2019.04.21

「飲む点滴」甘酒の栄養素は美容にも効果ある?

  • Facebook
  • Twitter
  • はてなブックマーク
甘酒の効果

近年、「飲む点滴」として人気の甘酒。

消化に良く吸収しやすいエネルギー源として優れた食品のひとつです。
米麹に含まれるさまざまな美容効果や健康効果が評判になっていますが、具体的にはどのような効果があるのでしょうか?
活用レシピを交えつつ、紹介します。

甘酒には2種類ある

子どものころに初詣などで甘酒を飲んで苦手意識があった方もいるかと思います。
甘酒、と言っても実は別物の2種類のものがあるのをご存知でしょうか?

ひとつめは、酒粕から作られるもの。もう一つは、米と米麹から作られるものです。

酒粕からつくる甘酒…酒粕甘酒

酒粕から作る甘酒

日本酒を作った時の搾りかすである酒粕と砂糖を混ぜたものを酒粕甘酒と呼びます。
アルコールが1%以下に抑えられているので分類としてはソフトドリンクですが、酒粕に残った日本酒やアルコールの香りがします。
少量ではありますがアルコールが含まれていますので、お子さまやお酒が苦手な人にとっては避けたほうがいいと言えるでしょう。

米麹から作る甘酒…米麹甘酒、麹甘酒

米麹から作る甘酒

お米をおかゆ状に炊き、米麹を加えて60℃以下で数時間保温することで作られたものを米麹甘酒と言います。
飲む点滴として栄養効果が注目されているのはこちらの米麹甘酒です。
米のでんぷんを米麹が分解・糖化して甘味のあるブドウ糖・オリゴ糖にするため、砂糖などの甘味料を加えていなくても甘くなります。

コウジカビ以外の酵母によって、ごくわずかなアルコールが含まれている場合もありますが、ごく微量のため風味も感じられないほど。
お子さまやお酒の苦手な人も安心して飲める甘酒です。

製造元によって味もさまざま

製品によってはこれら2種類の甘酒をブレンドした商品もあり、製造元によって風味や食感も違うので、お好みのものを探すのも楽しいですね。
今回は、米麹甘酒の効果に絞って解説していきます。

米麹甘酒の栄養素とはたらき

米麹甘酒にはどのような栄養的特徴があるのでしょうか?
いくつかの項目に分けて説明します。

基本的な栄養データ

まずは、米麹甘酒の栄養価を見ていきましょう。
甘酒はおかゆを米麹で糖化させた後にお湯などで割って飲むため、加える水分量などにより栄養価が異なります。
厚生労働省が発表している日本食品標準成分表のデータと、大手メーカーで市販されているそのまま飲める製品の100gあたりの栄養価をまとめたものがこちらの表です。

市販品A 市販品B 市販品C 成分表・甘酒 成分表・全粥
エネルギー 61.6 kcal 69 kcal 74.4 kcal 81 kcal 71 kcal
糖質 14.24g 16.5g 16.88g 18.3g 15.7g
脂質 0g 0g 0.24 g 0.1 g 0.1 g
タンパク質 1.2 g 0.7 g 1.28 g 1.7 g 1.1 g
ナトリウム 63.0㎎ 47.2㎎ 74.4㎎ 60㎎ 微量
食塩相当量 0.16g 0.12g 0.16g 0.15g 0g
アルコール

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

主成分は糖質

ばらつきはありますが、おおむね100gあたり70kcal程度です。
約80%が水分で、主成分は糖質です。

エネルギー(カロリー)はおかゆと同じくらい

おかゆと甘酒のカロリー

一般的なジュース類やミルクティーが100gあたり40kcal前後ですので、甘酒は倍近いエネルギー(カロリー)を持っています。
米を5倍の水で炊いた全粥とほぼ同じ成分で、エネルギー(カロリー)も近い値になっています。
全粥は甘酒を米麹で糖化させる前の状態に近いと考えられるので、おかゆを飲むくらいのエネルギー(カロリー)があると思ったほうがいいですね。

美容や健康に良いとはいえ、あまり飲みすぎればカロリーオーバーにつながりますので注意しましょう。

甘みはコウジの働きによるもの

甘酒の甘味は、米麹に含まれる「ニホンコウジカビ」という微生物の消化作用によるものです。
ニホンコウジカビは甘酒を作る際に米に含まれる鎖状の糖質(でんぷん)をバラバラに分解する性質があります。
バラバラになった糖質は甘味のあるブドウ糖やオリゴ糖などとなるため、甘く感じるようになるのです。

消化吸収に優れている「飲む点滴」

人間がご飯を食べたときにも、体内で糖質の鎖をバラバラにしてから(消化)、体の中に取り込みます(吸収)。
甘酒はコウジカビがあらかじめ糖質を分解していてくれるため、同じ量のでんぷんをとるよりも、体内で消化する負担が減るのが特徴です。

