塩分のとりすぎが肥満につながる?生活習慣病予防や減塩のコツ

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減塩と健康の関係

塩分のとりすぎは高血圧や肥満、生活習慣病につながりかねません。
若いうちから気を付けたい「塩分」について、塩分の排出を助ける食材について解説します。

塩分って塩のこと?そもそもなんで塩分は控えめがいいの?

塩分=ナトリウム

私たちが日ごろ口にしている「塩」は「塩化ナトリウム」を指します。
(ただしどんな塩も塩化ナトリウム100%からなるわけではなく、原料となる海水や岩塩に混じっている、塩化ナトリウム以外の成分も含まれていることが多いです)

塩化ナトリウムとは塩素分子とナトリウム分子が結合したものですが、健康に関連して問題となるのは「塩素」ではなく「ナトリウム」のほうです。

加工食品などの栄養成分表示では「ナトリウム」と「食塩相当量」で表記されることが多いですが、基本的には「食塩相当量」で考えるのが分かりやすく、おすすめです。

ナトリウム(塩分)は取りすぎているの?

ナトリウムは人が生きていくうえで一定量を摂取しなければいけない「必須栄養素」のひとつです。

しかし、現代の日本では体に必要な量を超え、「とりすぎている」人がほとんどです。

ナトリウムの必要量は食塩相当量で1.5g程度である一方、日本人の摂取状況は男性で14g、女性は11g*)ともいわれています。
*)Keiko Asakura, Ken Uechi, Yuki Sasaki, Shizuko Masayasu and Satoshi Sasaki. Estimation of sodium and potassium intakes assessed by two 24 h urine collections in healthy Japanese adults: a nationwide study British Journal of Nutrition Volume 112, Issue 7 14 October 2014 , pp. 1195-1205

WHOが推奨する食塩の摂取量は5g未満となっていることから考えると、日本人の食塩摂取量がいかに多いかがわかるのではないでしょうか。

塩分のとりすぎはどう悪いの?

ナトリウムのとりすぎは高血圧などのリスクを高めることが分かっています。
生涯にわたって健康に過ごすためにも、ナトリウムの摂取量を抑えることが勧められています。

高血圧…

血管内のナトリウムを薄めるために血液中の水分が増え、血管の内側の圧力が強くなることを「高血圧」といいます。

血圧が高い状態が続くと血管に負担がかかり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などが起こりやすくなります。
肥満につながることも考えられる

高血圧から連なる生活習慣病のリスクに加えて、塩分の高い食事がダイエットに影響を及ぼすことも考えられます。

一般に塩分濃度の高いおかずを「ごはんのおとも」と言い換えることがあります。
塩分の多いおかずはごはんがよく進んでしまうため、食べすぎやエネルギー(カロリー)オーバーにつながりやすいと考えることもできます。

ナトリウムや食塩自体にはエネルギー(カロリー)はありませんが、間接的にダイエットの邪魔をする存在ともいえそうです。

減塩は高血圧に関係しない、のウワサ

食塩と健康の関係

高血圧対策のために減塩をしましょう、ということがいわれる一方で、塩分を控えても意味がないとするウワサもあります。

どちらが正しいのでしょうか?

塩分が血圧に関係しない?

塩分摂取量と血圧は必ずしも比例するものではありません。

塩分摂取量以外の血圧をあげる要因としては、遺伝的体質・肥満・飲酒習慣などがあり、塩分摂取量がそう多くない人でも高血圧になることはあります。
(とはいえ、日本人のほとんどは塩分の過剰摂取をしています)

一方、塩辛いものが大好きな人でも必ず高血圧になる、というわけでもなく、こちらもやはり体質が大きくかかわっていると考えられます。

食塩の摂取量に伴って血圧が上がったり下がったりする人は全体の半分以下ともいわれ、それによって「減塩には意味がない」といわれるのではないでしょうか。
では、減塩はしても無駄なのでしょうか?

