
主食・主菜・副菜をそろえると「栄養バランスが整う」
ごはんやパンなどの「主食」、肉や魚のおかず「主菜」、野菜・きのこ・海藻などを中心としたサイドのおかず「副菜」は、それぞれ栄養面での特徴があります。
主食は主に炭水化物の摂取源となり、からだの主要なエネルギーのもとになります。
主菜は主にたんぱく質の摂取源となるほか、脂質の摂取源としても比較的大きいものです。
副菜は食物繊維やカリウムなど、野菜由来の栄養素の摂取源として重要です。
補足:厚生労働省と農林水産省が発表している食事モデルである「食事バランスガイド」では、主食・主菜・副菜のほかに、果物と乳製品についても適量摂取を勧めています。
果物は副菜と同様に食物繊維やカリウムの摂取源として、乳製品は不足しがちなカルシウムの摂取源として毎日の適量摂取が理想的です。
主食・主菜・副菜(および果物・乳製品)にはそれぞれ栄養的に特徴があり、これらをそろえることで体に必要な栄養素をバランスよくとることにつながります。
平成27年の国民健康・栄養調査では、「主食・主菜・副菜をそろえて食べる頻度が高いほど、栄養素の摂取量が食事摂取基準などの栄養素等の摂取目標をクリアする割合が高くなった」とも報告されています。
食事に含まれる栄養素を個人レベルで計測することは難しく、毎日の食事で必要な栄養素がどれだけとれているか…ということを把握することはほとんど不可能です。
しかし、主食・主菜・副菜がそろっているか…であれば、自分ができているかチェックしやすく、改善点も見つけやすいですよね。
主食・主菜・副菜がそろった食事は「疾患リスク低下に関連」する
複数の研究報告によると、食事バランスガイドに沿った食事(≒主食・主菜・副菜がそろった食事)がとれているほど、循環器疾患による死亡リスクが少なくなると報告されています。
循環器疾患とは心臓や血管にかかわる病気のことで、循環器疾患のうち高血圧・心筋梗塞・脳梗塞は、発症や悪化に食事などの生活習慣が関与する「生活習慣病」に分類されます。
病気を避け、長く健康でいるためにも、毎日の食事バランスを整えることがポイントとなるようです。
食事バランス改善のカギは「副菜」!
平成27年の国民健康・栄養調査では、主食・主菜・副菜をそろえた食事の頻度が週4~5日以下の人のうちおよそ70%以上がそろえられないものとして挙げたものが副菜であったとしています。(主食は15%前後、主菜は22%前後)
副菜は野菜のおかずであり、主食や主菜に比べると食事の満足度には直結しにくい部分かもしれません。
食事を簡単に済ませようとすると主食や主菜に偏りやすいため、食事バランスを整えるためには副菜を意識的に増やすことが効果的なようです。
副菜によって摂取量を増やせるカリウムや食物繊維は血圧低下、血糖値低下、血清脂質改善の効果が報告されており、副菜は生活習慣病予防のために積極的にとりたい部分です。
副菜を増やすコツ
不足しがちな副菜を増やすには、どのようなことがポイントになるのでしょうか?
■副菜は毎食、小鉢1~2品が目安
副菜の主な食材である野菜類は、1日に350gが目標量とされています。
野菜料理は小鉢ひとつ分で野菜70gと想定されるため、副菜は1日あたり小鉢5皿程度、1食あたり1~2品程度が摂取の目安量となります。
一度に350gもの野菜をとるのは難しいですが、3食に分ければハードルが下がりそうですね。
■一品物より定食スタイルを選ぶ
ごはんとメインのおかず、サイドのおかずがセットになっている定食スタイルは丼物などの一品物と比較すると主食・主菜・副菜がそろっているため栄養バランス面で魅力的です。
多種類の料理を交互に食べることで早食いの防止にもつながり、ダイエットの観点からもオススメです。
■主食+主菜のセットは避ける
ラーメンとチャーハン、そばと天丼のような主食+主食の組み合わせは外食では定番ですが、副菜がなく主食に偏ってしまうため、栄養バランス的にはあまり好ましくありません。
セットにするならなるべく野菜を中心とした副菜に近いものを選ぶようにしましょう。
ラーメンやお蕎麦なら、タンメンや山菜そばのような野菜をたっぷり使ったものを選ぶことで主食と副菜を一緒に取ることができます。
■まとめ 意識することから始めてみよう
今までなんとなく食べていた食事も、主食・主菜・副菜を意識することで足りないものが見えてくるかもしれません。
将来にわたって健康でいるために、食事バランスを意識してみてくださいね。
参考文献
厚生労働省:「食事バランスガイド」について
社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.
Oba S, et al. Diet based on the Japanese Food Guide Spinning Top and subsequent mortality among men and women in a general Japanese population. J Am Diet Assoc. 2009; 109:1540-7.
Kurotani K, et al. Quality of diet and mortality among Japanese men and women: Japan Public Health Center based prospective study. BMJ. 2016; 352:i1209.