投稿日: 2022.12.25 | 最終更新日: 2023.08.22

コーヒーを飲みすぎるとどうなる?健康への影響と1日の適量を紹介

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コーヒーを飲みすぎて体調を崩したことはありませんか?
コーヒーはカフェインを含むため、その作用により眠気をさます効果が期待される一方で、取りすぎると体調不良の原因になることも。

コーヒーの飲みすぎで起こる体調不良とその対処法、体調不良をさけるためのポイントについて解説します。

コーヒーを飲みすぎるとどうなる?

コーヒーは世界中で広く親しまれている嗜好飲料のひとつです。
味を楽しむだけでなく、眠気覚ましやリフレッシュのために飲むという人も少なくありませんが、コーヒーも飲みすぎると体調に悪影響がみられることもあります。

多量のコーヒーを摂取することによる健康障害としては、胃痛・嘔吐などの消化器症状、不安・興奮などの神経症状、心臓の期外収縮(不整脈の一種)などが起こることが報告されています。

コーヒーの飲みすぎによって起こるこれらの症状は、コーヒーに含まれる「カフェイン」の作用によるものです。
コーヒーの飲みすぎで起こる健康障害は、カフェインの過剰摂取によっておこる健康障害とほぼイコールといってよいでしょう。

カフェインの取りすぎによる症状とは?

カフェインは天然には植物由来の成分であり、身近な食品ではコーヒーのほか、茶葉、カカオ製品、コーラなどに含まれています。
そのほか、精製したカフェインとしてエナジードリンクや眠気覚ましドリンク、医薬品などにも使用されています。

適切な摂取量では眠気や倦怠感、一部の頭痛の解消に役立ちますが、多量に摂取すると以下で紹介するような健康障害を引き起こします。

胃痛、吐き気、嘔吐、下痢

カフェインには胃酸の分泌を促進したり、消化器官を刺激したりする作用があります。
適度な範囲では食べ物の消化を助けるなどのメリットがありますが、作用が強くなると以下のような消化器系の健康障害につながります。

  • 胃痛
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢

頭痛、神経過敏、不眠症、不安、興奮、めまい、耳鳴り

カフェインは脳や脊髄といった中枢神経系を刺激する作用を持ちます。

この作用により、眠気覚ましや倦怠感の解消などの効果が得られますが、多量にカフェインを摂取することでこれらの作用が強くなりすぎると、中枢神経への刺激が強くなりすぎて、以下のような健康障害を引き起こすことがあります。

  • 頭痛
  • 神経過敏
  • 不眠症
  • 不安
  • 興奮
  • めまい
  • 耳鳴り

動悸、心臓の期外収縮

カフェインには心臓の働きを強くする強心作用があります。
カフェインの多量摂取によりこの作用が強まると、以下のような健康障害として現れることがあります。

  • 動悸(普段よりも早く、強い心拍の状態)
  • 心臓の期外収縮(不整脈の一種)
  • 心筋梗塞

コーヒーを飲みすぎた時の対処法

カフェインを含むコーヒーを飲みすぎて体調不良になった場合で、通常の状態と比べて明らかに体調がおかしい場合には医療機関の受診をおすすめします。

そうでない場合、体内のカフェインの作用が強くならないような対処として行えるのは水分を十分に摂取することと、安静にすることです。

水分をとる

コーヒーに含まれるカフェインは、消化管から吸収され、血液中の濃度が高まると作用が強くなります。
カフェインのとりすぎで気分が悪い時には、血中濃度を下げるためにも水分を十分にとりましょう。

また、カフェインの利尿作用により体内の水分排出が促進されるため、失われる水分を補う意味でも水分補給を心掛けるとよいでしょう。

安静にする

コーヒーに含まれるカフェインには心拍数をあげるなど、心臓にも作用します。
このときに運動などを行うと心臓の働きがさらに強くなり、負担が大きくなってしまいます。

カフェインのとりすぎで気分が悪いときは体を休めるようにしましょう。
しばらくたっても気分が良くならない場合には、医療機関の受診も検討しましょう。

コーヒーは1日何杯までが適量?

