投稿日:2021.04.19 | 最終更新日:2021.03.05

トクホやサプリ…信頼できる健康食品の見分け方|管理栄養士執筆

トクホや機能性表示食品、健康食品など、体によさそうな食品はいろいろありますが、どれも同じではありません。

効果や安全性についての科学的根拠の信頼性や国のお墨付きの有無など、選ぶときのポイントになるそれぞれの違いについて紹介します。

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サプリと健康食品

「健康によさそう」な食品はいろいろあるけれど…

ドラッグストアやスーパーの食品売り場には、「健康によさそう」なことを示す表示がされている商品が数多く置かれています。
「特定保健用食品」
「機能性表示食品」
「栄養機能食品」
「栄養補助食品」
「健康補助食品」…など。
どれも似ていて違いが分かりにくくなっています。

このうち、(信頼度の差はあれど)国によるお墨付きがあるものは
「特定保健用食品」
「機能性表示食品」
「栄養機能食品」の3つ。
まとめて、「保健機能食品」と呼ばれ、健康の維持増進に役立つ機能性が表示できる特別な食品です。

消費者庁による食品の分類
消費者庁:「消費者の皆様へ「機能性表示食品」って何?」より引用

いっぽう、「栄養補助食品」「健康補助食品」は、特に表示に対してのハードルはない「一般の食品」です。
機能性は認められていないため、機能性についての表示をすることはできません。

異なるのは表示の取得ハードルと信頼度

健康の維持増進に関しての機能性の表示ができる「保健機能食品」の3種の違いを整理すると、
・必須栄養素の不足を補うものか、非必須の機能性成分を摂取するものか
・非必須の機能性成分の場合、消費者庁による個別審査を受けているか、事業者による届出のみか
という点が挙げられます。

また、一般食品に分類される「いわゆる健康食品」は、機能性や安全性についての審査・届出がなされていません。

■栄養機能食品
必須栄養素(人間が健康維持のために摂取する必要がある栄養素)のうち、ビタミン13種、ミネラル6種、脂肪酸1種について、1日に必要な量が不足しがちな場合の補給・補完に利用できる食品です。
必須栄養素についてはこれまでの研究により、必要量や安全性について十分な科学的根拠が蓄積されているため、一定の基準量を含む食品であれば国への届け出をせずに「…の健康維持を助ける栄養素です」等の機能性表示(国が定めた表現)を行うことができます。
例:ビタミンやミネラルを含むサプリメントや清涼飲料水など
「ナイアシン、ビオチン及びビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」

■特定保健用食品
必須栄養素の不足を補完する目的ではないものの、健康の維持増進に役立つ機能性成分を含み、摂取することで特定の作用が期待できることを表示することができます。
特定保健用食品であることを表示するためには、原則、国の審査を受ける必要があります。

トクホマーク

消費者庁:「健康や栄養に関する表示の制度について 特定保健用食品のマークはこちら」より引用

例:難消化性デキストリンを含む清涼飲料水など
「食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、糖の吸収を穏やかにするので、食後の血糖値が気になる方に適しています」

■機能性表示食品
こちらも必須栄養素の不足を補完する目的ではなく、健康の維持増進に役立つ機能性成分を含み、摂取することで特定の作用が期待できることを表示することができます。

トクホとの違いは、機能性や安全性について国の個別審査が行われず、消費者庁への届け出のみであること。
安全性や機能性は事業者の責任において表示されるため、機能性食品としての質は事業者の知識やモラルに左右されるところがあり、実際に機能性表示食品として販売されているものの中には機能性の科学的根拠や安全性の根拠が不十分と思われるものも散見されます。
わたしたち消費者も届出されている情報を確認し、納得できるものを選択する必要があるといえそうです。

例:大豆イソフラボンを含む大豆もやし
「本品には大豆イソフラボンが含まれます。大豆イソフラボンは骨の成分を維持する働きによって、骨の健康に役立つことが報告されています。」

■いわゆる健康食品(一般食品)
国の制度を利用していない一般の食品でも、健康食品と呼ばれるものが数多く存在します。

このいわゆる健康食品は、機能性や安全性の科学的根拠が国に審査・届出されていないために機能性の表示ができないにもかかわらず、健康の維持増進に役立つようなことをうたって販売されたり、効果を期待されて摂取されたりしているため、問題視されているものが多く存在します。

問題点①機能性の科学的根拠が示されていないのに健康増進に役立つようなうたい文句
例:「毎日のすっきりをサポート」など→(科学的根拠はないのに)便秘解消に効果があるように受け取られる

問題点②安全性についての検討がずさんなものもある→濃縮エキスなど通常以外の食品形態の場合、過剰摂取による健康被害を受ける可能性がある。

問題点③「効果がある」のに国の審査を受けていないものは、違法に医薬品成分が含まれている可能性がある→本来、使用料を厳密に管理する必要のある医薬品成分を知らずに摂取することにより、健康被害を受ける可能性がある。

目的とあったもの、信頼できるものを選びたい

健康によさそうな食品はどれも似た印象になりがちですが、表示されている製品の質、信頼性には大きな違いがあります。

保健機能食品等の分類自分の目的に合ったもの、機能性や安全性について信頼できるものを選ぶようにしたいですね。

いずれも「食品」病気の治療や予防を目的としたものではない

また、いわゆる健康食品だけでなく、国のお墨付きがある保健機能食品についてもいえるのが、「あくまで食品であり、薬ではない」ということ。

対象となるのはあくまで健康な人であり、治療に使うものではありません。
また、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という表示が義務付けられており、バランスの取れた食生活を心掛けたうえで取り入れるものとされています。

「これさえ摂取すれば健康になれる」というものではないことを覚えておきたいですね。

参考文献

消費者庁:「健康や栄養に関する表示の制度について」

内閣府食品安全委員会:「「健康食品」に関する情報」

内閣府食品安全委員会:「いわゆる「健康食品」について」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。