特定保健指導の対象者と階層化

特定保健指導の対象者と階層化

特定保健指導の対象になる人は?

特定保健指導の対象となるのは、特定健康診査(または特定健診に相当する健診)を受けた人のうち、特定健康診査の結果と質問票を用いた「階層化」によって特定保健指導の対象となった人です。

*特定健康診査の対象者は40~74歳の被保険者、被扶養者です。

特定保健指導の対象になるかは「階層化」によって分けられる

特定健康診査・特定保健指導では、健診結果と質問票を用いた「階層化」によって特定保健指導の対象となるか、また、どのレベルの支援を受けるかが決まります。

リスクの高さによって階層化される

「階層化」では生活習慣病リスクの高さによって、それぞれのレベルに振り分けられます。

特定保健指導の対象外となる人
  • 情報提供レベル:メタボリックシンドロームによる生活習慣病リスクが少ない
    または
  • すでに服薬治療を行っている:かかりつけ医による治療が優先される
    *かかりつけ医と連携して保健指導を行う場合もある
特定保健指導の対象となる人
  • 動機づけ支援レベル:生活習慣の改善とそのための目標設定と評価に支援が必要
    または
  • 積極的支援レベル:生活習慣の改善と、そのためのよりきめ細やかな継続的支援が必要。

自分はどのレベル?階層化の手順

階層化には4つのステップによってリスクの高さを区別します。
ひとつ目は内臓脂肪の蓄積リスク、
ふたつ目は検査値や生活習慣からわかる追加リスク、
3つ目は保健指導レベルの分類、
4つ目は例外となる場合のチェックとなります。

ステップ1:内臓脂肪蓄積のリスク判定

特定健康診査・特定保健指導において、中心となる健康リスクのひとつが「内臓脂肪脂肪型肥満」です。
内臓脂肪の蓄積と、肥満によるリスクの有無を判定します。

内臓脂肪蓄積のリスク判定

腹囲 男性85cm以上、女性90cm以上→(1)
(1)以外で BMI 25㎏/m2以上→(2)

ステップ2:追加リスクの数の判定と特定保健指導の対象者の選定

内臓脂肪型肥満に加え、血圧、血中脂質、血糖値などの代謝異常が重なった状態をメタボリックシンドロームといい、動脈硬化性疾患などのリスクがより高まります。
また、喫煙はこれらのリスクとは別に動脈硬化を進行させる要因であり、代謝異常に加えて喫煙習慣がある場合、リスクのひとつとみなします。
そのほか、すでに代謝異常について服薬治療を行っている場合には、特定保健指導の対象外とされるため、服薬の有無も確認します。

メタボリックシンドロームの判定項目

①血圧高値 収縮期血圧130㎜Hg以上 または 拡張期血圧85㎜Hg以上
②脂質異常 中性脂肪150㎎/dL以上 または HDL-C 40㎎/dL未満
③血糖高値 空腹時血糖100㎎/dL以上 または HbA1c(NGSP)56%以上

動脈硬化に関連するリスク

④質問票より、喫煙歴あり

特定保健指導の対象外になる項目

⑤質問票より、血圧高値、脂質異常、血糖高値の治療に係る薬剤を服用している

追加リスクの数の判定追加リスクの数の判定

ステップ3:保健指導レベルの分類

ここまでの項目から、①~④のうち、該当するリスクを数え、保健指導の必要性の有無と、そのレベルを分類します。
*④喫煙歴については①~③のリスクが1以上の場合にのみカウント

特定健診・特定保健指導:保健指導レベルの判定

ステップ1で(1)に該当する場合

該当する追加リスクの数が
 2以上:積極的支援レベル
 1:動機づけ支援レベル
 0:情報提供レベル

ステップ1で(2)に該当する場合

該当する追加リスクの数が
 3以上:積極的支援レベル
 1~2:動機づけ支援レベル
 0:情報提供レベル

ステップ4:例外的対応について

生活習慣病リスクの高さに応じて保健指導の階層化が行われますが、さらに個々の状況に応じて例外的な対応となる場合があります。

65~74歳の場合

65歳以上の対象者については、体力や運動機能の観点から、将来的に生活の質を確保することに配慮する必要があると考えられ、積極的支援レベルでも、動機づけ支援レベルの保健指導を実施することとされています。

服薬中の場合

すでに服薬治療を行っている場合には、かかりつけの医療機関があるはずです。
生活習慣の改善については、受診しているクリニック等の治療の一環として行われることがより望ましいと考えられるため、基本的には特定保健指導の対象外となります。

ただし、生活習慣改善支援をよりきめ細やかに行うなどの観点から、かかりつけ医と連携して保健指導を行う場合もあります。
また、治療を行っている項目以外で判定値を超えた項目に関しては、対象者本人からかかりつけ医に情報提供することが望ましいとされています。

それぞれの階層の違いは?

情報提供

受診者全員に対して、健診結果とともに行われます。
個人の結果に応じて、検査値改善のためのアドバイスなどの情報を提供します。

動機づけ支援

20分以上の個別面談(遠隔の場合は30分以上)または80分以上のグループ支援
検査値の読み方やメタボリックシンドローム・生活習慣病についての解説、日頃の生活習慣について振り返り、行動目標(間食の回数を減らすなど)を立てます。
3か月後に行動目標が達成できたか、体重や腹囲といった数値に変化が見られたかなどの振り返り・評価を行います。
*6か月後に振り返り・評価を行う場合や、評価後にさらなるフォローアップが行われる場合もあります。

積極的支援

動機づけ支援と同様に、20分以上の個別面談(遠隔の場合は30分以上)または80分以上のグループ支援を行い、その後も3か月間にわたり、継続的に電話やメールなどによるアドバイスやフォローを受けます。
こちらも動機づけ支援と同様、3か月後に行動目標が達成できたか、体重や腹囲といった数値に変化が見られたかなどの振り返りを行います。
*6か月後に振り返り・評価を行う場合や、評価後にさらなるフォローアップが行われる場合もあります。