
風邪をひいたときの子どもの体の状態
風邪をひいたとき、子どもの体は様々なトラブルを起こしやすくなっています。
大人に比べて体内の水分量・体重当たりの必要水分量が多い子どもでは、発熱や下痢、嘔吐、咳や鼻水の症状で水分摂取量が減ることなどから、脱水状態になりやすいといわれています。
さらに、胃腸のはたらきが落ちて食欲不振、消化不良になりやすく、嘔吐や下痢の症状がある場合も。
よって、子どもが風邪をひいたときには、はたらきの落ちた胃腸に合わせた食事、脱水予防のための水分補給の工夫をしてあげたいですね。
また、症状が重いときや判断に困ったときは、かかりつけの医療機関に相談するようにしましょう。
脱水予防のための工夫
嘔吐や下痢がなくても、発熱や水分摂取量が減ることで起こりやすい脱水。
重度の脱水症状は命にかかわることもあるため、食事がとれなくても水分だけは取っておきたいところです。
とはいえ、一度に多量の水分を飲ませると嘔吐や下痢を起こして適切な水分補給にならないこともあるので、特に嘔吐や下痢がある場合には、少量の水分をこまめにとるのがよいでしょう。
飲み物に関して、症状が軽ければ湯冷ましや麦茶などの日常的な飲み物で問題はありませんが、汗をたくさんかいていたり、下痢や嘔吐があったりする場合には、失われた電解質も補給できる「イオン飲料」や「経口補水液」もおすすめです。
また、子どもが飲みやすいように工夫されたイオン飲料・経口補水液もあるので、選択肢のひとつになりそうです。
また、大人向けの経口補水液でも、ゼリータイプは塩味を感じにくく飲みやすいといわれているので、選ぶときの参考にしてみてくださいね。
風邪の時は消化吸収しやすい食事でエネルギー摂取
食事がとれそうであれば、体力の維持のために食べさせるようにしましょう。
ただし、風邪の時は胃腸のはたらきが落ちているので、消化吸収の負担が少ないものを心掛けたいところです。
脂質やたんぱく質は炭水化物に比べて消化しにくく胃腸への負担になるため、脂質やたんぱく質を比較的多く含む主菜(肉や魚のおかず)はなくてOKです。
風邪のときは、栄養バランスよりも体への負担の少ない食事を心掛けましょう。
消化のよい炭水化物中心の食事がおすすめです。
【風邪の時の食事のおすすめ例】
おかゆ・おじや
柔らかく煮込んだうどん
ゼリー
食べられるものを控えめの量で食べ、症状が治まってきたら徐々に普段の食事に近づけていくのがよいでしょう。
風邪の時に避けたほうがいいもの
反対に、風邪の時には避けたほうがいい食事とはどんなものでしょうか?
まず、消化に悪いもの。
脂っこい食事や繊維質の多い食品(イモ、ゴボウ、海藻、豆など)は消化しにくく、胃腸の負担になります。
乳製品は食べさせやすくエネルギーもとれるものが多い一方で、体質によっては牛乳に含まれる乳糖が腸を刺激して下痢を引き起こすこともあるので、体調に合わせて選びましょう。
加えて、刺激の強いもの。
香辛料は食事の風味を高めてくれますが、のどが痛いときや胃腸の調子が悪いときには刺激となってしまいます。
酸味のあるものはさっぱりして食べやすい一方で、嘔吐の症状がある場合には吐き気を起こしやすくなることもあるので、症状が治まるまでは避けたほうが無難です。
まとめ 「栄養のあるもの」よりも「食べやすいもの」がいい
風邪をひいたときには、治す手助けになりそうな食べ物をあげたくなるものですが、元気のある時は食べられる「栄養豊富なごはん」がかえって負担になることも。
風邪をひいて体力が落ちた時には、栄養豊富かどうかよりも、体が風邪と戦うための負担にならないものをあげるのがよさそうです。
「免疫力を高める」というような特別な食品を用意する必要はありませんので、十分な水分補給と、温かくて消化しやすい食事を用意してあげたいですね。