2020.01.17

アマニ油はオメガ3が豊富!毎日食べるべき?|管理栄養士執筆

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アマニとアマニ油

健康的な油のひとつとして注目される「アマニ油」。
どんな効果があるのか、どう取り入れるべきかわからない、という人も多いのではないでしょうか?
アマニ油の栄養的特徴と、取り入れるときのポイントを紹介します。

アマニ油とは?

アマの種子からとれる油

「亜麻仁(アマニ)」はゴマに似た見た目をしています。
「亜麻(アマ)」という植物の種子のことを指し、
このアマニからとれた油を「アマニ油」といいます。

普段の食生活では「アマニ」も「アマニ油」も食べる機会はそう多くないものですが、
最近では様々な健康効果が期待され、注目されている食品のひとつです。

アマニ油、亜麻仁油、フラックスシードオイルとも呼ばれます。

栄養価は?

アマニ油は私たちが普段使っている油と比べて何が違うのでしょうか?
同じ植物油であり、サラダ油やキャノーラ油などに広く使われているなたね油と比較してみましょう。

アマニ油 なたね油
エネルギー 921kcal 921kcal
水分 微量 0g
たんぱく質 0g 0g
脂質 100.0g 100.0g
炭水化物 0g 0g
*100gあたり

アマニ油やなたね油に限らず、多くの油は原料から油だけを抽出したもので、すべて脂質からなり、脂質以外の水分、たんぱく質、脂質は含まれていません。
そのためどの油もエネルギーは同じであり、特別エネルギーが低い、というものはありません。

次に、油の構成成分である脂肪酸の組成を見てみましょう。

アマニ油 なたね油
飽和脂肪酸 8.09% 7.06%
一価不飽和脂肪酸 15.91% 60.09%
多価不飽和脂肪酸
(オメガ3+オメガ6)
71.13% 26.10%
オメガ3系脂肪酸 56.63% 7.52%
オメガ6系脂肪酸 14.50% 18.59%

同じ「脂質100%」であっても、脂質の種類が異なることがわかります。
なたね油では60%ほどを「一価不飽和脂肪酸」が占めていますが、アマニ油では70%ほどを「多価不飽和脂肪酸」が占めています。

アマニ油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸の中では、「オメガ3系脂肪酸」がより多く含まれています。

アマニ油は私たちが普段よく使うなたね油と比較すると、
「多価不飽和脂肪酸の割合が多く、特にオメガ3脂肪酸が多い油」
といえそうです。

アマニ油にまつわる機能性のウワサ

アマニ(粒)

俗に…

アマニ油は様々な健康効果が期待されているようです。

ネット記事やテレビ番組では、
・アレルギーにいい?
・糖尿病、高血圧、脂質異常症にいい?
・心血管疾患にいい?
・健康な皮膚をつくる?
・便秘解消にいい?

…といわれています。
これらの機能性は本当でしょうか?
アマニ油に含まれる代表的な成分のはたらきと、
アマニ油を使った研究報告をもとに、考えてみましょう。

アマニ油の代表的な栄養素:オメガ3としての効果

オメガ3とは?

オメガ3(n-3系脂肪酸)とは、脂肪酸の一種です。

アマニ油を含む多くの油脂は「グリセリン」と「脂肪酸」が組み合わさってできたトリグリセリドです。

トリグリセリドの組成

脂肪酸にはいくつもの種類があり、その構造によって
飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸

に分けられます。

多価不飽和脂肪酸にはさらにオメガ3(n-3系)とオメガ6(n-6系)に分けられます。

オメガ3(n-3系脂肪酸)にはα-リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イコサペンタエン酸(EPA)が属しています。

アマニ油にはこのうち「α-リノレン酸」が多く含まれており、全体の60%を占めています。

必須栄養素としてのはたらき

オメガ3(n-3系脂肪酸)とオメガ6(n-6系脂肪酸)はともにヒトの体では作り出せない「必須脂肪酸」です。
そのため、必ず食事からとる必要のある「必須栄養素」のひとつです。

オメガ3・オメガ6のいずれも欠乏状態が続くと皮膚炎を起こすことが知られており、機能面から考えると、免疫機能にも問題が起こることが考えられます。

アマニ油に含まれるオメガ3とそのほかから摂取するオメガ6とのバランス

オメガ3もオメガ6も食事から吸収された後は体内で代謝され、「エイコサノイド」と呼ばれるホルモンのような物質に作り替えられます。

これらは免疫系にもかかわっており、お互いに対照的な働きをするのが特徴です。

オメガ6から作られるエイコサノイドは免疫反応を強める方向に働きますが、
オメガ3から作られるエイコサノイドは免疫反応を抑制する方向に働きます。

エイコサノイドのバランス

オメガ6由来のエイコサノイドが多すぎるとアレルギー症状などが強く出るほうに傾きますが、
オメガ3由来のエイコサノイドが多すぎても、免疫機能が弱まってしまいます。

どちらが多いとよい、というものではなく、オメガ3とオメガ6のそれぞれを適度なバランスで摂るのが大事です。

アマニ油にはオメガ3が豊富に含まれていますが、アマニ油をたくさんとればとるほど良いというものではないことに気をつけましょう。

アマニ油をすすめる情報ではオメガ6は摂りすぎ、代わりにオメガ3をとろう、といわれることもありますが、厳密には間違いです。

オメガ6も必須脂肪酸であり、アマニ油のオメガ3の機能を発揮するためにはオメガ6を十分に取っていることが求められます。

また、望ましい摂取量のバランスも1:1ではなく、オメガ6:オメガ3=4:1くらいがよい*)といわれています。
*)吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.より

不足しがち?→平均的には不足してない

では、私たち日本人はアマニ油などを利用してもっとオメガ3をとるべきなのでしょうか?

