらない、ということです。

例)同じ甘さになる量とカロリーの比較

  • スティックシュガー5g→20kcal
  • アスパルテーム0.025g→0.1kcal

「消化吸収されないためカロリーゼロ」の甘味料も甘味は強い

アスパルテーム以外の、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンについてはヒトの体内では消化吸収を受けないため、エネルギー源とはならず、ゼロカロリーの物質です。

甘味度はというと、これらも砂糖と比較してかなり強い甘味を持ち、
アセスルファムカリウム:砂糖の200倍
スクラロース:砂糖の600倍
サッカリン:砂糖の200倍
となっており、かなり少ない量で甘味を出せることが特徴です。

ゼロカロリー甘味料は体重や摂取エネルギー管理の必要がある人にとって有用

このように、人工甘味料は甘味のわりに摂取カロリーを少なくできる、また糖質とは異なる物質であるために血糖値を上げないという特性から、体重管理が必要な人、血糖コントロールが必要な人にとってとても便利なもののひとつ、といえるでしょう。

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ゼロカロリーの人工甘味料は体に悪いってほんとう?

体に悪い甘味料はある?

体重管理や血糖コントロールに関して有用といわれる一方、体に悪いという声を聞くことも。

人工甘味料による健康被害は起こるのでしょうか?

前提:どんな成分でも多量摂取は毒になる

特定の物質による健康被害を考えるとき、「少しでもリスクのあるものは取り除きたい!」と考えるのは当然のことのようですが、実際にはリスクをゼロにするのは実現不可能なことです。

例えば、ヒトの生命維持に必要な「水」であっても、過剰な量をとることで「水中毒」といった健康被害を受けることがあります。
また、必須栄養素であるビタミンについても、(過剰量は排泄されるものもありますが)過剰量では体に毒性を持つことが分かっています。

食の安全を考えるときに、「リスクがある」ことそのものに注目してしまいがちですが、本来はどの食品にもリスクはあります。

本当に必要な情報は「○○をとりすぎると××のような健康被害の可能性が!」という不安をあおるだけのあいまいな情報ではなく

  • どのくらいの摂取量で健康被害が出たのか
  • 1日あたりどのくらいまでの量なら健康被害が出ないのか
  • 通常の食生活で摂取している量はどれくらいか

ということになります。

「安全な量」の決め方

ヒトが・毎日・一生食べ続けても健康に悪影響がないと考えられている量をADI(一日摂取許容量)といいます。

ただし、このADIの値は「少しでもオーバーすると健康被害が起こる量」ではありません。

特定の物質の毒性を調べる試験において「何も有害作用がみられなかった量」であるNOAEL(無毒性量)を求め、さらに安全性を加味して安全係数(1/100)をかけてADIとします。

食品添加物のリスクと使用基準

使用基準値が定められているものでは、ADIよりもさらに小さい値で基準値が定められていることがほとんどです。
そのため、実際の食品に含まれる量は何の毒性がみられなかった無毒性量よりも、1日摂取許容量よりも小さい量、ということになります。

それぞれのADI(一日摂取許容量)

では、人工甘味料は1日あたりどのくらいであれば安全なのでしょうか。

国内外の専門機関の評価では、以下の表のようになっています。

物質名 ADI 根拠となる情報
アスパルテーム 40㎎/kg体重/日 欧州食品安全機関EFSAの科学的意見書
40㎎/kg体重/日 食品添加物に関するFAO/WHO合同専門家委員会の評価
アセスルファムカリウム 15㎎/㎏体重/日 内閣府 食品安全委員会 食品健康影響評価書
15㎎/㎏体重/日 食品添加物に関するFAO/WHO合同専門家委員会の評価
スクラロース 15㎎/㎏体重/日 欧州食品安全機関EFSAの科学的意見書
15㎎/㎏体重/日 食品添加物に関するFAO/WHO合同専門家委員会の評価
サッカリン 3.8㎎/㎏体重/日 内閣府 食品安全委員会 食品健康影響評価書
5㎎/㎏体重/日 食品添加物に関するFAO/WHO合同専門家委員会の評価

日本人の現在の摂取状況

買い物

では、わたしたちは日ごろどのくらいの人工甘味料を摂取しているのでしょうか?

厚生労働省では、平成12年度から一般に販売されている食品に含まれている食品添加物の量を分析し、平均的な食生活における食品添加物の摂取量を推計しています。

調査の対象となる食品添加物の中には人工甘味料も含まれており、平成27年度の調査では今回取り上げた人工甘味料4種についても調査されていました。

その結果は以下の通り。

平成27年度の人工甘味料の調査結果

物質名 推定される1日摂取量 20歳以上の平均体重(58.6㎏)
から算出したADI
ADIに対する割合
アスパルテーム 定量限界未満 2344㎎/人/日
アセスルファムカリウム 1.357㎎/人/日 879㎎/人/日 0.15%
スクラロース 0.825㎎/人/日 879㎎/人/日 0.09%
サッカリン 0.112㎎/人/日 223㎎/人/日 0.05%

平成27年度のマーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査より作成

参考)平成23年のアスパルテームの調査結果

物質名 推定される1日摂取量 20歳以上の平均体重(58.6㎏)
から算出したADI
ADIに対する割合
アスパルテーム 0.019㎎/人/日 2344㎎/人/日 0.001%

平成23年度のマーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査より作成

いずれもADIを大きく下回っており、通常の食生活では人工甘味料による大きな問題は起こることは考えにくいと結論付けられています。

まとめ:普段の食生活ではさほど気にする必要はないが、取りすぎは避けるべき

通常の食生活で健康被害が起きるほど摂りすぎることは考えにくいものの、だからと言って「いくらでも食べていい」というものではありません。

常識の範囲を大きく超えるような食生活では健康被害が起こることも考えられますし、人工甘味料以外の栄養バランスの乱れも心配です。

いずれにしても、どんな食品であっても「過剰な心配」「過剰な摂取」のどちらも避けたいところ。

ちょうどいいバランス感覚をもって、毎日の食事を楽しみたいですね。

ゼロカロリーの人工甘味料はダイエットに逆効果というウワサについて詳しく解説した記事はこちら

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参考文献

内閣府 食品安全委員会:「一日摂取許容量(ADI)とは?」

内閣府 食品安全委員会:「食品安全関係情報詳細 欧州食品安全機関(EFSA)、食品添加物としてのアスパルテーム(E 951)の再評価に関する科学的意見書を公表」

内閣府 食品安全委員会:「食品安全関係情報詳細 欧州食品安全機関(EFSA)、食品添加物スクラロース(E 955)について提案されている幼児向け特別医療目的食品への使用拡大の安全性に関する科学的意見書を公表」

内閣府 食品安全委員会:「評価書詳細 アセスルファムカリウム」

内閣府 食品安全委員会:「評価書詳細 サッカリンナトリウム」

WHO:「Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) ACESULFAME POTASSIUM」

WHO:「Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) ASPARTAME」

WHO:「Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) SUCRALOSE」

WHO:「Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) SODIUM SACCHARIN」

厚生労働省:「マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。