自分の体質は分からない

自分がどちらの体質であるかは、今のところは高血圧になり、減塩を実施して効果が有るか無いか確認するほかに知るすべがありません。

今現在血圧が高くなかったとしても、「自分は大丈夫」とは言い切れません。

食塩摂取量は高血圧のリスク要因のひとつに過ぎないとはいえ、過剰摂取であることはすでに分かっていることなので、予防の意味を込めて減塩を心がけるのが安心です。

みその塩分は大丈夫、って聞いたけど…

「減塩には意味がない」とは別に、「みその塩分は取っても大丈夫」といったウワサも耳にします。

調味料の種類にかかわらず、「塩味」のもととなるのは同じ「塩化ナトリウム」です。
どの食品に入っていても、体内に入れば同じ物質なので、血圧に与える影響は同じであると考えられます。

純粋な食塩(塩化ナトリウム)とみその違いは、塩化ナトリウム以外の様々な成分が混じっていることです。
その中に血圧を下げる方向にはたらく成分があるのではないか、と期待されています。

とはいえ、その成分についての研究は乏しく、はっきりとしたメカニズムや効果の程度は分かっていません。

どれだけの効果が有るのかわからない、というのが現状ですので、みそ由来の塩分も同じように「なるべく少なく抑えるほうがよい」と考えるのが妥当です。

減塩の後押しをしてくれる「カリウム」

カリウムを多く含む食材

カリウムはナトリウムとセットで働く

カリウムはナトリウムおなじ必須栄養素であるミネラルのひとつです。

ナトリウムとセットで細胞の浸透圧を調節するなどのはたらきのほか、ナトリウムの排出を促すはたらきにより、高血圧の予防や改善に役立ちます。

減塩とともにカリウムをしっかりとることで高血圧の予防や改善の効果がさらに大きくなることが期待できます。

日本人の食事摂取基準(2015年版)では、高血圧や生活習慣病の予防の観点から成人男性では1日あたり3000mg以上、成人女性では1日あたり2600mg以上の摂取が目標値として定められています。
国民健康・栄養調査では、摂取量が成人男女ともにこの目標値を300~400mgほど下回っており、特に若い世代での摂取量が低くなっています。

カリウム摂取源は野菜と果物がおすすめ

カリウムは野菜、きのこ、果物、肉類、乳製品など様々な食品に含まれていますが、やみくもに食べるのはエネルギー(カロリー)の摂取過剰などの心配もあります。

例に挙げた食品のなかでは、野菜やきのこ、果物は重さあたりのカロリーが低いため、比較的たくさん食べても肥満などにつながりにくい食材です。

カリウムはゆでたり水にさらしたりすると水に溶けだしやすいミネラルなので、可能であれば丸ごと食べられる調理法(サラダや下茹でのいらないもの)がベストです。

味付けに注意

いつもの食事に「野菜料理を増やす」と考えると、その味付けのためにさらに塩分をとることにつながりやすいです。

味付けなしの野菜をメインのおかずに添えて一緒に食べるなど、食塩の使用量は抑えつつ、カリウムの摂取量だけを増やしたいところ。

塩分を使わなくても食べられるという意味では、果物もカリウム摂取には大きな役割を果たしそうです。

減塩のコツ

減塩の役に立つスパイス

健康のためとはいっても、毎日の食事が味気なくなってしまっては続けていくのは難しいものです。

・新鮮でおいしい食材を使う
・ダシをきかせる
・シソやみょうが、しょうがやにんにく、ハーブ類など、香りのある食材を使う
・レモンや食酢など酸味のあるものを使う
・唐辛子やスパイス、カレー粉などの香辛料を使う
・味付けはしみこませるよりも、表面だけに使う
といった工夫で、塩分控えめでも味気なさを感じにくくすることができます。

ほかにも、
・減塩調味料に切り替える
・醤油はかけるのではなく、小皿にとって少量つけるようにする
・スプレー式の醤油さしを活用する
・醤油を足すかどうかは、ひとくち食べてから考える

といった細かな心がけでも塩分摂取量を減らすことができますよ。

塩分少なめ・野菜多めを目標に

塩分をいきなり半分にすることは難しいことです。

野菜を増やす、減塩調味料を買ってみる、など、できそうなことから徐々に減塩を進めていきましょう!

参考文献

Keiko Asakura, Ken Uechi, Yuki Sasaki, Shizuko Masayasu and Satoshi Sasaki. Estimation of sodium and potassium intakes assessed by two 24 h urine collections in healthy Japanese adults: a nationwide study British Journal of Nutrition Volume 112, Issue 7 14 October 2014 , pp. 1195-1205

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省:平成29年「国民健康・栄養調査」の結果