そのため、胃腸が弱っているときや、素早くエネルギー補給をしたいときに便利な食品と言えるでしょう。
飲む点滴と言われる理由はここにあります。

実際に、江戸時代にはその消化吸収の良さからか、疲労回復と栄養補給にすぐれた食品として夏バテ防止のために親しまれていたそうです。

腸内環境改善に役立つ成分

コウジカビによってでんぷんから生成されたオリゴ糖には、腸内環境を整えてくれる効果も期待できます。
オリゴ糖は腸内の善玉菌の栄養源となり、腸内環境のバランスを整えてくれると言われています。

美容効果が期待されている成分がある

甘酒に含まれるさまざまな成分の機能性により、美容効果が期待されています。

コウジ酸やデフェリフェリクリシンという成分はメラニンの生成を抑えるはたらき、
原料である米麹に含まれるグリコシルセラミドやN-アセチルグルコサミンといった成分は、皮膚の水分量を高め、皮膚からの水分の蒸発を防いで潤いのある肌を保つはたらきが期待されています。

現時点では人を対象にした研究は少ないものの、将来的には甘酒が美容に活用される日が来るかもしれませんね。

米麹甘酒の活用法

あたたかい飲み物を飲む女性

さまざまなはたらきがうれしい甘酒の活用法・アレンジ法を紹介します。

エネルギーチャージに

上に述べた通り、江戸時代には栄養ドリンクのように飲まれていた甘酒。
風邪や夏バテなどの体調不良の時の栄養補給のほかにも、朝食を食べる時間のないときなど、手軽に栄養補給できますね。
バナナなどを一緒に食べても、腹持ちがよくなっておすすめです。

おなかの調子を整えたいときに

甘酒のオリゴ糖が腸内の善玉菌の働きを助けてくれますが、その働きはどちらかというと補助的なもの。
便秘などを改善したいときには、乳酸菌を含むヨーグルトなどと一緒に食べるのがおすすめです。

甘酒はおなかの調子が悪いときでも消化しやすく胃腸に負担をかけにくいのもうれしいポイントですね。

水分を保った肌のために

肌の水分保持機能が紹介された実験では、8週間の継続摂取で効果が出たとされていましたので、継続的に飲むことで美肌効果が期待できるかもしれません。

ただし、甘酒自体には肌のコラーゲンのもととなるタンパク質はあまり含まれていないので、たんぱく質を多く含む肉や魚・卵・乳製品・大豆製品などをしっかりとったうえで甘酒を組み合わせるといいですね。
また、コラーゲンの合成に必要なビタミンCを多く含む野菜や果物も加えることで、美肌作りの後押しになります。

米麹甘酒を使ったレシピ

甘酒を飲みやすく!甘酒ココア

甘酒ココア

【材料】1人分

甘酒(ストレートタイプ) 200ml
ココアパウダー 小さじ1(2g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. 甘酒を電子レンジの飲み物モードで約60℃に温める。
2. 小鉢にココアパウダーを入れ、温かい甘酒を少量加えてよく混ぜて溶かす。
3. ココア液を甘酒に戻し、よく混ぜる。

【栄養価】1人分 約150kcal

甘酒は米麹を使った発酵食品のため、独特の風味が苦手な人も。
そんなときはココアや生姜などを使って風味を加えると飲みやすくなります。
砂糖がなくても甘酒のやさしい甘みを感じられます。

腸内環境改善!甘酒ヨーグルトアイス

甘酒ヨーグルトアイス

【材料】製氷皿1枚分

甘酒(ストレートタイプ) 80ml
ヨーグルト(無糖) 80ml
お好みの果物(缶詰が便利) 50g

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】
1. お好みの果物を1㎝角に刻む。
2. 甘酒、ヨーグルト、果物を混ぜ合わせ、製氷皿に流し入れる。
3. 冷凍庫に入れて冷やし固める。

【栄養価】製氷皿1枚分 約140kcal

ヨーグルトの乳酸菌は冷凍しても死滅しないので、アイスにしてもOKです。
なるべく癖の少ない甘酒を選ぶのがおすすめです。
シリコン製の製氷皿だと取り出しやすく、いろいろな形を楽しめそうですね。

注意点

さまざまな効果がうれしい甘酒ですが、飲みすぎは避けましょう。
カロリーオーバーになって太りやすくなるばかりか、糖質以外の栄養素はさほど多いとは言えないため、甘酒ばかり飲んでいると栄養バランスが崩れて体調不良のもとになります。

多くても1日コップ1杯(200ml)程度に抑え、いろいろな食品からバランスよく食べるのが一番です。

参考文献

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

入江元子、福田克治、秦洋二、市川寛、内藤裕二、吉川敏一.麹菌が産生する鉄キレート環状ペプチド(4) -デフェリフェリクリシンの抗炎症および抗酸化効果-、日本農芸化学会大会(2012)

大浦新、堤浩子、秦洋二.麹菌が産生する鉄キレート環状ペプチド(5)-培養細胞および皮膚モデルにおけるデフェリフェリクリシンの美白効果-、日本農芸化学会大会(2012)

植田愛美 他.健常成人女性における米糀甘酒摂取による皮膚バリア機能改善効果の検討 ー無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験ー「薬理と治療」2017年45巻11号P.1811-1820