
地中海食の中核、ワインとともに健康的な食材として注目されている「オリーブオイル」。
具体的にはどのようなはたらきがあるのでしょうか?
オリーブオイルの健康効果と、より効果的な取り入れ方を解説します。
Contents
栄養素やカロリー
まずはカロリーや栄養価について、ほかの「あぶら」とどう違うのか見てみましょう。
栄養成分値
オリーブオイル | サラダ油(調合油) | バター | |
エネルギー | 921kcal | 921kcal | 763kcal |
炭水化物 | 0g | 0g | 0.2g |
タンパク質 | 0g | 0g | 0.5g |
脂質 | 100g | 100g | 83.0g |
飽和脂肪酸 | 13.29g | 10.97g | 52.43g |
一価不飽和脂肪酸 | 74.04g | 41.10g | 18.52g |
多価不飽和脂肪酸 | 7.24g | 40.94g | 2.05g |
コレステロール | 0㎎ | 2㎎ | 220㎎ |
ビタミンE | 7.4㎎ | 12.8㎎ | 1.4㎎ |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
油脂類のカロリーはほとんど一緒
オリーブオイルだけでなく、サラダ油、菜種油、ごま油、ラード(豚脂)など、いわゆる「あぶら」の構成成分はほとんどが脂質100%。(バターは牛乳由来のたんぱく質や水分が含まれるため異なります)
そのためカロリーの差はほとんどなく、1gあたり9kcalほどとなっています。
単純に同じ量を使うのであれば、オリーブオイルでも、いつものサラダ油でも変わらないので、摂取量に注意が必要なのはどの油も同じといえそうです。
ビタミンEがやや多め
きわめて多いとまでは言えませんが、オリーブオイルはビタミンEを豊富に含むのも特徴です。
ビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、脂質を酸化から守り、細胞の老化を防ぐ機能があるので、不足しないようにしたい栄養素です。
一価不飽和脂肪酸が多いのが特徴
油脂類の中で比較すると、どれもカロリーはほとんど同じですが、種類によって大きく異なるのが「脂肪酸組成」です。
補足:脂肪酸とは… 油脂類の主成分は中性脂肪(トリグリセリド)というもので、グリセリンと脂肪酸の組み合わせによって成り立っています。
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上の表では、
オリーブオイル…一価不飽和脂肪酸が極めて多い サラダ油…一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸が多い バター…飽和脂肪酸が多い |
といった違いが読み取れます。
オリーブオイルは生活習慣病につながりにくい油
脂肪酸組成の違いが血中コレステロールに与える影響
オリーブオイルに含まれる脂肪酸の大部分は「一価不飽和脂肪酸」です。
一価不飽和脂肪酸は、
・多価不飽和脂肪酸に比べると酸化によるダメージをうけにくい ・飽和脂肪酸に比べると血中コレステロール値を悪化させない*) *)血中LDL-C(悪玉)は増加させず、血中HDL-C(善玉)は減少させない |
という性質があります。
補足:血中コレステロールと生活習慣病 血中LDL-Cは140㎎/dl以上、HDL-Cは40㎎/dl未満で脂質異常症となります。 |
飽和脂肪酸を減らして不飽和脂肪酸を増やすことで生活習慣病予防に
血中LDL-CやHDL-Cを適正な範囲にとどめるためには、飽和脂肪酸に対して不飽和脂肪酸の割合を多くするのがよいとされています。
オリーブオイルは油脂類の中でも一価不飽和脂肪酸の多い油のひとつで、飽和脂肪酸を多く含む肉類や乳製品に含まれる油脂に比べて、「生活習慣病などにつながりにくい油」といえます。
オリーブオイルの活用ポイント
動物性油脂と替えて使うのが◎
飽和脂肪酸の多い油脂は「肉類」「乳製品」に伴う油脂。
牛・豚・鶏の脂身、バター、生クリーム、牛乳などに含まれる油脂です。
これらの油脂をオリーブオイルに変えられると健康的といえそうですね。
具体的には、
・パンに塗るバターをオリーブオイルにする ・お肉は脂身少なめの部位を使い、調理油としてオリーブオイルを使う |
といった方法があります。
植物油はあまり気にせず
いっぽう、炒め物や揚げ物に使うサラダ油などをオリーブオイルに変えるのはあまり良い使い方とは言えないようです。
同じ植物油同士で比較すると、いずれも飽和脂肪酸の割合は低く、大きな差はありません。
そのため、いつも使っているサラダ油やキャノーラ油をオリーブオイルに使いかえる意味は大きくなさそうです。
まとめ:使いどころを見極めて使うのが◎
オリーブオイルは肉や乳製品の脂と比較すると健康的な油のひとつですが、植物油とは大きな差はなく、「健康になれる魔法の油」というわけではないようです。
よって、健康的に使うためには使うポイントが重要。
バターや肉の脂と置き換えるイメージで使うのがポイントです。
また、オリーブオイルもとりすぎれば摂取エネルギーの過剰につながるので、使う量には注意してくださいね。
参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 |