2022.06.13

植物ミルクってなに?健康・栄養面での利点とは|管理栄養士執筆

近年、いろいろなところで目にすることが多くなった「植物ミルク」ですが、原料によっていろいろな種類があり、栄養面でもそれぞれに特徴があるようです。

牛乳に代わって使われることも多いようですが、栄養面や健康面で牛乳に勝るメリットがあるのでしょうか?

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植物ミルク

「植物ミルク」って何?

植物ミルクは「植物由来のミルク状(=白い液状)の食品」を指すもので、牛乳が含まれているわけではありません。

原料となるのは大豆などの豆類、米や麦のような穀類、アーモンドのようなナッツ類、その他ココナッツや麻の実(ヘンプ)などの植物性食品です。

いずれも水分を含ませた原料から絞った液汁に味や品質を整えるための副材料が加えられたもので、加工食品の一種です。
このため、細かい製法や原材料は製品によっても異なるという特徴もあります。

各種植物ミルクの栄養価は?

日本国内で今のところ手に入れやすい植物ミルクは、豆乳、アーモンドミルク、ライスミルク、オーツミルクなど。
これら植物ミルクについて、栄養的な特徴をまとめてみました。

とはいえ、植物ミルクは製品による原材料の違いや砂糖使用の有無によるバリエーションによっても栄養価が異なるため、あくまで参考に。
今回はなるべく標準的なものを選定しました。

■豆乳(主原料:大豆)
市販品の原材料の例:大豆(カナダ又はアメリカ)(遺伝子組換えでない)、砂糖、米油、天日塩 / 乳酸カルシウム、乳化剤、糊料(カラギナン)、香料

栄養価
エネルギー58kcal
たんぱく質3.5g
脂質3.9g
飽和脂肪酸0.61g
コレステロール0.0㎎
炭水化物4.8g
食物繊維0.4g
*100mlあたり、キッコーマン 調製豆乳 商品情報より

植物ミルクの中では最も身近であろう豆乳。
大豆以外の原材料を使っていないものは無調整豆乳ですが、飲用には調味料等を加えた調整豆乳が一般的です。

植物ミルクの中では比較的たんぱく質・脂質・炭水化物のバランスが牛乳に近く、代用しやすいものといえるでしょう。
日本標準食品成分表(八訂)のデータでは、牛乳と比較すると葉酸や鉄分がやや多め、カルシウムは少なめです。

■アーモンドミルク(主原料:アーモンド)
市販品の原材料の例:アーモンドペースト、砂糖、食物繊維(イヌリン)、果糖ぶどう糖液糖、デキストリン、ハチミツ、植物油脂、食塩、アーモンドオイル加工品/pH調整剤、香料、セルロース、乳化剤、炭酸Ca、増粘剤(キサンタンガム)、ビタミンE

栄養価
エネルギー40kcal
たんぱく質0.6g
脂質1.6g
コレステロール0㎎
炭水化物7.0g
食物繊維2.0g
ビタミンE5.0㎎
*100mlあたり、グリコ アーモンド効果オリジナル 商品情報より

アーモンドを原料としたアーモンドミルクにも、砂糖を使ったタイプと不使用タイプがありますが、一般的なのは砂糖使用タイプです。
たんぱく質や脂質は少なく、炭水化物が多いため、牛乳の栄養価とはあまり似ていません。
細かい栄養成分のデータは得られませんでしたが、市販品ではビタミンEが強化されたものが一般的なようです。

■ライスミルク(主原料:米)
市販品の原材料の例:米、米麹

栄養価
エネルギー50kcal
たんぱく質0.5g
脂質0.1g
コレステロール0.0㎎
炭水化物12.1g
食物繊維0.1g
糖質12.0g
*100mlあたり、福光屋 プレミアムライスミルク 商品情報より

ライスミルクは米に米麹を加え、甘酒に似た製法で作られます。
甘酒に比べるとさらっとしており、たんぱく質や脂質は極めて少なく、牛乳の栄養バランスとはかなり異なる食品です。
細かい栄養成分のデータは得られませんでしたが、似た食品である甘酒の栄養成分から推察するに、ビタミンやミネラル面での特徴はあまりなさそうです。

