2021.11.01

「野菜は1日350g」はなぜ?メリットとコツを紹介|管理栄養士執筆

健康のために野菜はたっぷり食べるべき、野菜は1日350g!といわれますが、その理由を知っている人はあまり多くないのではないでしょうか?

1日に食べたい野菜の量350gの理由と、野菜の摂取量を増やすためのコツを紹介します。

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野菜

1日分の野菜、なぜ「350g」?

そもそも、1日分の野菜350gとはどこから出てきた数字なのでしょうか?

もともとは、国が提唱する国民の健康づくり運動「健康日本21」の中で、21世紀における健康づくりの一環として「野菜は1日350g、うち120gは緑黄色野菜の摂取を」という目標が建てられたことによるものでした。

野菜はカリウムやビタミンC、食物繊維の摂取源となる食材であり、これらの栄養素の適量の摂取が期待できる量…ということで、350gという数字が定められたようです。

栄養素の摂取以外にも、野菜の十分な摂取は体重コントロールや生活習慣病のリスク低減にも役立つことが知られています。

野菜と果物を全く食べない人と比較すると、野菜と果物の摂取量が多い人ほど調査期間中の死亡率が低下(400g以上で差なし)するという研究報告もあります。

350gの野菜、足りてる?どのくらい食べればいい?

1例ですが、350gの野菜はこのくらい。普段の食生活でとれているでしょうか?

野菜350gの目安

ちなみに、平成29年度の国民健康・栄養調査の結果では20歳以上の成人男女の平均は290g/日となっています。
個人レベルでの摂取量は人それぞれですが、平均を見ればけっこうとれているように思えます。

しかし、世代別に見ると、
男性(20~29歳):264g(目標値-86g)
男性(30~39歳):257g(目標値-93g)
女性(20~29歳):218g(目標値-132g)
女性(30~39歳):232g(目標値-118g)
という結果が報告されており、20~30代の比較的若い世代では摂取量が少ないことがわかります。

個人差はあるものの、この世代では平均して90~140g程度、不足傾向にあるようです。

野菜の摂取量を増やすには?

1日分の野菜350gに対して不足しているのは、20歳以上の平均では60g、20~30代の男女別では90~140gほどのようです。

野菜のおかずの場合、小鉢ひとつ分でおよそ野菜70gに相当すると考えられており、1日あたりの野菜のおかずを1~2品程度増やすイメージを持つとわかりやすいのではないでしょうか?

野菜のおかず

習慣的に野菜の摂取量を増やすためには、料理を用意することや食べることが負担になってしまうのはよくありません。
加熱調理や包丁を使わなくてよいミニトマトやレタス系、ベビーリーフやカット野菜、冷凍野菜などを活用し、調理の手間なく食べられるものを取り入れたいですね。

また、外食やコンビニでも、「野菜たっぷり」を売りにしたメニュー・商品が多く登場しています。
1日分の1/2の野菜が取れる…といったものを積極的に選ぶのもいいですね。

食が細く、野菜を増やそうと思うと食事量が多くなりすぎて食べられない、という場合には、生野菜よりも野菜スープのように加熱してカサが減ったものがおすすめです。

野菜ジュースや果物、塩分について

野菜をもっと食べましょう、とはよく言われますが、野菜ジュースでも同じ効果が得られるのでしょうか?

野菜ジュースは脂溶性ビタミンやカリウムなど、栄養素の一部はとることができますが、食物繊維などは失われていることや、飲み物として飲むために食事のバランス改善にはたらきにくいことから、野菜そのものと全く同じものと考えることはできません。
野菜がどうしても不足しがちな時の「せめて野菜ジュースだけでも」といった気持ちで取り入れるもの、と考えたほうがよさそうです。

また、野菜の摂取量を増やすことは健康的な食事の工夫ではあるものの、それに伴って塩分の摂取量が増えてしまうことが心配されます。
ほとんどの日本人は塩分(ナトリウム)をとりすぎており、高血圧など生活習慣病のリスクを高めるものとして、減塩が勧められています。
健康のために野菜をとるというときに、ドレッシングなどの調味料をたっぷり使ったり、塩分濃度の高いお漬物ばかりを食べたりするのは避けたほうがより健康的といえそうですね。

野菜とともに摂取量を増やしたい食材として、果物もおすすめです。
果物は野菜と同じくカリウムやビタミンC、食物繊維が豊富な食材です。
食べるときに塩分を伴う味付けが不要な点も魅力のひとつ。
「食事バランスガイド」では、1日あたり200gの摂取が勧められていますので、むく手間の少ないものやカット済みのものなど、手軽なものから取り入れてみてはいかがでしょうか?

まとめ 野菜のおかずを1品増やしてみては?

野菜を1日350g食べましょう、という目標は、野菜からの栄養素の十分な摂取に加え、生活習慣病など、将来の健康づくりが理由となっているようです。

20歳以上の日本人全体では300g近くをとることができていますが、若い世代では少なめの傾向もみられるため、意識的に野菜をとることが大事なポイントといえそうです。

自分は普段どのくらいとっているのか…ということを知るのは難しいので、まずは1品、野菜料理を増やしてみてはいかがでしょうか?

参考文献

佐々木敏:「佐々木敏のデータ栄養学のすすめ」.女子栄養大学出版部,2018.

Wang et al.Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ. 2014 Jul 29;349:g4490.

厚生労働省、公益財団法人健康・体力づくり事業財団:「健康日本21」

厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会:「健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料」

厚生労働省:平成29年「国民健康・栄養調査」の結果

厚生労働省e-ヘルスネット:「野菜、食べていますか?」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。