
平日と休日では食事の栄養バランスに差があるようです
2020年の春は新型コロナウイルス感染症の拡大により全国的に休校となり、平日であっても家での食事がほとんどというご家庭が多かったのではないでしょうか。
それ以外でも、夏休みなどの長期休みでは給食がないために、食事の栄養バランスが気になる…という声が聞かれます。
実際、日本の小中学生を対象に、給食のある日とない日を比較し、理想の栄養素摂取量等のバランス(食事摂取基準)を満たしている児童・生徒の割合を調べた調査では、給食のある日に比べて、給食のない日のほうが「食事摂取基準をクリアできていない児童・生徒」が多かったことが報告されています。*1)
基準値から外れる栄養素には、「不足するもの」「とりすぎるもの」があります。
不足しやすい栄養素はカルシウムや鉄のほか、ビタミンC、カリウム、食物繊維など。
とりすぎになりやすい栄養素は、給食のある日・ない日にかかわらず食塩などでした。
カルシウムや鉄は、骨や血液の原料になるものでもあり、体の成長に特に必要です。
加えて、食塩をとりすぎないことやカリウム、食物繊維を食事から十分にとることは将来の生活習慣病予防の観点からも重要なポイントとなります。
栄養バランスが取れている子の食事の特徴
とはいえ、普段の食事から「足りない栄養素はこれだ」と判断することは難しく、食事を見直すためには栄養素レベルではなく、食材として考えていくのが大事です。
前述の調査では、栄養バランスのとれた食事をしている児童・生徒は、そうでない児童・生徒と比較して、豆・野菜・果実・きのこ・海藻類の摂取量が多かったことが報告されています。
豆・野菜・きのこ・海藻類は食事の中では「副菜(野菜のおかず)」として食べることが多い食材です。
これらの食材は食物繊維やカリウム、ビタミンCなどの栄養素の摂取源でもあり、休日に取り入れることで不足しやすい栄養素を補うことに役立ちそうですね。
一方、カルシウムなどの栄養素の不足が心配される児童・生徒では、卵や乳製品の摂取量が少ないことが指摘されていました。
多くの保育園・学校の給食では、成長期に必要量が増えるカルシウムの摂取源のひとつとして牛乳をほぼ毎日提供しています。
給食がない日は牛乳を飲む量が減ってしまったことでカルシウムの摂取量が減ってしまった可能性が考えられます。
休みの日の食事、具体的にどうすれば栄養バランスがよくなる?
それぞれのおうちで食べている内容は異なるため、全員に当てはまる改善策を提示することは不可能です。
しかし、前述の調査を踏まえると、休みの日の食事と給食の違いから、工夫できるポイントはありそうです。
栄養バランスの取りやすい食事スタイルとして、ごはんやパンなどの「主食」、肉や魚などのメインおかず「主菜」、野菜などのサブおかず「副菜」の組み合わせがあります。
給食では、この「主食+主菜+副菜」の組み合わせになっている場合が多く、このスタイルを真似することで栄養バランスを整えることにつながります。
休みの日は丼物や麺類など、「主食+主菜」のメニューになることが多い場合には、野菜を中心とした「副菜」を取り入れた組み合わせにすることで、栄養バランスを改善することにつながりそうです。
また、飲めば飲むほどいいという訳ではありませんが、家では牛乳を飲む習慣がないという場合には、休日も給食でとっているくらいの量の牛乳や乳製品がとれると、十分な量のカルシウム摂取につながります。
簡単に取り入れられるものを上手に使いましょう
栄養バランスのとれた食事をとることは子どもにも大人にも大事なことですが、その準備が負担になりすぎてしまうのもよくありません。
なるべくなら手作りを…と考えるのも愛情のひとつではありますが、無理をしてまですべて手作りで用意する必要は全くありません。
・冷凍野菜やカット野菜
・半調理品
・お惣菜
などを取り入れながら、無理なく食事のバランスを整えられると理想的です。
まとめ
家で過ごす時間が長くなると気になる食事の栄養バランス。
給食の献立を参考に、副菜を足したり、乳製品を取り入れるのがよさそうです。
子どもたちの将来の健康のためにも、できることから気にかけてあげたいですね。
参考文献
*1)Asakura K, Sasaki S. School lunches in Japan: their contribution to healthier nutrient intake among elementary and junior high school children. Public Health Nutr. 2017; 20(9): 1523-33.