
オートミールは、「燕麦(えんばく)」から作ったシリアル
オートミールの原料は「燕麦(えんばく)」という麦の一種。
燕麦の粒を加工したものを広くオートミールと呼びますが、日本で一般的なものは「ロールドオーツ」と呼ばれるもので、燕麦をカット・加熱・ローラーで圧扁し、簡単に食べられるタイプです。
オートミールはシリアルの一種であり、糖類や油脂類を加えて焼き上げたものは「グラノーラ」となります。
オートミールはグラノーラの原料となるほか、牛乳やヨーグルトと合わせたり、熱湯を加えておかゆとしたり、クッキーやケーキに混ぜ込んだりといった用途で使うことができます。
オートミールにはどんな栄養がある?
オートミールは穀類に分類され、食品の中ではお米や小麦製品と近い立ち位置になります。
日本標準食品成分表(八訂)からの100gあたりのデータを見てみると、
エネルギー 350kcal
たんぱく質 13.7g
脂質 5.7g
炭水化物 63.1g(単糖当量)
食物繊維 9.4g
カリウム 260㎎
カルシウム 47㎎
鉄 3.9㎎
となっています。
エネルギーは調理前の状態では小麦や米などのほかの穀類と同じくらいですが、たんぱく質と脂質が比較的多く、食物繊維が押し麦や全粒強力粉などと並んで豊富なのが特徴的です。
カリウムやカルシウム、鉄などのミネラル類は穀類としては比較的多めではありますが、1食あたりの摂取量が30g前後であることを考えると、食品全体から見ると摂取源としてはあまり魅力的ではないかもしれません。
オートミールは健康やダイエットにいい?
ヘルシーな食品というイメージの強いオートミールですが、実際に健康への良い効果やダイエットに役立つ特徴があるのでしょうか?
オートミールは食物繊維が豊富であることが最大の特徴です。
食物繊維の摂取量が増えると、2型糖尿病や循環器疾患、いくつかのがんについて発症リスクが下がることが報告されていることから、食物繊維は「摂取量を増やしたい栄養素」の代表的なものでもあります。
通常の食品としてオートミールを食事に取り入れた場合、食べる頻度や量にもよりますが、一定量を継続的に取り入れることで血中脂質の数値(血中LDLコレステロールなど)を改善したり、血糖値を低下させたりと、冠動脈疾患のリスクを低下させる可能性が示されている研究報告もあるようです。
食事からの食物繊維摂取量を増やす方法のひとつとして、オートミールは選択肢のひとつになりそうですね。
一方、体脂肪を減らして体の引き締めを目指すダイエットにおいては、必ずしも魅力的とは言いにくいようです。
体脂肪を減らすためには消費エネルギーに対する摂取エネルギーの大小が大きなポイントとなりますが、オートミールはほかの穀類と比較して特別に摂取エネルギーが低く済むということはなさそうです。
また、単にいつもの食事にプラスするような取り入れ方では、摂取エネルギーを減らすことはできないため、「オートミールを食べてダイエット」というのはあまり効果的な方法ではなさそうです。
オートミール、何のために取り入れる?
オートミールについて、栄養面での最大の特徴は食物繊維が多いことです。
加えて、加熱調理などが不要で手軽に取り入れられるのも魅力です。
オートミールは将来の健康維持の目的で、日々の食事において手軽に食物繊維をプラスするために使うのがおすすめです。
例えば、朝食のヨーグルトに20gのオートミールを加えた場合、プラスできる食物繊維量は1.9gほど。
日本人の食事摂取基準(2020年版)での食物繊維の摂取目標量は18~64歳の男性で21g以上、18~64歳の女性で18g以上となっており、1割程度をプラスすることができます。
少量のオートミールで食物繊維は十分にとれる!ということはありませんが、日常の平均的な食物繊維の摂取量を増やしていく意味では、有効な食品のひとつになりそうです。
まとめ 長く続けることで健康習慣になるかも?
オートミールは食物繊維が豊富な食品のひとつです。
短期的に期待できる効果はあまりありませんが、習慣的に取り入れることで将来の健康に役立つかもしれません。
ちなみに、オートミールに限らず、精製度の低い「全粒穀物」と呼ばれる穀類(オートミールのほかに全粒小麦粉、押し麦、もち麦など)は同じように食物繊維の摂取源として優秀な食品ですので、併せてバリエーションとして取り入れるのもオススメです。