
乳幼児にとっておやつは必要不可欠な食事の一部
大人にとってのおやつは余分なエネルギー摂取になりやすいものですが、子どもにとってのおやつは成長のために必ずとりたい重要なものです。
乳幼児期は体が大きく成長する時期であるため、体の大きさの割に必要なエネルギーや栄養素が多いことが特徴です。
しかし、子どもの体は胃が小さく消化吸収機能も未熟なため、1日3食の食事だけでは、1日に必要な量のエネルギーや栄養素をとり切れないのです。
3食でとり切れないエネルギーや栄養素をしっかりとるためにおやつはとても重要なもので、乳幼児期においては、朝昼夕の3食と同じ食事の一部、と考えます。
子どものおやつはいつあげる?
おやつをあげるのによいタイミングや回数は年齢によって異なります。
1~2歳児に対しては朝10時ごろと午後3時ごろの1日2回、
3~5歳児に対しては午後3時の1日1回を目安にするのがよいでしょう。
欲しがったらあげる、のではなく、ほかの3食と同じように1日のスケジュールの中に組み込むと、生活のリズムを整えることにもつながります。
おやつには何をあげるのがいいの?
「おやつ」というと甘いお菓子がイメージしやすいですが、食事の一部と考える乳幼児期では、ほかの3食でとり切れないものをとれる内容にすることが望ましいでしょう。
食材の例としては、果物、野菜、牛乳・乳製品、穀類、いも、豆類など。
・野菜、穀類、いも、豆類などを取り入れたおやつ
・果物または乳製品
・飲み物(牛乳やお茶)
という風に組み合わせのパターンを決めると、栄養的にも充実した内容になります。
野菜、穀類、いも、豆類をつかったおやつでは、クッキーやスイートポテトのような甘いものだけでなく、野菜うどんやおにぎり、サンドイッチのような軽食も適しています。
また、乳幼児期は、味覚の発達のためにたくさんの食べ物の味を経験したい時期でもあります。
食べもの本来の味が分かるように、濃い味付けではなく、素材の味を生かしたものが望ましいですね。
薄味の習慣がつくことで、将来の生活習慣病予防にもつながります。
大人向けのスナック菓子などは、塩分が多く含まれているので注意しましょう。
おやつはどのくらいの量をあげる?
乳幼児期のおやつにおける、「適量」はどのくらいでしょうか?
明確なルールは示されていないものの、保育施設等では1日に必要エネルギーの15~20%程度をおやつからとることとしているところが多いようです。
1日に必要なエネルギーの15~20%を計算すると、
1~2歳児では150kcal程度を1日2回に分けて、3~5歳児では200~250kcal程度をひとつの目安とすることができます。
【カロリー計算の例】3-5歳児の場合(合計200~250kcal)
ふかしいも1/3~1/2本分(80-130kcal)
みかん1個(50kcal)
牛乳100ml(67kcal)
目安となる量を基準として、次の食事の時間にしっかりおなかがすくように、お昼ごはんが多かった日は午後のおやつは軽めにする(昼ごはんが軽い日はおやつはしっかり目に)…など、おやつ以外の食事のボリュームや内容に合わせて調節できると理想的です。
子どもが欲しがるままにおやつをあげてしまうと、むし歯や肥満、偏食の原因になりやすいので時間と量を決めるのがよいでしょう。
飲みものでも量が多かったり、食前のタイミングだと次の食事に影響するので、注意が必要です。
手作りにこだわりすぎなくて大丈夫
乳幼児は食生活の基礎をつくる大事な時期であるため、なるべく手作りのものを用意してあげたい時期でもあります。
とはいえ、忙しい現代ではすべて手作りでというのはなかなか難しいことが多いはず。
もちろん、負担にならないのであれば手作りできることに越したことはありませんが、無理をしてすべて手作りにする必要はありません。
市販品でも、乳幼児向けの商品は優しい味付けになっていたり、積極的にとりたい栄養素(カルシウムや鉄など)が強化されていたりと、便利で栄養的に優れたものもたくさんあります。
手作りの食事にこだわりすぎず、市販品も上手に取り入れながら無理なくおやつを用意してあげてくださいね。
参考文献
国立保健医療科学院:「幼児期の健やかな発育のための栄養・食生活支援ガイド」
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書