
注目が集まる糖質制限ダイエット。
成功のためには、「糖質制限が自分に合った方法なのか?」確認することをおすすめします。
食事バランスのチェック方法と、改善のためのポイントを紹介します。
Contents
糖質制限が流行中…自分には合ってる?
糖質制限とは?
糖質制限ダイエットとは、ざっくり言えば「食事に含まれる糖質を減らすダイエット方法」です。
しかし、考え方は指導する人によっても幅があり、糖尿病の予防・改善を目的とするもの(健康目的)、体脂肪の減少を目的とするもの(ダイエット目的)、とりすぎを是正する程度の制限にとどめるもの、糖質摂取量を限りなく少なくするものなど、内容も様々です。
糖質制限が向いているのは、今まで糖質をとりすぎていた人
糖質制限によるダイエットが成功しやすいのは、「今までの食事で糖質を多くとっていた人」。
糖質制限によって摂取エネルギー過剰の原因(=糖質)を取り除くことができるので、効果的なダイエットといえそうです。
とはいえ、すべての人の摂取エネルギー過剰の原因が糖質とは限りません。
健康な人が行うダイエットに関しては、糖質量にかかわらず摂取エネルギーが同じであればダイエット効果は変わらないという報告*)もあります。
*)Low carbohydrate versus isoenergetic balanced diets for reducing weight and cardiovascular risk: a systematic review and meta-analysis. Naude CE, Schoonees A, Senekal M, Young T, Garner P, Volmink J.PLoS One. 2014 Jul 9;9(7):e100652.
糖質量と減量効果についての研究報告について詳しく解説した記事はこちら |
日常的な油の摂取量が多く、摂取エネルギー過剰の原因が脂質だった、という人には、糖質制限ではなく脂質の制限がより有効な方法になるでしょう。
自分は「糖質の取りすぎ」?
自分の食事の特徴を知るためには、管理栄養士などに直接相談する方法もありますが、簡易的には、厚生労働省と農林水産省が発表している「食事バランスガイド」に当てはめてみる方法があります。
食事バランスガイドに基づき、食事内容をチェックできるサイトを紹介します。
気になる人は、実際に食べた食事内容を思い出しながら、1日分を入力してみてくださいね。
(筆者(管理栄養士)は脂質が過剰気味でした…。)
脂質が過剰であると診断された場合は、糖質制限よりも脂質をカットするほうが向いているかも。
糖質も脂質も過剰、となった場合は、どちらもバランスよく減らすのがよさそうです。
「とりすぎ」ならば「適度」まで減らそう
糖質摂取が過剰であった場合でも、「摂取ゼロ」にする必要はありません。
摂りすぎた分を適正範囲(日本人の食事摂取基準2020年版では摂取エネルギー全体の50-65%)に戻すだけでも、摂取エネルギーが減ることで十分にダイエット効果が期待できます。
補足: 脳や神経組織などの原則ブドウ糖のみをエネルギー源とする組織へのエネルギー供給のためには、少なくとも1日あたりおよそ100g程度の糖質摂取が必要と考えられています。 炭水化物の摂取目標量(摂取エネルギー全体の50-65%)は、必要最低限の量と比較するとかなり多めですが、この数値は脂質の割合の増加による飽和脂肪酸の過剰摂取、たんぱく質の割合の増加による長期的な腎機能への影響の可能性を少なく抑えたうえで必要なエネルギー量を確保するためのものです。 長い目で見ると、必要最低限だけとればいい、といって、適正範囲からあまり大きく逸脱するのも望ましくないといえます。 |
糖質制限ダイエット、おすすめのやり方は?
糖質の望ましい摂取量は?
では、適正範囲を守ったうえで、ダイエット中にはどのくらいの糖質量に抑えるべきなのでしょうか?
