2021.05.17

日本人はみんな減塩が必要って知っていますか?|管理栄養士執筆

「減塩が必要な人」とはどんな人でしょうか?

実は健康診断で高血圧を指摘された人だけでなく、日本人のほとんどの人に心掛けてほしいものなのです。

「食塩と健康」についての基礎知識と、はじめやすい減塩の方法について紹介します。

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食塩

実は、日本人はみんな塩分とりすぎ

食塩を構成する「ナトリウム」は、人体の生命維持・健康維持に必要な「必須栄養素」のひとつです。

日本人の食事摂取基準2020年版によると、1日に必要とされる量は成人の場合食塩1.5g程度と推定されていますが、実際の摂取量はこの数値を大きく上回っており、通常の食生活で不足を心配することはありません。

むしろ、心配されているのはナトリウム(≒食塩)の過剰摂取による健康へのデメリットです。
世界保健機関(WHO)では、高血圧や心血管疾患、脳卒中などのリスクを減らすために1日あたりの食塩摂取量を成人で5g未満に減らすことを強く推奨しています。

この推奨値に対して、私たち日本人の日常的な摂取量はどのくらい違うのでしょうか?

平成30年度の国民健康・栄養調査によると、1日あたりの平均食塩摂取量は、20歳以上の男性で11.0g、20歳以上の女性で9.3gと報告されています。

また、国民健康・栄養調査とは別の方法で1日あたりの平均食塩摂取量を推定した2014年の報告では、男性で14g、女性で11gもの食塩をとっているとするものもあります。

いずれの報告でもWHOの推奨値を大きく上回っており、平均的に「塩分とりすぎ」であることがわかります。

ちなみに、日本人の目指すべき栄養素等の摂取量を示した「日本人の食事摂取基準2020年版」では、現状の平均摂取量とWHOの推奨値から、18歳以上の目標値として男性7.5g未満、女性6.5g未満という数値が設定されています。

塩分に注意するのはなぜ?

食塩のとりすぎが問題視されるのは、習慣になることで高血圧をはじめとした生活習慣病になりやすくなるためです。

高血圧は血管内の圧力が高まった状態で、血管内部に圧力によるダメージを与え、血管を破れやすく・詰まりやすい状態(動脈硬化)にしてしまいます。
高血圧および動脈硬化が進行すると、心臓や脳で心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高まります。
このリスクは、内臓脂肪型肥満や血糖高値、脂質異常を併せ持ったメタボリックシンドロームでより高まることが知られています。

食塩と血圧

また、高血圧は腎臓にも負担をかけるため、慢性腎臓病の発症・重症化に関連する可能性が示されています。

さらに、高血圧とは別に、塩漬けなどの高塩分の食品は胃がんのリスクになることも知られています。

生活習慣病予防の観点からも、がん予防の観点からも、食塩摂取量は減らしていくべき…と考えられています。

減塩を始めるには?

減塩は将来の健康のために必要…とはいっても、食事に含まれている食塩は目に見えず、意外と難しいものです。

減塩を始めるとき、気を付けやすいポイントをまとめてみました。

■後がけ調味料を控えめにする、味見をしてから必要か決める
醤油やソースなど、食卓で「食べるときに足す」調味料は実際の味の濃さよりも習慣でつけている人が多いところでもあります。
まずは一口食べて味を見てから、必要な分だけつけることを意識してみましょう。
また、「かける」よりも「つける」ほうが塩分摂取量は少なく済むことが知られています。

■麺類のスープは飲み干さない
ラーメン、うどん、そばなど、麺類のスープは他の汁物よりも塩分が多めになっており、減塩の視点では、なるべく控えめにしたいものになります。
スープはなるべく残す、加えて食べる頻度も控えめにできると、減塩に効果ありです。

■栄養成分表示をチェック
加工食品をはじめ、コンビニのお弁当・お惣菜などなど、いろいろな食品に表示されている「栄養成分表示」で塩分量を確認してみましょう。
食事を選ぶときは「食塩相当量」が1食あたり2.5g未満になるように選ぶようにすると、食事摂取基準の目標値にかなり近づけることができます。

■塩分「以外」をきかせた料理もおすすめ
うま味、酸味、香味野菜、スパイス、ハーブ類をきかせた料理は塩味が少なくてもおいしく食べられることが知られています。
料理を作る場合には、塩分を控えつつ、昆布やカツオのだし、にんにく・生姜などの香味野菜、スパイス、ハーブ、レモンやお酢などを取り入れたメニューにしてみてはいかがでしょうか?

■市販の減塩調味料もおすすめ
近年は醤油、味噌などの調味料類には減塩商品も増えてきました。
いつもを同じ感覚で使っても自然と減塩になるので、卓上の調味料にするのもオススメです。

■ナトリウムの排出を促すカリウムの摂取
カリウムはナトリウムの排出を促すミネラルです。
様々な食品に含まれる栄養素ですが、カロリーのとりすぎを避けながらカリウムをたっぷりとるためには、野菜や果物などの重さあたりのエネルギーが低い食品がおすすめ。
食塩の摂取量には気を付けつつ、野菜や果物の摂取量を増やしていきたいですね。

まとめ 少しずつ薄味に慣れていきたい

減塩は日本人のほとんどに必要な取り組みですが、味が薄い=おいしくないと感じてしまい、なかなか難しいものでもあります。

いつもの味付けから急に薄くしてしまうとかなり物足りなさを感じるので、「ちょっと薄いけど、おいしい」という範囲で徐々に薄い味に慣れていくほうが負担は少なそうです。

将来にわたって健康に過ごすためにも、今から少しずつ気を付けていきたいですね。

参考文献

厚生労働省:「平成30年度国民健康・栄養調査」

Keiko Asakura, Ken Uechi, Yuki Sasaki, Shizuko Masayasu and Satoshi Sasaki. Estimation of sodium and potassium intakes assessed by two 24 h urine collections in healthy Japanese adults: a nationwide study British Journal of Nutrition Volume 112, Issue 7 14 October 2014 , pp. 1195-1205

WHO. Guideline: sodium intake for adults and children(2012)

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。