2022.08.08

MCTオイル、ダイエットにはどう活用するべき?|管理栄養士執筆

健康やダイエット方面で注目されている「MCTオイル」。
高カロリーな油でありながら、体脂肪を減らすのに役立つともいわれていますが、MCTオイルを取り入れることでダイエット効果は得られるのでしょうか?

ダイエットにおけるMCTオイルの効果的な取り入れ方を検討しました。

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MCTオイル

「MCTオイル」ってなに?

MCTオイルの「MCT」とは、Medium Chain Triglycerides の略で、「中鎖脂肪酸」のことを指します。

中鎖脂肪酸とは、油脂の構成成分である脂肪酸のひとつのグループのこと。
脂肪酸にはいくつもの種類が存在しますが、この脂肪酸を炭素原子の鎖の長さによって分類した場合の炭素数8~12のものを中鎖脂肪酸といいます。
(一般的な食用油では、炭素数12以上の長鎖脂肪酸が多くなっています)

脂肪酸の分類(鎖)

中鎖脂肪酸は天然にはココナッツオイルやパーム油、牛乳や母乳に一部含まれています。
日本で市販されているMCTオイルはココナッツオイルなどを主原料として、含有脂肪酸が中鎖脂肪酸100%になるように加工されています。

MCTオイルでダイエットできる?

中鎖脂肪酸は食事から摂取した後の代謝経路が一般的な食用油に含まれる長鎖脂肪酸と異なることが知られており、「エネルギーとして消費されやすい油」とされています。

中鎖脂肪酸の代謝経路

実際のダイエット効果については、中鎖脂肪酸、MCTオイルの減量効果を調べたアメリカの研究が報告されています。

この研究は、アメリカでBMI27~33(肥満)の成人男女に減量指導とエネルギー制限を行ったうえで、16週間にわたってMCTオイルまたはオリーブオイルを摂取し、それぞれの体重減少量を比較したものです。

結果として、MCTオイルのグループとオリーブオイルのグループにおいて、どちらも体重の減少は見られたものの、MCTオイルのグループでより多く体重・体脂肪量の減少がみられたとのことです。(16週間後の平均体重変化:オリーブオイル-1.4㎏、MCTオイル-3.2㎏)

また、MCTオイルとしてではないものの、植物油の一部を中鎖脂肪酸に組み替えた食用調理油について、通常の調理油と比較して4~12週間で体脂肪量などの低下がみられたことから、「体に脂肪がつきにくい油」として特定保健用食品(トクホ)として販売されているものもあります。

これらの報告と同じような条件でダイエットにMCTオイルを取り入れることで、ダイエットの効果をより大きくできるかもしれません。

「いつもの食事にプラス」では意味がないかも

中鎖脂肪酸やMCTオイルを取り入れることによってより大きなダイエット効果が得られる…ということはあるようですが、食事や運動を見直さずにMCTオイルを付け加えるだけでは、ダイエット効果は得られないかもしれません。

基本的に、体についた体脂肪を減らすためには、基礎代謝や運動による消費エネルギーが食事からの摂取エネルギーを上回る必要があります。
アメリカの研究では、MCTオイルの減量効果は減量指導とエネルギー制限を行ったうえで得られたものでした。
この前提からも、そもそもの消費エネルギーが摂取エネルギーを上回った状態でなければ、MCTオイルを取り入れたとしても体重の減少が起こらないことが予想されます。

MCTオイルにも一般的な食用油と同様のエネルギー(カロリー)があり、摂取エネルギーを増やします。
MCTオイルはもともと臨床の分野で低栄養予防のためのエネルギーアップに使われていた食品であり、食べればやせるといったようなものではありません。

まずは食事や運動を見直し、消費エネルギーを増やす、または摂取エネルギーを減らす工夫を行ったうえでMCTオイルを取り入れる必要がありそうです。

ダイエットに活用するなら、どう使う?

では、ダイエットにおいて、具体的にはどのように使うのがよいのでしょうか?

サラダと植物油

■摂取エネルギーが消費エネルギーを下回るようにする
上で解説したとおり、MCTオイルの減量効果はエネルギー制限を行った前提のものであり、摂取エネルギーが過剰の状態では体脂肪は蓄積されていってしまいます。

■いつも使っている食用油脂と置き換えて使う
いつもの食事にプラスする使い方は簡単ですが、摂取エネルギーを上乗せすることにもなります。
中鎖脂肪酸を含むトクホでも、置き換えて使う前提で有効性が示されていました。
できれば通常の食事に「プラス」ではなく、いつもの油と「置き換えて」使うことをお勧めします。

合わせて気を付けたいポイントとしては、
■加熱調理や容器に注意する
中鎖脂肪酸100%のMCTオイルは通常の食用油脂と比べて発煙温度が低く、煙が出やすいことが示されており、炒め物や揚げ物のような加熱調理には向いていません。
安全に取り入れるには、サラダのドレッシングや和え物のような非加熱調理に使うか、調理済みの食事にかけるような用途が推奨されます。
また、カップラーメンなどに使われているポリスチレン製の容器を溶かして変質させてしまい、破損の可能性もあるため、注意しましょう。

まとめ うまく使えば、ダイエット効果を高められるかも?

MCTオイルが通常の油と比べて体脂肪になりにくく、エネルギーとして消費されやすい性質から、ダイエット効果を高める作用があるというのは本当のことのようです。

ただし、その作用は普段の食事内容をチャラにしてくれる、いくら食べても大丈夫といったものではありません。

食事や生活習慣、運動などの見直しといった基本的なダイエットと合わせて、補助的に取り入れることが大事なポイントといえそうです。

参考文献

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

日清オイリオ:「商品情報 ヘルシーリセッタ」

Kasai M, Nosaka N, Maki H, Negishi S, Aoyama T, Nakamura M, Suzuki Y, Tsuji H, Uto H, Okazaki M, Kondo K. Effect of dietary medium- and long-chain triacylglycerols (MLCT) on accumulation of body fat in healthy humans. Asia Pac J Clin Nutr. 2003;12(2):151-60.

日清オイリオ:「MCTサロン そもそも「MCT」ってなに?」

St-Onge MP, Bosarge A. Weight-loss diet that includes consumption of medium-chain triacylglycerol oil leads to a greater rate of weight and fat mass loss than does olive oil. Am J Clin Nutr. 2008 Mar;87(3):621-6.

青山 敏明.中鎖脂肪酸の栄養学的研究. オレオサイエンス3巻8号(2003)

NPO法人PDN:「Chapter2 経腸栄養 4.経腸栄養に用いられる製剤および食品 4.7 脂肪酸 ③中鎖脂肪酸(medium chain fatty acid: MCFA) 中鎖脂肪(medium chain triglyceride: MCT)」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。