2020.11.26

はちみつと砂糖はどっちが健康的?|管理栄養士執筆

甘味をつけるための調味料として広く使われている砂糖とはちみつ。
砂糖の代わりにはちみつを…といった風に置き換えて使われることもしばしばですが、健康のためを考えるとき、どちらを選ぶのがよいのでしょうか?

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はちみつ

はちみつと砂糖、原料や主成分はどう違う?

一般的な白砂糖(上白糖)は、サトウキビやてん菜のしぼり汁に含まれる糖分(ショ糖)を濃縮、結晶化させたもので、主成分はショ糖です。

いっぽう、はちみつは花の蜜が原材料。
ミツバチが集めた蜜の水分を羽ばたきによって蒸発させて濃縮させたものです。
花の蜜の時点では主成分は砂糖と同じショ糖ですが、はちみつになる過程でハチの持つ消化酵素によってブドウ糖と果糖に分解された「転化糖」と呼ばれる状態になっています。
また、上白糖とは異なり精製されていないため、蜜源植物の成分が含まれることで、含有成分、見た目、風味にそれぞれ違いが現れます。

ハチミツの色の違い

カロリーや栄養価の違いは?

砂糖は99.7%の炭水化物(糖分)と、0.7%の水分を含みます。
いっぽう、はちみつは製品によっても異なりますが、81.9%の炭水化物(糖分)のほか、17.6%の水分、0.3%のたんぱく質、微量の脂質、0.1%の無機質を含みます。*1)

では、カロリーはどう変わるでしょうか?
同じ「重さ(グラム)」で比較すると、ほぼ純粋な糖の塊である砂糖と比較して、はちみつは水分がある分カロリーは低めになります。

同じ「体積(大さじ)」で比較すると、固形の粒状で隙間ができる砂糖と比較して、はちみつは密度が高い分カロリーは高めになります。

砂糖と蜂蜜の比較

料理のアレンジなどで置き換えて使う場合にはどのように考えるべきでしょうか?

砂糖を1とした場合に、はちみつの甘味は0.84~0.91(はちみつの種類によって異なる)と報告*2)されています。
さらに、はちみつは同じ重さの砂糖よりも糖分がやや少なくなっています。(82%程度)

よって、はちみつを使って砂糖と同じくらいの甘みを出す場合には、
重さ(グラム)で測る場合:1.3~1.4倍
体積(小さじなど)で測る場合:0.55~0.6倍
にするとちょうどよさそうです。
ただし、はちみつは砂糖に比べて風味が強いので、少なめの量から試すのがよいでしょう。

健康的なのはどっち?

はちみつと砂糖を比べると、はちみつのほうが健康的なイメージを持たれることが多いように思います。
はちみつと砂糖において、健康へ与える影響に違いはあるでしょうか?

【ウワサ1:はちみつは栄養素が豊富?】
はちみつは砂糖と比較してビタミンやミネラルといった微量栄養素が豊富…といわれます。
確かに、ほぼ純粋な炭水化物である砂糖と比較するとはちみつは不純物を含むために、数字の上では砂糖より多くの微量栄養素を含みます。

しかし、その量はごく微量で、大さじ1杯のはちみつでは意味のある量をとることはできません。
よって、ビタミンやミネラルといった微量栄養素を理由にはちみつを選ぶ必要はありません。

【ウワサ2:はちみつは血糖値を上げにくい?】
食品を食べた時の血糖値の上がり方を数値で表すものとして、GI値(グリセミック・インデックス値)が用いられます。

このGI値について、はちみつは砂糖より低く血糖値を上げにくい…といわれることがあります。
しかし、実際にGI値を比較してみると、ブドウ糖を100として砂糖65±4、はちみつ61±3と報告*3)されており、ほとんど違いがないことが分かります。

(補足:GI値の基準となっているブドウ糖は砂糖とは異なる物質で、ご家庭で使うものとして一般的ではありません。また、GI値は血糖値に着目した指標であり、太りやすさとは直接的な関係はありません。)

また、摂取する糖質量をそろえて砂糖・はちみつ・果糖ブドウ糖液糖(いわゆるガムシロップで、清涼飲料によく使用される)がそれぞれ入った飲み物を飲んだ時の影響を観察した研究では、いずれの場合も体重・各種血糖値の指標・血清脂質・血圧などへの影響に違いはなかった(いずれも血中脂質が増加)と報告*4)されています。

糖類の種類にかかわらず、取りすぎには注意したほうがいいようです。

注意!はちみつは1歳未満に食べさせてはいけません

砂糖に比べて体に優しそうなイメージのあるはちみつですが、乳児ボツリヌス症をおこす危険性があるため、1歳未満の赤ちゃんには食べさせてはいけません。

ボツリヌス菌は強い毒素を出す食中毒菌ですが、熱や乾燥に強く、通常の加熱調理では死滅しない芽胞の状態ではちみつの中に含まれていることがあります。
1歳以上ではあまり心配する必要はありませんが、1歳未満の乳児の腸内環境はボツリヌス菌が定着・増殖しやすくなっており、産生された毒素により健康被害を受けやすくなっています。
まれに命にもかかわることがありますので、加熱したものであっても食べさせないように注意しましょう。

まとめ どちらも適度に楽しんで

はちみつも砂糖も調味料のひとつであり、栄養素の摂取源や健康増進のための食材としてではなく、食事をおいしくするためのものととらえるのがよいでしょう。

いずれにしても、取りすぎは摂取エネルギーの過剰のもとになります。
適度な量を守りながら、おいしく楽しむのがよいでしょう。

参考文献

*1)文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
*2)綾部 園子, 本間 千裕, 松岡 寛樹. 蜜源の異なるはちみつの甘味度と嗜好性, 日本調理科学会大会研究発表要旨集, 2011, 23 巻, 平成23年度日本調理科学会大会, セッションID D2p-18, p. 179
*3)Atkinson FS, Foster-Powell K, Brand-Miller JC. International tables of glycemic index and glycemic load values: 2008. Diabetes Care. 2008 Dec;31(12):2281-3.
*4)Raatz SK, Johnson LK, Picklo MJ. Consumption of Honey, Sucrose, and High-Fructose Corn Syrup Produces Similar Metabolic Effects in Glucose-Tolerant and -Intolerant Individuals. J Nutr. 2015 Oct;145(10):2265-72.
大日本明治製糖:「お砂糖ができるまで」
農林水産省:「広報誌aff 2009年8月号 特集2 食材まるかじり「愛しのハニー」(1)」
消費者庁:「ハチミツによる乳児のボツリヌス症」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。