特定健康診査の目的と受けるメリット

特定健康診査の目的と受けるメリット

特定健康診査を行う目的

日本人の健康課題は生活習慣病

現代の日本人の3大死因は「がん」「脳血管疾患」「心疾患」ですが、これらはいずれも食事・運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が発症にかかわる「生活習慣病」であるといわれています。

食事・運動・喫煙・ストレスと生活習慣病

また、糖尿病、脂質異常症、高血圧は動脈硬化の進行を介して脳卒中(脳血管疾患)や心臓病(心疾患)を引き起こす病気であり、自覚症状は少ない状態であるものの、こちらも生活習慣病に分類されます。

生活習慣病の進行

これらの生活習慣病は、現代の日本人の健康に大きな影響を与えるものですが、その一方で、毎日の生活習慣の見直しにより予防が可能なものでもあり、これからの日本人の健康づくりのために日本全体として取り組むべきポイントと位置付けられています。

特定健康診査の目的は生活習慣病高リスク者の抽出

「特定健康診査」は健康診断等の中でも特に生活習慣病に特化した健診で、生活習慣病リスクの高い人を見つけることを目的としています。

主として内臓脂肪の蓄積に着目し、リスクの高い人を抽出することで、特定保健指導を通じて生活習慣病の早い段階で生活習慣の改善を行い、生活習慣病発症の予防につなげることを目的としています。

特定健康診査の対象となるのは40~74歳 、費用補助もある

特定健康診査の対象となるのは以下の条件に当てはまる人となります。

  • 健康保険(国民健康保険や健康保険組合など)の加入者(被保険者)およびその家族(被扶養者)
  • 40歳~74歳

受診費用は補助が出るため、無料か少額で済む場合がほとんどです。

特定健康診断を受けることによるメリット

特定健康診査は、健診を受ける受診者はもちろん、職場や国全体にとってもメリットのある制度です。

受診者のメリット

病気になる前に気づき、予防に役立つ

糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病は自覚症状がないことがほとんどで、知らず知らずのうちに動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞を発症してはじめて気づくということも少なくありません。
従来の健康診断は「早期発見・早期治療」を目標としたものでしたが、それよりも早い段階の「予防」を重視した特定保健指導は糖尿病・高血圧・脂質異常症が進行する前に問題点に気づくことができるため、予防に役立てることができます。

特定健診の予防タイミング

健診後の「特定保健指導」で専門家のサポートを受けられる

特定健康診査はその後の「特定保健指導」とセットになった制度です。

特定保健指導ではリスクの数に応じて、保健師や管理栄養士からサポートを受けながらリスク要因となっている生活習慣の改善を目指します。

補助が出るため費用負担が少ない

個人で受ける人間ドックなどの任意の健康診断は費用の自己負担が必要ですが、特定健康診査は(健康保険の種類等によっても異なりますが)補助によって無料になるか、少額で済みます。
費用負担が少ないため、気軽に受けられるのもメリットのひとつといえますね。

職場、市区町村、国のメリット:健康課題を把握し、従業員の健康維持や医療費の抑制に役立つ

職場のメリット:従業員の健康維持・生活習慣病の予防により、生産性の向上に役立つ

従業員の健康は職場の生産性アップに関して重要なポイントです。
従業員の病気を未然に防ぎ、健康を維持する仕組みがあることは職場にとってもプラスになります。

医療保険者のメリット:将来的な医療費の抑制に役立つ

健診費用の負担はあるものの、将来的に生活習慣病の患者が減ることで、医療費の負担を少なくすることができます。
医療費が減ると医療保険者だけでなく、保険加入者にとっても保険料が上がるのを防げるというメリットもあります。