2019.04.21

スーパーフード、キヌアとアマランサスの栄養は何がいいの?

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キヌアの効果

キヌア・アマランサスは栄養価が高いとして注目される「スーパーフード」です。

様々な栄養素が豊富といわれていますが、これだけで食事バランスは完璧、というようなものではないようです。
今回はキヌアとアマランサスに含まれる栄養素を、取り入れるときの注意点も含めて紹介します。

スーパーフードとして注目されているキヌア・アマランサスとは?

スーパーフードとは

さまざまなメディアで注目されている「スーパーフード」ですが、そもそもどんな食べ物を指す言葉なのでしょうか?

スーパーフードの定義:
栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。
あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。
(一般社団法人日本スーパーフード協会のサイトより)

このように紹介されています。
数字や特定の栄養素についての具体的な定義はないため、スーパーフードとして紹介されていてもその食品がスーパーフードといわれる理由は個別に検証する必要があるとも考えられます。

キヌアやアマランサスは、日本スーパーフード協会では雑穀類のスーパーフードとして紹介されています。

キヌアとアマランサスは雑穀の一種

どちらも雑穀類に含まれる食品で、ヒユ科の植物の種子です。

キヌアは南米アンデス山地、アマランサスはメキシコやグァテマラが原産地で、現在も南米や中南米での栽培が盛んな作物です。
最近では輸入品のほかに、日本国内で栽培されたものも流通しています。

キヌアは直径2㎜前後、アマランサスは直径1~1.5㎜ほどの大きさで、薄い黄色の、扁平な粒の形状を持っています。

炊くか、炒って食べる

キヌアやアマランサスを同量~1.5倍ほどの水で炊いてごはんのように食べることができます。
その他、ゆでてサラダに加える、または炒ってゴマのように使うこともできます。

白米や玄米に、1/10~1/4程度のキヌアやアマランサスを加えて一緒に炊くこともできるようです。

プチプチ、もちもちした食感が特徴ですが、味にはさほど癖がなく、食べやすいのが魅力とも言えますね。

キヌアの栄養価

キヌア

キヌアの栄養成分表
キヌア 玄米
エネルギー 359kcal 353kcal
タンパク質 13.4g 6.8g
脂質 3.2g 2.7g
炭水化物 69.0g 74.3g
うち食物繊維 6.2g 3.0g
カルシウム 46㎎ 9㎎
鉄分 4.3㎎ 2.1㎎
*調理前100gあたり

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

キヌアのエネルギー(カロリー)は一般的な穀類と同レベル

「低カロリーでダイエットに」とも紹介されるキヌアですが、100gあたりのエネルギーは玄米をはじめとする一般的な穀類とさほど変わりはありません。

また、調理を経て5倍に膨張するともよく言われますが、調理手順上、ほぼ同量の水で炊き上げることが多いため、実際の重量変化率はお米などと同様に2倍前後と考えられます。

キヌアは玄米と比較して食物繊維、カルシウム、鉄分が豊富

穀類の中ではたんぱく質や食物繊維、カルシウム、鉄分の量が多いとして注目されています。
これは、キヌアはお米に比べて粒が小さく、外皮の割合が多いためと考えられます。

玄米などと比べるとタンパク質やカルシウム、鉄などの栄養価が高いので、白米や玄米に代えて、または一部にキヌアを活用することで食事の栄養価を高めることができるといえます。

しかし、栄養価の高いキヌアといえど、その効果は限定的なものといえます。
なぜなのか、次に詳しく解説します。

タンパク質の主要な摂取源にはならない

タンパク質に関しては含有量・アミノ酸スコアともに穀類の中では高いレベルにありますが、卵や肉などの食品と比較すると効率的な摂取源とは言いにくいです。
20代女性のタンパク質摂取量の推奨量は50gですが、炊いたキヌア100gでも、摂取できるのは6.7g=1日推奨量の13%程度にとどまります。

また、アミノ酸スコアも85と玄米などと比較すると高いものの、キヌア単体では特定のアミノ酸が不足しがちになることが予想されます。

一方、肉や卵、大豆のアミノ酸スコアは100。含有量はゆでたキヌアを上回ります。
含有量やアミノ酸スコアを鑑みても、キヌアがたんぱく質を豊富に含むからといって、肉や卵などの食品の代わりにはなりにくいと考えられます。

カルシウムは玄米の5倍、干しエビの150分の1

玄米の5倍のカルシウムを含みますが、食品全体で見ると多いほうとは言えません。

食品の中でもカルシウム含有量が高いものといえば干しエビ(100gあたり7100㎎)。
キヌアの150倍以上のカルシウムをもち、9gで20代女性の1日の推奨量をクリアできます。(とはいえ、9gの干しエビは意外と多いのも事実です)

牛乳も100mlでゆでキヌア480g分のカルシウムをとることができるので、取り入れやすいものを選ぶのがいいのではと思います。

鉄分は吸収しにくい非ヘム鉄

玄米の2倍の鉄分を含みます。
しかし、穀類はもともと鉄分を多く含む食品ではないため、1日の必要量をとるためには、ゆでキヌアとしておよそ500gも食べる必要があります。

