
にんにくといえば「スタミナ食材」の代表格。
独特の香りは食欲をそそりますよね。
にんにくを食べるとスタミナがつく、といわれるのには、味だけではなくその成分も関係していました。
にんにくの「スタミナ効果」について、解説します。
Contents
にんにくがスタミナ食材といわれているのは…
「アリシン」とそのはたらき…糖質をエネルギーに変えるビタミンを助ける
「スタミナのつく食べ物」=「エネルギー源となる食べ物」でしょうか。
実は、にんにくそのものにはエネルギー源となる栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)はさほど多く含まれていません。
そのいっぽうで、「アリシン」という、にんにく特有の香り成分であり、ビタミンB1のはたらきを助ける成分が含まれているのが特徴です。
にんにくにはもともと「アリイン」と「アリイナーゼ」という物質が含まれています。
生のにんにくをつぶしたり、切ったり、すり下ろしたりすることで細胞が壊れます。
壊れた細胞からアリインとアリイナーゼが出て接触すると、アリイナーゼがアリインをアリシンに変換します。
アリイナーゼによってつくられたアリシンはにんにく特有のにおいを出す物質ですが、「ビタミンB1の吸収をよくする」という働きもあります。
ビタミンB1は主に炭水化物(糖質)をエネルギーとして利用するのに必要な栄養素です。
にんにくに含まれるアリシンはビタミンB1と結合して「アリチアミン」という物質になり、体内に吸収されやすくなるという特徴があります。
直接的ではありませんが、にんにくは「エネルギー源を活用しやすくする」というはたらきによって、エネルギーに満ちた体づくりに役立つ食材といえそうです。
ビタミンB1と炭水化物を豊富に含む食品といえば…
炭水化物およびビタミンB1は現代の食生活では不足しやすいものではありませんが、にんにくの作用を期待するのであれば同じ食事から摂取するのがおすすめです。
ビタミンB1は赤身の豚肉に比較的多く含まれ、
糖質はごはんやパン、麺類が主な摂取源になります。
スタミナをつけたい!と考えている方は、にんにくに合わせてこのような食材を組み合わせてみてくださいね。
具体的には、にんにく入りのたれで甘辛く味付けした豚肉をごはんに乗せた豚丼、なんていかがでしょうか?
にんにくの香りもスタミナのもと?
にんにくの独特の香りによって食欲が増すという人も多いはず。
少々単純すぎる話ではありますが、食欲をそそる香りによって食事が進み、食事からのエネルギー補給に効果的ともいえるかもしれません。
たくさん食べて体力をつけたい人には、にんにくを食欲増進のためのスパイスとして使うのもおすすめです。
にんにくの作用を生かす調理のコツ
ビタミンB1とアリシンが作用できるような調理法で
にんにくのスタミナ効果は吸収のよい「アリチアミン」ができることによるものです。
アリチアミンをつくるという意味では、
・アリシンを多く作る ・豚肉などに含まれるビタミンB1がより多くアリシンに触れる |
ということが重要です。
アリシンを多く作るためには、細胞内のアリインとアリイナーゼがより多く接するよう、細かく切ったりすり下ろしたりするとよいでしょう。
同様に、アリシンとビタミンB1がより多く接することでアリチアミンができるので、豚肉も塊ではなく細かく切ったもののほうがより表面積が増えるといえます。
これらのことから、アリチアミンをより多くとるためには、(理論上ではありますが)すりおろしのにんにくと豚ひき肉をよく混ぜる「餃子」などが最適と考えることができるのではないでしょうか?
餃子の皮で炭水化物もとれるので「スタミナ食」の代表ともいえそうですね!
にんにくのにおい=スタミナ?
にんにくのにおいはアリシンによるもので、アリシンになる前のアリインにはあの匂いはありません。
にんにくのにおいを極力少なくしたい、という場合に、細胞を傷つけないよう丸ごと加熱する方法があります。
これはアリイナーゼを失活させることでアリシンの生成を抑え、においを和らげる方法です。
においは抑えられますが、アリチアミンの生成も生のものよりは進まないと考えられるので、におい控えめのにんにく料理はスタミナ効果も控えめかもしれませんね。
まとめ: 適量を適度に、おいしく食べよう
生にんにくの多量摂取に注意
生のにんにくには殺菌作用があることでも知られていますが、細胞を壊すはたらきがあることが分かっています。
皮膚や粘膜に長い時間接触させたり、多量に食べたりすることによって皮膚炎や胃腸障害を起こしたという報告も多数あります。
生のにんにくをまるかじりする人はあまりいないと思われますが、ラーメンのトッピングにもなっているすりおろしにんにくなどは大量に食べることが比較的容易なため、気を付けましょう。
魔法の回復アイテムではないことに注意
にんにくはスタミナ食材の代表格ですが、食べれば食べるほど元気になるというものではありません。
また、疲労がたまった時には十分な休養も必要です。
ぜひ、「適度に」にんにくを取り入れて、エネルギーに満ちた毎日を送りたいですね。
参考文献 |