投稿日:2022.04.04 | 最終更新日:2021.04.21

フォローアップミルクは何のため?用途と注意点|管理栄養士執筆

粉ミルクと並んで販売されている「フォローアップミルク」。
パッケージや使い方も似ているようですが、違いはどこにあるのでしょうか?

フォローアップミルクの特徴と使い方のポイントを紹介します。

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粉乳

フォローアップミルクとは?

フォローアップミルクは、満9か月ごろから3歳くらいまで使える粉状のミルクで、粉ミルク(乳児用調製粉乳)と同様に、お湯などに溶かして使います。

9か月ごろからは料理などに使えるほか、満1歳を過ぎたころからは飲む用途にも使えます。

9か月以降の子どもたちが不足しやすい栄養素(特に鉄分)が強化されているのが特徴です。

生まれてすぐの赤ちゃんは、お母さんのおなかの中で蓄えた鉄分を持っていますが、生後6か月以降になると貯蔵していた鉄分が少なくなり、食事などから十分に鉄分が摂取できていないと鉄欠乏性貧血が起こりやすくなることが知られています。

粉ミルクでは必要な量の鉄が逆算して含まれていますが、母乳では鉄分が不足しやすく、離乳食などから鉄分を補給することが大事になってきます。

このときに、(母乳ではなく)牛乳の代用品として使われるのがフォローアップミルクです。
牛乳と比較して鉄分が多く含まれるため、離乳食や離乳完了後の食事からの鉄分摂取に役立ちます。

フォローアップミルクと粉ミルクはどう違うの?

同じ粉状のミルクであり、混同されることも多いフォローアップミルクと粉ミルク(乳児用調製粉乳)ですが、具体的にはどう違い、どう使い分けるのがよいのでしょうか?

■粉ミルク
粉ミルクは「母乳の代わり」として使われるものです。
基本的に母乳を模した成分構成になっており、新生児から1歳ごろまで使うことができます。
離乳食の割合が増えてくる時期までは粉ミルクだけで必要な栄養素が取れるようになっています。

■フォローアップミルク
フォローアップミルクは「牛乳の代わり」に使われるものです。
牛乳をベースに、牛乳では不足しやすい鉄分が添加されているのが特徴です。
そのため、牛乳と同様に9か月以降から料理に、1歳以降から飲用に使うことができます。
離乳食などの食事と併用することが前提であるため、鉄分等の補給には役立つものの、フォローアップミルクだけで必要な栄養素は取り切れません。

フォローアップミルクは必ず必要なもの?

粉ミルクは母乳の代わりとして、母乳を挙げられない場合において必ず必要なものですが、フォローアップミルクは必ずしも必要なものではありません。

離乳食が順調に進み、いろいろな食材から鉄分が十分に摂取できていれば基本的には必要ありません。

離乳食の食べが悪い、食べられるものの種類が増えていかない…など、鉄分不足からの鉄欠乏性貧血が心配される場合に、医療機関等と相談して取り入れるのがよいでしょう。

離乳食

フォローアップミルクの使いみち

フォローアップミルクの取り入れ方には、粉ミルクと同様にお湯で溶いて飲む方法もありますが、離乳食の食材のひとつとしての使い道もあります。

・グラタンやシチューなどのクリームソースに牛乳の代わりに
・蒸しパンやホットケーキに混ぜ込む
・つぶしたサツマイモに混ぜてスイートポテトに
・味噌やマヨネーズに混ぜ込む(まろやかな味になります)

…など、もともと牛乳を使う料理以外にも使うことができます。
お料理に使う方法は9か月ごろから取り入れることができ、鉄分摂取の助けになりつつ味わいもまろやかになるのでおすすめです。

まとめ 必要に応じて取り入れてみましょう

フォローアップミルクは、離乳食が順調であれば必ずしも必要なものではありませんが、この時期に心配な鉄分不足を補うのに役立つ食品です。

この時期の子どもたち向けの食品には、フォローアップミルク以外にも鉄分を強化したものが多数存在します。
こういった食品のひとつとして、赤ちゃんの様子を見ながら必要に応じて取り入れていくのがよいでしょう。

参考文献

厚生労働省:「授乳・離乳の支援ガイド(平成31年3月)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

児玉浩子. 幼児の栄養:フォローアップミルクを見直そう 小児科臨床. Vol.69 No.11 2016 1893-1899(141-147).

佐々木万里恵, 高橋孝雄. 乳児期の鉄欠乏について 小児科臨床. Vol.72 No.2 2019 193-197(73-77).

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。