また、植物性食品に含まれる鉄分は「非ヘム鉄」という状態で存在し、ヒトの体に吸収されにくいのが弱点です。

比較的吸収されやすい「ヘム鉄」は肉や魚に含まれ、とくに赤身の牛肉などに豊富に含まれます。
女性は鉄分不足になりやすく、意識してとりたい栄養素の一つですが、キヌアだけで補うのはあまり効率的とは言えません。

食物繊維の安定した摂取源に有効

穀類は食物繊維の摂取源としての役割も持っています。

キヌアは穀類の中でも食物繊維が多いので、米:キヌアを4:1で炊くのが習慣化できれば、毎日の食物繊維の「ちょい足し」に効果的といえます。
(300gのキヌア入りご飯で1~2gの食物繊維をプラスできます)

注意点

洗浄していないキヌアの表面にはサポニンと呼ばれる成分が多く含まれており、えぐみや渋みの原因となります。
また、サポニンは取りすぎると溶血作用があるといわれているため、水洗い不要と表示されている場合を除いて、お米を研ぐように3回程度洗ってから調理することをおすすめします。

アマランサスの栄養価

アマランサス

アマランサスの栄養成分表
アマランサス 玄米
エネルギー 358kcal 353kcal
タンパク質 12.7g 6.8g
脂質 6.0g 2.7g
炭水化物 64.9g 74.3g
うち食物繊維 7.4g 3.0g
カルシウム 160g 9㎎
鉄分 9.4g 2.1㎎
*調理前100gあたり

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

エネルギー(カロリー)はキヌアと同じくらい、ゴマの代わりに使うなら低カロリー

エネルギー(カロリー)はキヌアや玄米とも大差なく、一般的な穀類と同等といえますね。
乾煎りしてゴマのように食べる場合のエネルギーはいりごまの6割程度に抑えられます。

お米と炊く場合はお米と同様の2倍程度の重量変化率と考えられますので、炊いた場合のエネルギーもお米とほぼ変わらないといえるでしょう。

アマランサスは栄養価が高いものの、1回使用量が少ないのがネック

栄養素はキヌアよりもさらに高いですが、1回の使用量が3~10gと少ないのがネックです。
そのため、キヌアと同様に、アマランサス単体でヒトが1日に必要な栄養素を摂取するには不十分です。

もちろん、取り入れることで栄養素的に損をするということはありませんので、キヌア同様「栄養素のちょい足し」を目的に取り入れるのがいいのではないでしょうか。

注意点

非加熱の状態では消化が悪いとされ、胃腸に負担をかける恐れがあるため、必ず炒って使うようにしましょう。

スーパーフードに頼るだけでなくほかの食事も見直してみよう

キヌアといろいろな食材

スーパーフードとして、その高い栄養価が注目されるキヌア、アマランサスですが、ひとつの食材だけで毎日の必要な栄養素を摂取するのは難しいといえます。

穀類の中では栄養価が高い。でも…

キヌアやアマランサスは確かに栄養価が高い食材といえます。
しかし、それはあくまで「穀類というグループの中で」の話であって、私たちが食べる食材は穀物だけではありません。

炭水化物や食物繊維の吸収源として優れた穀類ですが、タンパク質なら肉類、カルシウムなら乳製品や小魚、鉄分なら赤身肉など、栄養素の種類によってはより優れたものが簡単に手に入ります。

○○の●倍の栄養素を含みます!といっても、すべての食品と比べたときに、最も優れたものとは限らないのです。

スプーン1杯でも加えれば健康になれる?

また、「スーパーフード」とはいえ、少量を食べるだけで足りない栄養素をすべて補えることや、体に良い効果が起こることはほぼありません。
いくら体にいい成分があっても、その成分が効果を発揮する量に達していなければあまり意味はないためです。

反対に、多ければ多いほどいいとも言えません。
サプリメントなど、特定の食品成分や栄養素が濃縮された食品では、適量なら体にいいものも過剰摂取により体に悪影響を及ぼす例も多くあげられます。

スーパーフード「さえあれば」ということはない

「体にいい」といわれるものすべてに言えることではありますが、これさえあれば、というものは存在しません。

毎日の健康を支えているのは、スーパーフードではなく、大部分の見慣れた食品たちです。
野菜をはじめ、肉や魚、乳製品、果物、穀類など、バランスよくとれているでしょうか?
または、食べる量が多すぎたり少なすぎたりといったことはないでしょうか?
もっと広くみれば、健康や美容を保つには、休養や運動も重要です。

いくら栄養価が高いからといって、ひとつの食材にこだわるよりも、様々な食品を適量ずつ取り入れることにはかなわないのです。

何かひとつの食材に頼りすぎないよう、広い視野で食事を整えていきたいですね。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」

一般社団法人 日本スーパーフード協会:「スーパーフードとは」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(キヌアについて)

坂本 信一郎.アンデス高地における農産物の商品化―ボリビアのキヌア生産― 熱帯農業47(5):348-354,2003