■オーツミルク(主原料:燕麦)
市販品の原材料の例:オーツ麦(えん麦)、食物繊維(イヌリン)、ひまわり油、食塩/リン酸カルシウム、増粘剤(ジェランガム)、ビタミンB2、ビタミンD2、ビタミンB12

栄養価
エネルギー46kcal
たんぱく質0.3g
脂質1.5g
コレステロール0㎎
炭水化物8.7g
食物繊維1.5g
カルシウム120㎎
*100mlあたり、ダノンジャパン ALPRO たっぷり食物繊維オーツミルク ほんのり甘い 商品情報より

麦の一種「燕麦(えんばく)」が原料となるオーツミルクは、酵素処理により製造される点はライスミルクと似ているかもしれません。
たんぱく質や脂質が少なく、今回データを確認した商品ではカルシウムが強化されており、牛乳よりやや多めに含まれています。

ナッツ由来の植物ミルク

このほか、落花生や麻の実(ヘンプ)、クルミ、エンドウ豆、カシューナッツなどを原料とした植物ミルクもあるようで、将来的にいろいろなものが手に入るようになるかもしれませんね。

植物ミルクの利点は?

牛乳に代わって利用されることの多い植物ミルクですが、取り入れるメリットにはどんなものがあるでしょうか?

■牛乳が飲めない人でも飲める場合がある
アレルギー、乳糖不耐症、菜食主義などの理由で牛乳を避けている場合に、牛乳の代替品として取り入れることができます。

■牛乳と異なる栄養価である
製品によっても異なるものの、牛乳よりも特定の栄養素が多く含まれているものもあります。(豆乳の鉄・葉酸、アーモンドミルクのビタミンEなど)

■「エコな食品」である
近年、畜産物は生産にかかる環境負荷(温室効果ガスの排出、水や土地の使用量)が農産物よりも大きいことが問題視されており、環境負荷を減らすために植物性食品を選ぼう、という動きがあります。
畜産物である牛乳よりも農産加工品である植物ミルクであれば、環境にかける負荷が少なく済む…という理由で選ぶ場合もあるでしょう。

植物ミルクについて気を付けたいこと

植物ミルクを取り入れるメリットがある一方で、気を付けたいポイントもいくつか存在します。

■絶対にアレルギーを起こさないわけではない
牛乳アレルギーの人の代替品に使われることもありますが、植物ミルクの原料も食物アレルギーの原因食品となる場合があります。
アレルギーを起こしやすい人が取り入れる場合には注意が必要です。

■牛乳の栄養を補完するものではない
植物ミルクの栄養価を見ると、カルシウムやたんぱく質の含有量は牛乳に劣るものが多く、成長期の子どもたちなど、たんぱく質やカルシウムの必要量が多い時期には牛乳ほどの魅力はないかもしれません。
栄養素摂取量の管理が必要な場合には、ほかの食品による調整が必要です。

■原料の栄養素がそのままとれるわけではない
液状で飲み物として摂取することができる点も魅力ではありますが、原料から液状に加工する過程で取り除かれる栄養成分も存在します。(食物繊維が代表的です)

まとめ 植物ミルクのメリットを活かそう

牛乳の代替品としては、メリットもデメリットもある植物ミルク。

・味が好みである
・体質的・信条的な理由で牛乳に代わる食品を探している
・環境にやさしい食品を選びたい
・特定の栄養素(鉄分やビタミンEなど)が豊富な食品をとりたい
…といった場合には、植物ミルクは魅力的な食品となりそうです。

いっぽうで、
・食物アレルギーを起こす可能性もある
・牛乳のほうが栄養的にメリットが大きい場合もある(たんぱく質やカルシウムなど)
・ミルクにする過程で失われる栄養素もある
…といった点は気を付けたいところです。

植物ミルクが牛乳に比べて健康に良いか…というのは、人それぞれの状況によっても異なるため、どんな理由で選ぶのか、自分なりの物差しを持って判断したいですね。

参考文献

文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

キッコーマン:「調製豆乳 商品情報」

グリコ:「アーモンド効果オリジナル 商品情報」

福光屋:「プレミアムライスミルク 商品情報」

ダノンジャパン:「ALPRO たっぷり食物繊維オーツミルク ほんのり甘い 商品情報」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。