2022.04.18

ベビーフードは栄養面・安全性で手作りに劣る?|管理栄養士執筆

離乳食は赤ちゃんにとってミルクや母乳以外の初めての食事。
大人向けの食事とは異なる点も多く、用意する負担は決して少なくありません。

忙しいママ・パパにとってベビーフードは離乳食の負担を少なくしてくれるものですが、「離乳食は手作りが最善」という風潮があるのも事実です。

ベビーフードは手作りの離乳食と比べて栄養面や安全性で劣るものなのでしょうか?
ベビーフードと手作り離乳食のメリットとデメリットを考えてみました。

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ベビーフード

ベビーフードは便利でバリエーション豊富

ベビーフードというと調理済みのレトルト製品のイメージが強いですが、実際にはいろいろな形態のものがあり、さまざまな場面で役立ちます。

■フリーズドライタイプ
お米や野菜をフリーズドライの粉末にしたもので、お湯に溶くことでペーストをつくることができます。
裏ごしの手間がなく食べる分だけペーストを作れて便利です。

■レトルトタイプ
野菜や肉・魚などの食材をそれぞれの時期に適した大きさにカットして加熱調理したもので、手作り離乳食に使える味付け前の半調理品と、温めるだけで(温めなくても)あげられる調理済みのものがあります。
調理済みのものはうどんやおかゆなどの主食、肉・魚・豆腐などを取り入れた主菜、野菜中心の副菜などバリエーションに富みます。

■お弁当タイプ
いくつかの種類の調理済みベビーフードがセットになったもの。
外出先でも衛生的に持ち歩くことができ、あげやすいのが魅力です。

ベビーフードは栄養面や安全面に不安はないの?

ベビーフードは手作りと比べ、品質に不安を持つ人もいるようですが、一般に市販されているベビーフードはその品質や安全性については、日本ベビーフード協議会の「ベビーフード自主規格」によって担保されています。

日本ベビーフード協議会とは、ベビーフードを製造・販売している企業が集まって運営している団体で、大手6社が会員企業となっています。
ベビーフード自主規格ではベビーフードの製品そのもののほか、容器包装や表示内容に関して、品質や衛生面・安全面についての規格を定めています。

少なくとも、日本ベビーフード協議会の「ベビーフード自主規格」に沿って製造・販売されているベビーフードに関して、適切な使い方を守っていれば、安全面を不安に思う必要はないでしょう。
調理中や食べるまでの間に不適切な扱いをすれば赤ちゃんにとって良くないのは手作りでも同じですので、どちらにしても衛生面・安全面には注意してあげたいですね。

また、栄養価に関しては、おかゆや小麦製品、肉・魚・大豆製品、野菜類などをまんべんなくとれているかという点がポイントとなるところです。

手作りだから・レトルトだからというよりも、どのような組み合わせで食べさせてあげるのかというところが大事なので、手作りとベビーフードのどちらが優れている、または劣るということはありません。

栄養価や安全性という最低限のポイントについては決定的な違いがある訳ではありません。
赤ちゃんや育児をする大人にとってのメリットやデメリットによってより都合のよいものを選んでよいでしょう。

ベビーフードの利点はどんなところ?

ベビーフードの最大の利点は、調理の手間が(製品によって程度の差はあるものの)省けること。
平成27年乳幼児栄養調査によると、離乳食にまつわる困りごとで最も多いのは「作るのが大変、負担」ということ。
離乳食づくりの時間を赤ちゃんのお世話や遊び相手をする時間にできるため、赤ちゃんとお世話をする人の双方にとってのメリットになるといえるでしょう。

また、ベビーフードはそれぞれの時期に合った形態となっているため、離乳食を手作りする際に役立ちます。
味付け前のレトルトタイプのベビーフードを手作り離乳食に取り入れることができるほか、調理済みのものは食材の大きさや固さ、とろみのつけ加減など、実物を見ることで参考にできることがたくさんありそうです。

加えて、家庭での手作り離乳食では取り入れにくい食材(レバーなど)を手軽に取り入れられるのも魅力。
いろいろな食材の味を経験させてあげたい時期なので、食事の幅を広げるのにやくだちます。

また、手作りの離乳食は外出時などに衛生的に保存するのが難しいもの。
製造時に殺菌・密封されたベビーフードであれば、外出先でも衛生的なものをあげることができます。

外出先での離乳食

このように、ベビーフードによるメリットは少なくありません。
上手に活用することで、子育てをより充実させることができそうです。

ベビーフードの課題とは?

とはいえ、ベビーフードが手作り離乳食と比較して圧倒的に優れているか、ということでもありません。

自主規格に沿って作られているとはいえ、すべての製品において必ずしも最適な固さや形態になっているとは限らず、柔らかすぎることもあるようです。
調理しながら固さを調節できるという点では、手作りのほうが細かな調節ができるといえるでしょう。

また、調理済みレトルトタイプのものに関しては、味が全体になじんでいるために素材それぞれの味が区別しにくいという指摘もあります。
離乳期はさまざまな食材の味を知っていく時期ですので、毎回ではなくとも、素材の味がしっかりわかるような機会を作ってあげたいですね。

手間がかからない反面、手作りの離乳食の材料費と比較してコストパフォーマンスはよくない場合も。
もちろん、調理に費やす時間との兼ね合いもあるため線引きは人それぞれですが、費用面もひとつの課題になりうる点です。

まとめ 愛情のかけ方はそれぞれ、自分たちに合ったものを選ぼう

このように、ベビーフードと手作り離乳食に関しては、それぞれメリットもデメリットも存在します。
離乳食を手作りするのは愛情の現れではありますが、ベビーフードを使ったからと言って愛情がないわけではありません。
食事作りに使える時間は人それぞれ違いますし、得意・不得意もあるでしょう。

子育ての負担を減らすために便利なものを取り入れるのは悪いことではありませんので、罪悪感を感じる必要はありません。

どちらが最善か…ということではなく、ほどほどにバランスをとりながら、そのときどきの家庭の状況に応じてメリットが大きいものを選ぶのがよいでしょう。

参考文献

厚生労働省:「授乳・離乳の支援ガイド」

日本ベビーフード協議会:「ベビーフード自主規格」

厚生労働省:「平成27年乳幼児栄養調査」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。