コーヒーの飲みすぎによるカフェインの多量摂取を避けるための「1日あたりの上限量」は、実ははっきりとは決められていません。

国外では「マグカップ3杯まで」とする国もある一方で個人差も大きく、年齢や体質、妊娠中や授乳中では適量の範囲はさらに狭まるようです。

マグカップ3杯までが目安

前述のとおり、日本国内ではカフェインやカフェインを含むコーヒーなどの食品について、摂取量の上限は明確には設定されていません。

厚生労働省、農林水産省、内閣府食品安全委員会では、それぞれ食品に含まれるカフェインの過剰摂取に対して注意喚起を行っており、その中で海外の状況としてカフェイン及びカフェインを含む食品の摂取量についての提言や勧告を紹介しています。

そのうちのひとつ、カナダ保健省が発表した内容では、健康な成人のカフェイン摂取上限として「1日あたり400㎎まで」、カフェインを含む飲料に換算すると、「コーヒーをマグカップ3杯まで」(マグカップ1杯=237ml)を挙げています。

体積に換算すると711mlとなりますが、人によっては日常的に飲む量に近い場合もあり得る量といえます。
この量を超えたからと言って直ちに健康障害が起こるというものではありませんが、コーヒーやその他のカフェインを含む飲料を常飲するような習慣がある場合には注意が必要です。

子どもや妊娠中・授乳中の女性は注意

子どもや妊娠中の女性、授乳中の女性では健康な成人よりも少ない数値が上限量として設定されています。

  • 妊娠中の女性…200~300㎎/日(WHO、EFSA、カナダ保健省)
  • 授乳中の女性…200㎎/日(カナダ保健省)
  • 健康な子供・青少年…2.5~3.0㎎/㎏体重/日(EFSA、カナダ保健省)

これは、体の小さい子どもは少量でも血中濃度が上がりやすいこと、妊娠中はカフェインが代謝されにくくなること、授乳中はカフェインが母乳に移行することなどが理由です。

個人差も大きいことに注意

子どもや妊娠・授乳中でない場合でも、カフェインによる影響には個人差も大きいことが知られており、日本国内で明確な上限が設定されていないのはこのためです。

健康な成人といっても、上記の目安の量を超えて摂取しても健康障害が起こらない人もいれば、目安量に届かなくても体調不良を感じる人もいます。

自分の体質をよく知り、上手に付き合っていくのが安心です。

コーヒーを飲みすぎて体調を崩さないためのポイント

コーヒーの飲みすぎによるカフェインの多量摂取による体調不良を避けるためには、ある程度のルールを守りながら、体調に配慮した嗜好飲料の取り方を心掛ける必要があります。
具体的には、1日の上限を決めてそれを守る、コーヒー以外の水分摂取を心掛ける、カフェインレスコーヒーもうまく使う、などの方法が挙げられます。

1日の上限量を決める

一度に多量のコーヒーを飲むことがカフェインの過剰摂取につながりやすいのは感覚的にも理解しやすく、自制心が働く人も少なくないはずです。
しかし、仕事中は常にコーヒーが手元にあるなど、長時間かけて多量のコーヒーを飲む場合には気づかないうちにカフェインを過剰摂取しているかもしれません。

