2022.06.27

ナッツ類は将来の健康・ダイエットに効果あり?|管理栄養士執筆

健康意識や美容意識の高い人が食事に取り入れているイメージがあるナッツ類。

ナチュラルでヘルシーなイメージはともかく、実際に健康やダイエットなどに対する効果はあるのでしょうか?
ナッツ類の栄養価などから、健康・ダイエットへの効果を検討してみました。

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ナッツを毎日食べる人は死亡率が低い?

そもそも、ナッツ類が健康的というイメージは正しいのでしょうか?

アメリカで12万人を対象に、ナッツを食べる頻度ごとに、心血管疾患や2型糖尿病による死亡率の差を調べた研究報告がありました。

BMIや生活習慣等の影響を調整した結果では、ナッツを全く食べなかった人の死亡率を1とした場合に
食べない:1.0
週に1回未満  0.93
週に1回    0.89
週に2-4回   0.87
週に5-6回   0.85
週に7回以上  0.80
…となり、最大で20%も死亡率が低減したようです。

結果では影響が調整されていますが、ナッツを頻繁に食べる人ほど
・BMIが低い
・喫煙率が低い
・運動する割合が多い
・果物・野菜・アルコール・マルチビタミンサプリの摂取量が多い
といった傾向がみられることから、ナッツを食べることは健康意識が高い人の習慣のひとつになっているのかもしれません。

この研究はアメリカで行われたものであり、日本人で同じ傾向があるかは不明であり、またナッツ類の摂取が死亡率の低下につながるメカニズムはわかってはいませんが、ナッツ類=健康的…というイメージは間違いではないのかもしれません。

ナッツには健康にいい栄養素が含まれている?

そもそも、ナッツ類とひとくくりにしてしまいがちですが、どれも異なる植物からとれる食品であり、含まれる栄養素や食品成分も同じものではありません。

ナッツ類の栄養価

ナッツ類に共通する特徴としては、
・脂質が多く含まれる(50~75%)
・重さあたりのエネルギーが高い(500~700kcal台/100g)
・食物繊維もある程度含む(6~11g/100g)
…ということが挙げられます。

ナッツに含まれる脂質の大部分は植物油脂に多い「不飽和脂肪酸」が多いのが特徴で、脂質の含有量の割に生活習慣病リスクは大きくないと考えることもできますが、ナッツとしては少量でもエネルギーが高いため、食べすぎは摂取エネルギー過多による肥満の一因ともなりますし、いくら食べても健康に支障がないというものではありません。

ナッツを習慣的に食べると死亡率の低下がみられる一方で、ナッツ類に「明確に健康によい成分」が含まれているわけではないようです。

ナッツはダイエットにいいの?

ダイエット中のおやつにもオススメされることの多いナッツ。
ダイエットによい特徴があるのでしょうか?

まず、ダイエットの原則について。
ダイエットによって余分な体脂肪を減らすには、消費エネルギーよりも摂取エネルギーを小さくする(=不足するエネルギーを、体脂肪を消費して補う)必要があります。

よって、ナッツ類に消費エネルギーを増やす、または摂取エネルギーを減らすいずれかの作用があればダイエットに効果ありと考えることができます。
…しかし、ナッツ類には消費エネルギーを増やすような働きは見つかっておらず、また、平均して脂質が多くエネルギー(カロリー)の高い食品であるため、ダイエットに関して有効なものとは言えなさそうです。

現在分かっているナッツ類の特徴からは、ダイエットに関してナッツはあえて取り入れるべき食品とは言えなさそうです。

ナッツは健康的、だけど食べすぎには注意

ナッツを習慣的に食べているほど健康的…というような研究報告はあるものの、具体的なメカニズムはわかっておらず、脂質が多く高カロリーという特徴もあることから、「ナッツを食べてさえいれば健康になれる」「ナッツはいくら食べても大丈夫」といったものではないようです。

ナッツを健康的に取り入れるための「適量」を示すような指標はありませんが、間食としてナッツ類をとるのであれば、厚生労働省と農林水産省が発表している「食事バランスガイド」における菓子・嗜好飲料の目安である「1日あたり200kcal以内」がひとつの目安になるのではないでしょうか?

ちなみに、身近なナッツ類の100gあたりの量は以下の通り。
ナッツの適量

他の菓子・嗜好飲料と合わせて適量範囲に収まるように取り入れられるとよさそうです。

一般に市販されているナッツにはフライのものと素焼きのもの、味付け済みのものと無塩のものとがあります。
ナッツはもともと脂質を多く含み高カロリーであること、
日本人は食塩のとりすぎが問題視されており、塩分摂取量はなるべく抑えたいことを考えると、健康のためにナッツを取り入れるのであれば、素焼きで無塩のものを選ぶのが望ましいでしょう。

まとめ 適量範囲で健康的に取り入れよう

健康的な間食といえそうなナッツ類。

高脂質・高カロリーな点に気を付けつつ、ほかの健康習慣とともに上手に取り入れていきたいですね。

参考文献

文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(マカダミアナッツ、クルミ、カシューナッツについて)

社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.

Bao Y, Han J, Hu FB, Giovannucci EL, Stampfer MJ, Willett WC, Fuchs CS. Association of nut consumption with total and cause-specific mortality. N Engl J Med. 2013 Nov 21;369(21):2001-11.

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。