2019.07.12

低カロリーだけじゃない!ビタミン豊富なきのこの栄養を紹介

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きのこの栄養価

季節を問わず価格が安定していて手に入れやすいきのこ。
低エネルギー(カロリー)な食材としてもよく知られていますね。
今回は、低エネルギー(カロリー)なだけではない、きのこの栄養について紹介します。

きのことは?

菌がつくるもの

生き物としてのきのこは動物でも植物でもなく、「菌類」です。

菌類は胞子によって遺伝子を残しますが、菌類の中でも胞子を飛散させるための構造物をつくるものがあり、その構造物そのものを「きのこ」と呼んだり、きのこをつくる菌類を指して「キノコ」と呼んだりします。

生き物としてのきのこの本体は私たちがよく知る傘のような「きのこ」の部分ではなく、きのこが生えている土や枯れ木の中に広がっている「菌糸」と呼ばれる目に見えない部分です。
きのこの成長過程

食べられるきのこはごく一部

きのこの種類はとても多く、日本国内だけでも4000~5000種が存在するといわれていますが、そのうち半分ほどは名前もついていないといわれています。

そのうち、食べることができるのが分かっているものは数百種類、毒があって食べられないとわかっているものは約40種類といわれています。
そのほかの大部分はいまだ食べられるのかどうか分からないものがほとんどで、まだまだ未知の存在といえるでしょう。

食べられるきのこのうち、人工栽培が可能なものは数十種類あり、安定してスーパーなどで購入することができています。

手に入れやすいきのこ類

スーパーなどで手軽に手に入るきのこはほとんど人工栽培によるものです。

えのきたけ・しいたけ・ぶなしめじ・なめこ・ひらたけ・エリンギ・マッシュルームなどがこれにあたります。

マツタケやトリュフといった高級食材として知られているきのこは人工栽培がまだ不可能であるため、なかなか手に入りにくいといえるでしょう。

将来、研究開発が進んでいくことで、手軽に食べられるきのこになっていくかもしれませんね。

きのこの栄養価は?

スーパーなどで手に入りやすい7種類について紹介します。

きのこの栄養データ
えのき しいたけ ぶなしめじ なめこ ひらたけ エリンギ マッシュルーム
エネルギー 22kcal 19kcal 18kcal 15kcal 20kcal 19kcal 11kcal
水分 88.6g 90.3g 90.8g 92.1g 89.4g 90.2g 93.9g
たんぱく質 2.7g 3.0g 2.7g 1.8g 3.3g 2.8g 2.9g
脂質 0.2g 0.3g 0.6g 0.2g 0.3g 0.4g 0.3g
炭水化物 7.6g 5.7g 5.0g 5.4g 6.2g 6.0g 2.1g
食物繊維 3.9g 4.2g 3.7g 3.4g 2.6g 3.4g 2.0g
カリウム 340mg 280mg 380mg 240mg 340mg 340mg 350mg
*100gあたり

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

低エネルギー(カロリー)

きのこは低エネルギー(カロリー)食品としてのイメージが強いのではないでしょうか。

きのこはどの品種も水分が90%程度を占めているうえ、エネルギー源となる栄養素の利用効率もあまり高くなく、また個人差が大きいことが知られています。
そのため、エネルギー源となる成分の半分程度しか利用されないと考えられており、とてもエネルギー(カロリー)の低い食品だといえます。

今回紹介したキノコ類のエネルギー(カロリー)は人体での利用効率が考慮されている数値です。

食物繊維が豊富

炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素のうちでは、炭水化物が比較的多く含まれていますが、その大部分が食物繊維であることも特徴です。

食物繊維というと野菜類のイメージが強いですが、実はきのこは野菜を超える量の食物繊維を持つものもあるのです。
きのこの中でも食物繊維が豊富なのはきくらげやしいたけ、えのきたけです。

カリウム

日本人がとりすぎる傾向にあるナトリウムの排出を促してくれるカリウムは、主な摂取源としては野菜や果物が有名です。
きのこも野菜類に匹敵するほどカリウムが豊富です。

低カロリーながら各種ビタミンも比較的多い

きのこは低カロリーな食品ですが、ほとんどが水分である割に各種ビタミンが比較的多く含まれているのも魅力です。

動物性食品に多く含まれていることの多いビタミンB1やB2、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸などが含まれています。

また、栽培や加工の過程で日光を浴びたものはビタミンDが豊富なことも知られています。

栄養素・うまみ成分を増やせる?

日に当てた干ししいたけ

きのこの特色のひとつとして、調理方法によって栄養素やうまみ成分が増えるということ。
それぞれの成分を増やす仕組みと方法を紹介します。

日光でビタミンDが増える?
紫外線でビタミンDがつくられる

ビタミンDは食事中のカルシウムの吸収と骨をつくる作用を促進するはたらき、体内で作られてしまったがん細胞の増殖を抑制するはたらきがあります。

きのこの中にはこのビタミンDのもとになる「プロビタミンD」という状態で存在します。
このプロビタミンDは紫外線を浴びることでヒトの体内で利用できる状態に変わることが知られています。

室内で栽培されたものに対して日の当たる屋外で栽培されたものはビタミンDが多く含まれていることが知られていますが、実は収穫後でも日光を当てることでビタミンDが増やせるのです。

