2020.12.24

食物アレルギーって?原因や予防法はあるの?|管理栄養士執筆

食物アレルギーは子どもたちに多く見られ、乳幼児の5~10%、学童期の1~3%が食物アレルギーを持っているとも考えられています。

食事が制限されるだけでなく、場合によっては栄養素の摂取にも影響があることも。
食物アレルギーについて、症状や原因、治療と食事の対処について紹介します。

  • Facebook
  • Twitter
  • はてなブックマーク
食物アレルギー

食物アレルギーとは?

「アレルギー」は、免疫の過剰反応により、体内に入ってきた本来無害な物質を排除すべきものとして判断、排出するために様々なアレルギー症状を起こします。

アレルギー疾患のうち、食物アレルギーは食べ物に対して起こるアレルギーで、原因となる食品を食べておおよそ2時間以内にアレルギー反応による症状が現れます。

皮膚や口の中にかゆみ・発疹・腫れ、吐き気・嘔吐・下痢などの消化器症状のほか、咳や呼吸困難などの呼吸器症状がみられることがあります。

このうち、2つ以上の強い症状が出るとアナフィラキシーといい、さらにアナフィラキシーに加えて血圧低下・意識障害などのショック症状がある場合には、アナフィラキシーショックという命にもかかわる重篤な状態になってしまいます。

症状の種類や重さは人それぞれです。
アレルギーが疑われるときは自己判断せず、医療機関へ相談するようにしましょう。

また、アレルギーの症状と似ているものとして、いずれも下痢を起こす乳糖不耐症や食中毒などがありますが、治療法が異なるため、安易に自己判断しないようにしましょう。

食物アレルギーの原因とスキンケア

平成23年の調査によると、すべての年代における食物アレルギーの原因となりやすい食品は、鶏卵(39.0%)、牛乳(21.8%)、小麦(11.8%)の順に多く、この3つで7割を占めています。

食物アレルギーを起こす原因について、以前は、妊娠中や授乳中にお母さんが食べたものが原因になるのでは…と言われていたこともありましたが、現在は否定されています。

現時点で原因にかかわっているといわれているのは、遺伝的なものや皮膚のバリア機能。
特に1歳までの乳児期にアトピー性皮膚炎の存在が重要なものと考えられています。

食物アレルギーを予防するために原因食品を予防的に除去したり、離乳食の開始時期を遅らせたりすることはかえって逆効果になるとも言われています。

近年では、新生児期から保湿を行うことで食物アレルギーにつながりやすいアトピー性皮膚炎の発症を3割以上減らせること、また、アトピー性皮膚炎があった場合でも、湿疹への治療をしっかり行いながら適切に加熱された鶏卵を少量ずつ食べさせることで卵アレルギーの発症が減らせることが報告されています。

赤ちゃんのスキンケア

食物アレルギーに対する対処は?

食物アレルギーのある子どもたちに対しては、主治医の指示のもと、原因食品の除去などの対処が行われます。

除去する場合の原則としては、原因となる食品を「完全に除去」するのではなく、症状が誘発されない範囲で食べること、とされます。

症状を起こさないようにしながら成長に伴って耐性を獲得していくのを待つ…というのが基本的な姿勢となるようです。

食事の配慮のポイント

原因食品を除去した食事を用意する場合、いちから手作りする場合には材料を把握することができますが、市販の食品では材料の把握が難しいことも。

加工食品の場合、食物アレルギーの頻度が高い食品であるたまご・乳・小麦・そば・落花生・エビ・カニは「特定原材料」として表示が義務付けられているため、原因食品の有無を確認することができます。

上記の特定原材料以外にも、20品目に関しては「特定原材料に準ずるもの」として可能な限り表示することとなっています。

一方で、このルールは容器包装されている加工食品に限ったもので、飲食店での食事や店内調理のお惣菜類、露店の食品などでは義務付けられていないため、注意が必要です。

また、栄養面では、特定の食品を除去することによることの影響も気になりますよね。

頻度の高いたまご・乳・小麦について考えてみると、たまごや乳のたんぱく質、小麦の炭水化物はほかの食品(たんぱく質:肉・魚類、炭水化物:米やイモ類など)で補うことができますが、問題となりやすいのが乳に豊富なカルシウムです。

幼児期のカルシウム摂取は乳類が大きな役割を占めるため、乳アレルギーで完全除去の場合にはカルシウムを比較的豊富に含む小魚や大豆製品、緑黄色野菜などを意識してとるようにしたいですね。

栄養バランスを維持するためにも、「原因食品であっても、食べられる範囲で食べる」というのは大事なポイントです。

まとめ 成長に伴って耐性を獲得していくことが多いのも特徴です

乳幼児期では5~10%の頻度で起こるといわれる食物アレルギーですが、多くは成長するに伴い、症状が軽く、出にくくなっていくことが多いです。

心配なことも多い食物アレルギーですが、医師と相談しながら、無理なく乗り越えていきたいですね。

参考文献

一般社団法人 日本アレルギー学会 アレルギーポータル:「アレルギーって?」

食物アレルギー研究会:「食物アレルギーの診療の手引き2017」

国立成育医療研究センター:「アレルギーについて」

Horimukai K, Morita K, Narita M, Kondo M, Kitazawa H, Nozaki M, Shigematsu Y, Yoshida K, Niizeki H, Motomura K, Sago H, Takimoto T, Inoue E, Kamemura N, Kido H, Hisatsune J, Sugai M, Murota H, Katayama I, Sasaki T, AmagaiM, Morita H, Matsuda A, Matsumoto K, Saito H, & Ohya Y.Application of Moisturizer to Neonates Prevents Development of Atopic Dermatitis.Journal of Allergy & Clinical Immunology (11.248) Vol. 134, Issue 4, October 2014.

消費者庁:「アレルギー表示について」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。