投稿日: 2020.03.12 | 最終更新日: 2021.09.24

牛肉はたんぱく質源として優秀な食材?|管理栄養士執筆

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牛肉のステーキ

牛肉を含めた肉類、たまご、乳製品、大豆製品はたんぱく質を多く含む食品として知られている
その中でも牛肉はたんぱく質の摂取源としてどうなのでしょうか?
たんぱく質の摂取効率やカロリーのほか、部位ごとの特徴と簡単レシピを紹介します。

牛肉に含まれるたんぱく質はどのくらい?

牛肉は、部位や飼育法によっても差はありますが、全体として100gあたり10-20gほどのたんぱく質が含まれている食品です。

また、牛肉に含まれるたんぱく質のアミノ酸スコアは100で、ヒトの体に必要なアミノ酸をしっかりとることができる食品です。

補足:アミノ酸スコアとは
たんぱく質を構成する20種のアミノ酸のうち、9種類の必須アミノ酸は食事からとる必要がある。
アミノ酸スコアは必須アミノ酸をどのくらいバランスよく含むか示した数値。
肉類、魚類、たまご、牛乳、大豆のアミノ酸スコアは100、
米や小麦といった穀類にもたんぱく質は含まれているものの、アミノ酸スコアは65程度と低め。
ほかの肉類と比較して…
鶏肉・皮付きもも 豚肉・肩ロース  牛肉・肩ロース
(乳用肥育牛)
エネルギー  204kcal 253kcal 318kcal
たんぱく質 16.6g 17.1g 16.2g
脂質 14.2g 19.2g 26.4g
炭水化物 0g 0.1g 0.2g
*100gあたり・生の状態
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成

それぞれスーパーなどで手に入りやすい部位で比較すると、100gあたりのたんぱく質含有量はさほど大きな差はないようです。
たんぱく源としてお肉を取り入れたいという時は、鶏肉・豚肉・牛肉のどれを選んでもたんぱく質をとることができます。

牛肉は太る?

牛肉は高カロリーなイメージがありますが、実際には部位によっての差が大きく、一概に高カロリーとは言えません。
サシのしっかり入った和牛肉に関しては脂質が多くエネルギーが高くなりがちですが、脂身の少ない赤身肉を選べば、同じ重さでもカロリーは半分ほどに抑えることができます。

国産牛もも209kcal/100g

国産牛リブロース409kcal/100g

和牛リブロース573kcal/100g

脂身が多いほど赤身の部分が少なくなり、たんぱく質含有量は少なくなるので、たんぱく質の摂取源として選ぶ場合は、赤身が多い部位が効率的です。

利点を生かした使い方とレシピ紹介

赤身を選べば低カロリー高たんぱく

同じ名前のつく部位であっても、脂肪分が少なく赤身の多いほうが、よりたんぱく質が多いといえます。
よって、たんぱく質をできるだけたくさんとりたい!という場合には、品種や、部位にかかわらず、そのお肉の赤身と脂身のバランスを確認して選ぶのがよいでしょう。

また、赤身肉はサシがあまり入っていない分、硬い食感になりがちな特徴もあります。
赤身肉はしっかり煮込んで柔らかくする、薄切り肉を使うなどの工夫で食べやすくできます。

【レシピ紹介】赤身牛肉でかんたんヘルシーすき焼き

牛肉すき焼き

【材料】2人分

牛モモ
(すき焼き用薄切り)
150g
サラダ油 小さじ1(4g)
木綿豆腐 小1パック(150g)
長ネギ 1/2本(50g)
まいたけ 1パック(100g)
醤油 大さじ3(45g)
みりん 大さじ3(45g)
砂糖 大さじ1.5(18g)
大さじ2(10g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. 木綿豆腐は5㎝角に、長ネギは斜め切りに、マイタケは小分けにする。
2. 鍋かフライパンにサラダ油をしき、牛肉を焼く。
3. 牛肉の色が変わったら長ネギ、マイタケ、調味料を加える。
4. 全体が沸いたら木綿豆腐を入れ、ネギに火が通って全体に味がなじむまで煮る。
5. 煮えたら火からおろしてできあがり。

【栄養価】
1人分360kcal 

硬い食感になりやすい赤身肉も、ごく薄いものを使えば時間をかけなくても柔らかく食べられます。
お豆腐やお好みの野菜と組み合わせてすき焼き風のおかずをつくれます。
すき焼きのたれは市販のものでも大丈夫です。
お好みで生卵や温泉卵を絡めながら食べてもおいしいです。(卵1個が加わると+80kcalになります)

牛肉は鉄分も一緒に取れるのが魅力

牛肉の赤身にはたんぱく質のほか、鉄分やビタミンも豊富に含まれています。

牛肉は、実は鉄分が不足しがちな女性におすすめの食材でもあるのです。

牛肉に含まれる栄養素について詳しく解説した記事はこちら

→牛肉は貧血予防にうれしい栄養素が豊富!

【レシピ紹介】貧血対策!牛ももと野菜のしゃぶしゃぶ風温サラダ

牛肉の温しゃぶサラダ

【材料】2人分

牛モモ
(しゃぶしゃぶ用薄切り)
200g
豆苗 1パック(85g)
白菜 3枚(150g)
ポン酢 大さじ2(30g)
ごま油  小さじ2(8g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. 豆苗は根元を切って1/3の長さに切る。白菜は食べやすい大きさに切る。
2. 鍋にお湯を沸かし、沸騰したら牛もも肉を1枚ずつさっとゆでる。ゆであがったらお皿に引き上げておく。
3. 耐熱の皿に白菜、豆苗をのせ、ふんわりラップをかけて電子レンジ600W3~5分加熱する。
4. 火の通った野菜にゆでた牛肉を乗せ、ポン酢とごま油をかける。

【栄養価】
1人分243kcal 鉄分1.9mg 亜鉛5.0mg ビタミンC33mg

さっとゆでることで脂が落ちるため低カロリーながら、鉄分とビタミンCが豊富な組み合わせです。
鉄分は成人女性(月経あり)の推奨量の20%、亜鉛は成人女性の推奨量の60%、ビタミンCは成人女性の30%を補えます。

注意点…適度な糖質・脂質・ビタミン等の摂取も心がけよう

牛肉はたんぱく質源としては優れた食品ですが、「牛肉だけ」で栄養バランスが取れる食品ではなく、炭水化物や食物繊維、ビタミンCなどの栄養素をとることができません。

また、肉類中心の食事ばかりになると、摂取栄養素がたんぱく質や脂質に偏ることで生活習慣病のリスクが上がることも心配されています。

たんぱく質をたくさん取りたい、といって牛肉だけでおなかいっぱいにするのではなく、炭水化物を豊富に含むご飯やパン、食物繊維やビタミンCを豊富に含む野菜類などと組み合わせると、バランスのとれた食事内容にできます。

まとめ:バリエーション豊かな食材の一部として取り入れましょう

たんぱく質を豊富に含む食品としては、牛肉以外にも鶏肉、豚肉、魚介類、たまご、乳製品、大豆製品など、たくさんの選択肢があります。

それぞれに栄養的な魅力があり、どれが最善、ということはありません。
むしろ、どれかひとつにこだわることなく、いろいろな食品を幅広く食べるのが健康的な食事のコツです。

参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省e-ヘルスネット:「良質たんぱく質」