1日あたりの上限を決めることで、思いがけずカフェインをとりすぎないようにしましょう。

ひとつの目安は上で紹介した「健康な成人で1日あたりカフェイン400㎎、コーヒーマグカップ3杯まで」です。

合わせて、これまでにコーヒーの飲みすぎで体調を崩したことがあるのであれば、自分の体質等を考慮し、マグカップ3杯よりも少ない量を目安とする必要があります。

このほか、コーヒーは濃さによっても1杯カフェイン量が変動すること、コーヒー以外のカフェインを含む飲み物があることに注意が必要です。

コーヒーは濃い目のものは少なめの量にすることを心掛けるなど、状況に応じて上手に調整できるとよいでしょう。

■飲料に含まれるカフェインの量

食品 カフェイン濃度 一杯分のカフェイン
エスプレッソコーヒー 212㎎/100ml 64㎎/30ml
ドリップコーヒー 60㎎/100ml 90㎎/150ml
インスタントコーヒー 57㎎/100ml 86㎎/150ml
玉露(高級緑茶) 160㎎/100ml 96㎎/60ml
緑茶(煎茶) 20㎎/100ml 30㎎/150ml
ほうじ茶 20㎎/100ml 30㎎/150ml
紅茶 30㎎/100ml 45㎎/150ml
ウーロン茶 20㎎/100ml   30㎎/150ml
市販コーラA  10㎎/100ml  50㎎/500ml
市販コーラB  8㎎/100ml  38㎎/500ml
市販缶コーヒーA  77㎎/100ml  146㎎/190ml
市販缶コーヒーB   50㎎/100ml 93㎎/185ml
市販エナジードリンクA  32㎎/100ml  80㎎/250ml
市販エナジードリンクB   40㎎/100ml 142㎎/355ml
眠気覚ましドリンクA  240㎎/100ml  120㎎/50ml
眠気覚ましドリンクB  300㎎/100ml  150㎎/50ml

文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 、食品メーカーのデータから引用

水分摂取を心掛ける

血液中のカフェインの濃度が高まると作用が強まるため、コーヒーを飲むときやその前後では水分を補給して血液中のカフェインの濃度を下げるようにしましょう。

カフェインは利尿作用があり、体内の水分を排出する働きを持つため、失われる水分を補う意味でも有効です。

水分補給はカフェインの入っていない麦茶や水がおすすめです。

カフェインレスコーヒーも活用する

近年ではコーヒー豆やインスタントコーヒーからカフェインを除去したカフェインレスの製品が多く販売されています。

飲むコーヒーのすべてをカフェインレスに切り替える必要はありませんが、カフェインの摂取量が多くなりすぎそうな時に適宜カフェインレスコーヒーを取り入れることで、コーヒーを楽しみながら、カフェインの摂取量を抑えることができます。

ノンカフェインの飲み物について詳しく解説した記事はこちら

まとめ

コーヒーを飲みすぎると、コーヒーに含まれるカフェインを多量に摂取することになり、結果として体調不良をきたす恐れがあります。

コーヒーの飲みすぎによる健康障害として報告されている具体的な症状としては、胃痛・嘔吐などの消化器症状、不安・興奮などの神経症状、心臓の期外収縮などが挙げられます。

コーヒーなどの飲料に含まれるカフェインは中枢神経系や消化管を刺激する作用があり、カフェイン錠剤やエナジードリンクなどによる多量の摂取では死亡例もあるため、注意が必要な成分です。

日本国内においてカフェイン摂取量の明確な上限値は設定されていませんが、国外では健康な成人は1日あたりカフェイン400㎎以内、コーヒーに換算するとマグカップ3杯までがひとつの目安となるようです。

一方でカフェインの作用の受け方には個人差が大きいことが知られており、体質的にカフェインの作用を受けやすい人や、妊娠中・授乳中の人、子どもではさらに上限値は少なくなります。

コーヒーを飲みすぎて体調不良に陥らないように、自分の体質や状態に合わせ、自分なりの上限を知っておくのが大事なポイントです。
また、コーヒーを飲むときやその前後で水分補給を心掛けたり、適宜カフェインレスコーヒーを取り入れたりするのもオススメです。

自分の体質や体調とうまく付き合いながら、コーヒーをおいしく味わいたいですね。

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参考文献

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「コーヒー、カフェイン、エナジードリンクについて」

内閣府食品安全委員会:「食品中のカフェインに関するファクトシート」

厚生労働省:「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」

農林水産省:「カフェインの過剰摂取について」

大学病院医療情報ネットワークセンター:「中毒情報 食品 コーヒー、紅茶」

名城大学薬学部:「カフェイン,無水カフェイン,安息香酸ナトリウムカフェイン(安ナカ)」

文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。