糖質の望ましい摂取量は人それぞれの性別や年齢、体格によっても変わりますが、以下の表のように計算できました。
男性 | 女性 | |||
目標摂取エネルギー(例) | 糖質量 | 目標摂取エネルギー(例) | 糖質量 | |
18-29歳 | 2300kcal (消費E-350kcal) |
290-380g (50-65%E) |
1700kcal (消費E-300kcal) |
220-280g (50-65%E) |
30-49歳 | 2300kcal (消費E -400kcal) |
290-380g (50-65%E) |
1750kcal (消費E-300kcal) |
220-290g (50-65%E) |
*ダイエット中のため、身体活動レベルⅡの人が食事内容を身体活動レベルⅠの基準値にすることを想定。(厚生労働省から推奨されている数値ではありません) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
糖質摂取量、具体的にはどう減らす?
糖質はごはんやパンなどの主食だけではなく、植物性食品には広く含まれており、正確な摂取量を把握するのは簡単なことではありません。
糖質の摂取源として主なものはごはんやパン、麺類といった「主食」。
また、調味料として糖質である砂糖が多く使われている「菓子・嗜好飲料」を注意すればある程度の管理ができます。
■主食の管理
食事バランスガイドから、主食として取る量を計算すると
男性 | 女性 | |||
目標摂取エネルギー(例) | 主食の量 | 目標摂取エネルギー(例) | 主食の量 | |
18-29歳 | 2300kcal (消費E-350kcal) |
5-6つ (ごはん500-600g) |
1700kcal (消費E-300kcal) |
4-5つ (ごはん400-500g) |
30-49歳 | 2300kcal (消費E -400kcal) |
5-6つ (ごはん500-600g) |
1750kcal (消費E-300kcal) |
4-5つ (ごはん400-500g) |
*ダイエット中のため、身体活動レベルⅡの人が食事内容を身体活動レベルⅠの基準値にすることを想定。(厚生労働省から推奨されている数値ではありません) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
補足:食事バランスガイドで「主食1つ」とは、白ごはんで100gにあたります。 そのほかの主食の数え方は以下のようになります。(一例)
|
例えば、30-49歳の男性では、
・朝食:なし (主食以外の食事は省略、適正範囲であることが前提) |
といった食事では、朝食がなくてもオーバーすることに。
改善するなら…
・朝食:食パン1枚…1つ (主食以外の食事は省略、適正範囲であることが前提) |
このくらいがバランスのとれた食事になりそうです。
主食を減らした分は、不足しがちな野菜類や果物を取り入れられると理想的ですね。
■菓子・嗜好飲料の管理
主食と同じく糖質を多く含む「菓子類」は、1日あたり多くとも200kcalまで、ダイエット中においては100kcalまでに抑えられるといいでしょう。
間食を100kcalに収めるための目安量について詳しく解説した記事はこちら |
例えば、18-29歳の女性では、
・朝食:食パン1枚…1つ (主食以外の食事は省略、適正範囲であることが前提) |
という食事の場合、主食は適正範囲内でも、菓子・嗜好飲料で過剰にとっていることが分かります。
この食事を…
・朝食:食パン1枚…1つ (主食以外の食事は省略、適正範囲であることが前提) |
間食の量や内容を見直すことで、適正範囲に抑えることができました。
間食が物足りないときは、果物がおすすめ。
菓子・嗜好飲料には含まれませんが、甘味があって満足感があります。
結果としてエネルギー収支を整えることが大事
最近では何かと悪者にされがちな糖質ですが、ダイエットにおいては糖質そのものが悪いのではなく、「とりすぎている状態」が悪いのです。
糖質でも脂質でも、取りすぎているものを適正な範囲に戻すことが大事です。
自分の普段の食生活を客観的にみて、自分に合った方法を選びたいですね。
参考文献 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011. 株式会社 明治:食の栄養バランスチェック Low carbohydrate versus isoenergetic balanced diets for reducing weight and cardiovascular risk: a systematic review and meta-analysis. Naude CE, Schoonees A, Senekal M, Young T, Garner P, Volmink J.PLoS One. 2014 Jul 9;9(7):e100652. |