2021.01.04

オリーブオイルはサラダ油より体にいい?|管理栄養士執筆

「健康にいい油」のイメージがあるオリーブオイル。

一方、普段のお料理に使う油として一般的なものは「サラダ油」ですが、オリーブオイルと普段のサラダ油では、成分や健康への影響にどんな違いがあるのでしょうか?

健康のために油にもこだわりたい…というときのポイントを紹介します。

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オリーブオイル

サラダ油、オリーブオイルとは

「サラダ油」というのは植物油の菜種油、大豆油、ヒマワリ油、トウモロコシ油などのうち精製度の高いものを指します。

日本において、商品名としてサラダ油とつくものは菜種油と大豆油を混ぜたものが一般的ですが、同様に風味の少ない菜種単体の油(キャノーラ油など)も、特に区別なくサラダ油として認識されていることが多いのではないでしょうか。

今回は一般的に「サラダ油」として使われることの多い菜種油+大豆油の調合油と、「キャノーラ油」などの名称でサラダ油と同じように使われる菜種油をサラダ油として扱います。

「オリーブオイル」はオリーブ果実をしぼったものから油分を抽出したものです。
一般的にはサラダ油よりも精製度が低く、オリーブの風味、香り、色が残っているのが特徴です。

栄養価や構成成分に違いはある?

日本食品標準成分表2015年版(七訂)において、サラダ油とオリーブオイルを比較してみると、100gあたりのエネルギーはいずれも921kcalとなっています。

どちらも100%脂質からできているため、同じ量をとった場合の摂取エネルギーは同じであり、どちらが太りにくいといったことはありません。

異なるのは「脂肪酸組成」です。

「脂肪酸」とは油の構成成分のことを指し、その構造によって
・飽和脂肪酸
・一価不飽和脂肪酸
・多価不飽和脂肪酸
に分類され、それぞれ体、特に血中LDLコレステロール濃度に与える影響が異なることがわかっています。

血中LDLコレステロールは増えすぎると脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病を引き起こす要因のひとつです。
健康診断等で血中LDLコレステロール値を指摘された人では摂取する油の脂肪酸組成に気をつかっているという人も少なくありません。

それぞれの脂肪酸と血中LDLコレステロール及び生活習慣病との間には、

・飽和脂肪酸
摂取量を増やすと血中LDLコレステロール濃度を上昇させる*1)*2)*3)*4)
・一価不飽和脂肪酸
 摂取量を増やしても血中LDLコレステロール濃度に影響しない*2)
 飽和脂肪酸に対して摂取量が多いと循環器疾患死亡率が低くなる傾向がある*1)*5)
・多価不飽和脂肪酸
 摂取量を増やすと血中LDLコレステロール濃度を低下させる*2)
 飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えると冠動脈疾患の発症率が低下する*1)*6)

という関連があることがわかっています。

まとめると、同じ摂取量だった場合には、飽和脂肪酸が少なく、一価不飽和脂肪酸、特に多価不飽和脂肪酸の割合が多い油のほうが生活習慣病などの健康への悪影響の少ない油と考えることができます。

オリーブオイルとサラダ油の脂肪酸組成を比較してみる

オリーブオイルとサラダ油、菜種油の脂肪酸組成を比較してみると、以下のようになります。

植物油の脂肪酸組成

        飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 多価不飽和脂肪酸
オリーブオイル  13.29g   74.04g      7.24g
大豆:菜種=1:1 10.97g   41.10g      40.94g
菜種油     7.06g    60.09g      26.10g
(脂質100gあたり)

オリーブオイルについて、特別に飽和脂肪酸が少なく多価不飽和脂肪酸が多いということはなく、脂肪酸組成から見れば、むしろサラダ油や菜種油のほうが「健康にいい油」ととらえることができるようです。

オリーブオイルが健康に悪いという訳ではありませんが、健康目的で、いつも使っているサラダ油をオリーブオイルに変える必要はないかもしれません。

サラダ油以外の油脂と比較してみる

食用油脂はオリーブオイルやサラダ油などの「植物性油脂」のほかに、「動物性油脂」としてバターなどの乳由来の脂、牛脂やラードのような肉由来の脂があります。
(魚由来の脂である魚油も動物性油脂に含まれますが、ほかの油脂と異なり調理用油としては一般的ではないため今回は除外します)

オリーブオイルとバター、牛脂の脂肪酸組成の違いは以下の通り。

動物性油脂の脂肪酸組成

        飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 多価不飽和脂肪酸
オリーブオイル 13.29g   74.04g      7.24g
バターの脂質   62.31g   22.19g      2.64g
牛脂      41.05g   45.01g      3.61g
(脂質100gあたり)

バターや牛脂に比べると、植物油であるオリーブオイルは圧倒的に飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多いことがわかります。

血中LDLコレステロール値への影響が気になるという場合には、バターや牛脂などの動物性脂肪をオリーブオイルなどの植物油に置き換えて使うのがおすすめです。

具体的には、
・バター炒めはオリーブオイル炒めにする
・パンに塗るバターをオリーブオイルに変える
・脂身たっぷりのお肉ではなく、脂身の少ない肉類+オリーブオイルの料理にする
などの方法で、摂取する飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸の割合を増やすことができそうです。

もちろん、どの油であっても、とりすぎは摂取エネルギー過剰のもと。
適量範囲内で使うことに注意しましょう。

パンとオリーブオイル

まとめ 食事全体のバランスも気にしたい

健康のため、日常の食べ物に気を使っているという人は少なくありません。

「健康にいい」とされる特定の食べ物が注目されがちですが、ただ食べるだけで健康になれる食べ物、というものは残念ながら存在しません。

長く健康でいるために大切なのは、エネルギーや栄養素を自分にとって適切な量とバランスでとることで、そのためにはなにかひとつの食べ物ではなく、食事全体を整えていくことが大事です。

オリーブオイルは油の中では比較的飽和脂肪酸が少なく、生活習慣病につながりにくい油ととらえることもできますが、あくまで比較の話です。

オリーブオイル「さえ」取り入れれば健康になれるというものではありませんので、普段の食材のひとつとして、上手に活用していきたいですね。

参考文献

一般社団法人日本植物油協会ホームページ「植物油の基礎知識 植物油とJAS制度」

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

*1)厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

*2)mensink R P, M B Katan. Effect of dietary fatty acids on se-rum lipids and lipoproteins: A meta-analysis of 27 trials. Arterioscler Thromb 1992; 12: 911-9.
*3)Keys A, Parlin RW. Serum cholesterol response to changes in dietary lipids. Am J Clin Nutr 1966; 19: 175─81.
*4)Hegsted DM, McGandy RB, Myers ML, et al. Quantitative effects of dietary fat on serum cholesterol in man. Am J Clin Nutr 1965; 17: 281─95.
*5)Schwingshackl L, Hoffmann G. Monounsaturated fatty acids, olive oil and health status: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Lipids Health Dis 2014; 13: 154.
*6)Jakobsen MU, OʼReilly EJ, Heitmann BL, et al. Major types of dietary fat and risk of coronary heart disease: a pooled analysis of 11 cohort studies. Am J Clin Nutr 2009; 89: 1425─32.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。