干しシイタケを日光にあてて栄養価アップ

例えばシイタケでは、生の状態であっても干しシイタケの状態であっても、1時間程度日光にあてることでビタミンDの含有量を大幅に増やせることが分かっています。

また、生に比べて干しシイタケのほうがビタミンDの増え方が大きく、日を当てるのも傘の上部分よりも傘の下のヒダの部分が効果的だったという実験結果もありました。

干しシイタケなど、長期の保存ができるものに関しては、日光にあててから時間がたっていても、6か月以内であれば60%以上は残るともいわれています。

干しシイタケを買ってきたら、天気のいい日にまとめて日に当てておいたり、使う前に火にあてる時間をつくることで栄養価を高めることができます。

乾燥きのこを水で戻して煮ると、うまみ成分が増える?
きのこのうまみ成分は「グアニル酸」

鰹節や昆布には「イノシン酸」や「グルタミン酸」といったうまみ成分が含まれ、これらの成分を煮出すことで「だし」として使われています。

きのこにも「グアニル酸」といううまみ成分のもとになる「核酸」が含まれており、加熱する過程でグアニル酸に分解されてうまみ成分が増えることが分かっています。

干しシイタケのうまみ成分を最大限に活かす

また、生のキノコよりも乾燥させたもののほうが細胞が壊れているために成分が出てきやすい状態にあります。
生のシイタケではなく干しシイタケがだし取りに使われるのはこういった理由があるためです。

1. 干しシイタケのような乾燥したものを一度水で戻して成分が出入りしやすい状態にする
2. グアニル酸がつくられやすいようにゆっくり加熱する

といったことをすることで、よりうまみ成分を増やすことができるといえます。

きのこに含まれるさまざまな機能性成分について

きのこの機能性成分

きのこの機能性成分について、様々な分野で研究が進んでいます。
研究分野は多岐にわたり、

・抗がん作用
・血中脂質改善作用
・ダイエット効果
・アルツハイマー予防効果

といった効果があるのではないか?と期待されています。

きのこの効果を紹介するウェブサイトでは、きのこを食べることでこれらの効果が得られるということを強調するような文章を見かけます。
しかし、これらの研究は人での十分な効果は確認できておらず、研究はまだ発展途上の状態です。

現段階では、きのこを食べることでこれらの効果があるとは言えません。
薬のように、誰にでも目に見えて効果のあるものとは考えないほうがいいでしょう。

将来的に、これらの機能が医学的に使われるかもしれませんね。

おいしい・栄養のあるきのこの選び方・使い方

おいしいきのこ

低カロリーにもかかわらず栄養素も魅力のキノコですが、お店ではどのようなものを選ぶといいのでしょうか?

おいしいきのこの選び方

きのこは鮮度が落ちるのが早いため、新鮮なものを選ぶのがコツです。

傘の部分が開ききっていないもの

軸と傘がしっかり分かれたいわゆる「キノコ型」のものに関しては、傘が開ききっていないこんもりとした形のものがおすすめです。

傘の裏のヒダが変色していないもの

きのこは鮮度が落ちると裏のヒダが茶色く変色することがあります。
なるべくヒダがきれいな状態のものを選ぶといいですね。
きのこの中でも、マッシュルームはもともとヒダが黒いものなので、特に問題はありません。

全体的にしんなりしていないもの

きのこは鮮度が落ちるとしんなり、湿ったようになってしまいます。
また、水分があるとさらに傷みやすいため、表面が湿っていないものを選ぶようにしましょう。

きのこのおいしい使い方

きのこをおいしく食べるポイントは、きのこ独特の香りと、食感をキープすることです。

香りを残すためになるべく洗わない

きのこの香り成分は水洗いをすると弱まってしまうので、なるべくなら水洗いは最小限に済ませたい作業です。
人工栽培された多くのキノコは衛生的な環境で栽培されているため、洗わなくても料理に使えるものがほとんどです。
例外としては、土のついたものやなめこは雑菌が比較的多くなっていると考えられるため、さっと洗ってから使うといいでしょう。

水分を逃さないために炒めるときは強火で!

きのこは水分の多い食材で、加熱しているとどんどん水分が出てきてしまいます。
炒め物ではべちゃっとした食感になりやすいため、高温・短時間がおすすめです。

生のまま冷凍保存もOK

きのこは鮮度が落ちやすいですが、新鮮なうちに石づきを取って食べやすいサイズに切り、冷凍しておくといつでも使うことができます。
凍ったまま炒め物やスープに使うことができます。

注意点

野菜感覚で使うことが多いきのこですが、実は野菜とは違い、生で食べることはできない食材です。

生のキノコやキノコの戻し汁を加熱せずに食べたことによって皮膚炎を発症したり、赤血球が破壊される場合もあります。

いずれも十分に加熱をすれば問題なく食べられることができますが、これらの作用は鮮度とは全く関係がないので、「新鮮だから生で食べられる」ということはほとんどありません。

きのこは十分に加熱して、おいしく食べてくださいね。

参考文献

Wikipedeia:「キノコ」

林野庁:「日本のきのこ」

竹内 敦子, 岡野 登志夫, 和田 知子, 須藤 都, 新谷 有美, 小林 正.日光照射によるシイタケ中のビタミンD_2増量効果.ビタミン,65巻3号(1991)

桐渕 壽子.紫外線照射条件の違いによるキノコのビタミンD2生成量の比較および保存中における変化 紫外線照射によるキノコ類の効果的利用 (第5報)日本家政学会誌,43巻7号(1992)

澤田 崇子.きのこの調理 シイタケを中心に.日本調理科学会誌,36巻3号(2003)

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(ヤマブシダケ、キノコキトサン、シイタケについて)

埼玉県皮膚科医会:「しいたけ皮膚炎」

ハウス食品株式会社:「きのこ|食材を知って、おいしく調理」

旭化成ホームプロダクツ:「きのこ類|野菜保存のポイント」

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」