食事摂取基準2020年版を策定するときの根拠となった平成28年度の国民健康・栄養調査では、30-49歳のn-3系脂肪酸(オメガ3)における摂取量の中央値は男性で2.03g(摂取エネルギーの0.89%)、女性で1.60g(摂取エネルギーの0.86%)となっていました。

これは同年代のアメリカ人の1.3倍に相当し、日本人は魚をよく食べることから比較的多くオメガ3をとっているといわれています。

現在の食生活の中間程度の摂取量では不足の心配はないと考えられているため、食事摂取基準でも「摂取目安量」は「現在の摂取量」から定められています。

肉類や乳製品に偏りがちな食生活の人では飽和脂肪酸に偏りがちになることが考えられ、
また、魚を食べる機会の少ない人は多価不飽和脂肪酸が少なくなりがちなことが考えられるため、食生活の内容によってはオメガ3を積極的に取り入れる必要がある人も存在します。

生活習慣病予防についてのはたらき

アマニ油に含まれるオメガ3は「α-リノレン酸」です。

このα-リノレン酸をとる量が多いと循環器疾患に「少し」なりにくいという関連性が報告されています。*)

また、オメガ3やオメガ6を含む多価不飽和脂肪酸全体としては、
飽和脂肪酸に代えてオメガ3を取り入れた場合、心筋梗塞や冠動脈疾患のリスクが低下することが知られています。*)

この場合は「多価不飽和脂肪酸をとればとるほど良い」のではなく、飽和脂肪酸の摂取量を減らしつつ、多価不飽和脂肪酸を増やすということが重要です。

*)いずれも食事摂取基準2020年版策定検討会より

オメガ3の摂取源としてアマニオイルはよい?

オメガ3を豊富に含むアマニ油はいつもの食事にプラスする方法では手軽に使える食材といえそうです。

しかし、アマニ油も油脂類でエネルギーの高い食品であることに注意が必要です。

いつもの食事に足すだけでは摂取エネルギーを増やしてしまうので、摂取量には注意が必要です。
可能であればほかの油と置き換えて使うのが望ましいでしょう。

また、肉類や乳製品に偏りがちで飽和脂肪酸をとりすぎる傾向にある人にとっては、多価不飽和脂肪酸の摂取不足以上に、飽和脂肪酸の取りすぎをただす必要があります。

アマニ油を足すよりも、肉類や乳製品の摂取量を減らして魚類を食べるようにするといった方法のほうが健康への効果は高そうです。

バターの代わりにアマニ油、といったような使い方がおすすめです。

アマニ油に機能性は見つかっている?

アマニ

アマニやアマニ油の機能性を調べた研究は多岐にわたる

アマニやアマニ油を摂取することで健康へのいい影響がないかを調べた研究は幅広く存在します。

具体的には、糖尿病や高血圧、脂質異常症などに対しての有効性が研究されています。

有効性があるものは?

もちろん、すべての研究で有効性が見つかったわけではなく、効果があったとするものとそうでないものがあります。

原料のアマニとしては各種生活習慣病に対して一定の効果があったとする研究がありますが、アマニ油においては各種生活習慣病への有効性が認められたものはほとんどありません。

反対に、糖尿病や高脂血症について、アマニ油は効果がないことが示唆されています。

結論:アマニ油をとることで「これにいい」と言い切れるものはない

アマニ油について様々な研究が行われているものの、現時点において「アマニ油がこの病気に効く」といったものは見つかっていないようです。

あくまで食材のひとつとして考え、特別な効果はないものとして活用するのがいいでしょう。

注意したいこと

酸化しやすい特性

アマニ油に豊富に含まれる多価不飽和脂肪酸は健康に対して様々な良い影響をもたらす一方で、構造上酸化されやすく、「劣化しやすい油」とも言えます。

そのため、アマニ油は加熱調理では酸化して劣化してしまうため、炒め物や揚げ物にはあまり適していません。

アマニの代表的な成分「リグナン」の効果が期待されることもあるけれど…

アマニ油において「リグナン」という成分が健康に良いとしてうわさされることがあります。

リグナンはアマニ油の原料であるアマニに含まれている成分ですが、アマニから油脂を取り出したアマニ油には、リグナンは含まれていません。

リグナンは何らかの健康効果があるのでは、と期待されている成分のひとつではありますが、少なくともアマニ油では摂取できないので間違った情報には注意しましょう。

妊娠中は避けよう

アマニやアマニ油において、「エストロゲン」に似た作用があることが知られています。

エストロゲンとは女性ホルモンのひとつですが、妊娠中にエストロゲンに似た作用のあるアマニやアマニ油をとることには危険性があるとして、妊娠中は避けたほうが良いとされています。

過剰摂取のリスク

アマニ油は通常の食品に含まれる量であれば安全に食べることのできる食品ですが、健康に良さそうだからと言って過剰に摂取することは避けましょう。

脂質やエネルギーの過剰摂取につながりやすく、かえって肥満や生活習慣病のリスクを高めたり、妊娠中のトラブルのもとになることも考えられます。

オメガ3を含む油として注目されているとはいえ、あくまで食品のひとつと理解したいですね。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省:平成28年「国民健康・栄養調査」の結果

厚生労働省:「統合医療」情報発信サイト「アマニ、アマニ油」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(アマニ、アマニ油について)

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。