2021.07.12

低GI食品は健康やダイエットにいい食べ物なの?|管理栄養士執筆

お菓子などのパッケージにも見かけることの多い「低GI食品」の文字。
GIは食後の血糖値の上がり方に関する指標で、低GI食品は健康によく、ダイエットに効果ありといわれることもあるようですが、低GI食品を選ぶことで疾病予防やダイエットの後押しになるのでしょうか?

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低GI食品

GI値(グリセミック・インデックス)とは?

GI(グリセミック・インデックス)とは、食品ごとの食後の血糖値の上がり方を表す数値です。

含まれる糖質量が50gになる量の食品について、食べた後120分間の血糖値の上がり方を表した曲線(血糖上昇曲線)から得られる面積(血糖上昇曲線下面積)を比較します。
基準となる食品(ブドウ糖、白パン、白米など)の血糖上昇曲線下面積を100として、対象となる食品の血糖上昇曲線下面積をGI値として表します。

GIの模式図

注意が必要な点は、基準となる食品が何か、と数値は絶対的なものではない、ということ。
現在の基準となる食品はブドウ糖が標準ですが、調査によってはブドウ糖よりGI値の低い白パンや白米ごはんを基準としたものもあり、単純な比較ができないものもあります。

また、健康な人であっても血糖値の上がり方には個人差があることから、同じ食品であっても調査ごとにGI値にはズレが生じるため、絶対的な数値ではないという点が挙げられます。

補足:血糖値とブドウ糖について

■血糖値について
血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のこと。
ブドウ糖は全身のエネルギー源となるもので、空腹時でも一定レベルの濃度を保っています。

食事をすると、食べ物に含まれるブドウ糖が血管内に吸収されることで一時的に濃度が上昇し、2時間ほどで空腹時のレベルまで下がります。

食後に血糖値が上がること自体は自然な現象ですが、時間がたっても血糖値が高い状態が続いてしまう疾患が「糖尿病」であり、血管にダメージを与え、長期にわたると動脈硬化や網膜症などの合併症につながります。

低GI食品は高GI食品よりも血糖値が上がりにくい(下がりやすい)ため、糖尿病のリスクが低い食品と考えることができます。

■ブドウ糖=砂糖?
誤解されやすいですが、ブドウ糖と砂糖は別の物質。
ブドウ糖は日常的にはあまり身近な食材ではありません。

糖の違い

そのため、GI値も異なり、ブドウ糖を100とすると砂糖は65前後となります。
はちみつのGI値(61)などを挙げて砂糖より健康的…とされることもありますが、実際にはほとんど差はありません。

はちみつのGI

GI値の高低と身近な食品のGI値

様々な食品のGI値をデータベース化しているシドニー大学の区分では、
70以上:高GI(基準:ブドウ糖)
56~69:中GI
55以下:低GI
としています。

身近な食品のGI値を見てみると、同じ主食とされるものでも、GI値には比較的差があることがわかります。
ブドウ糖103±3
コーンフレーク81±6
じゃがいも(ゆで)
78±4白パン75±2
全粒粉パン74±2
白飯73±4
玄米ごはん68±4
砂糖(ショ糖)65±4
じゃがいも(フライ)63±5
うどん55±7
バナナ51±3
スパゲティ49±2

また、GI値は食べ合わせによっても変化することが知られています。
山芋や納豆のような粘りのある食品、食物繊維が豊富な食品、油脂などと一緒に取ることで食事のGI値が下がることが報告されています。

低GI食品はダイエットや健康にいい?

低GI食品はダイエットや健康によい…と紹介されることも少なくありません。

体脂肪の蓄積や肥満には食事や運動による「エネルギー(カロリー)」の過不足がかかわっていますが、エネルギーの多い少ないは血糖値の上がり方とはあまり関係がありません。
(油脂はエネルギーの高い食品ですが、糖質を含まないため血糖値を上げません)

Giとカロリー

よって、ダイエットのために低GI食品を選ぶ…というのは、必ずしも良い選択にはならないということになります。

また、習慣的な食事のGIが高いほど糖尿病にかかりやすく、低いほどかかりにくいとする研究報告もあることから、糖尿病の予防のために低GI食品を選ぶという考え方もあります。

しかし、糖尿病のリスク要因となるのはGI値だけではありません。
むしろ、肥満や運動習慣、食塩摂取量、飽和脂肪酸摂取量などのほかの要因のほうが関連度は高いと考えられています。
低GI食品を選ぶこと自体は健康的な選択になりますが、体重の管理や運動、減塩、飽和脂肪酸の摂取量抑制などのほうがより優先度が高いといわざるを得ず、あくまで付加的なものと考えるのがよさそうです。

まとめ 健康的な食品の指標のひとつだけど…

GI値は血糖値から見た「健康的な食品」の指標の一つといえますが、ダイエットとの関連は少なく、また、糖尿病予防についても絶対的なものではないようです。

いずれにしても、「低GI食品は安心」といって、いくらでも食べていいものでもありませんので、日ごろからバランスの取れた食生活を心掛けたいですね。

参考文献

Brand-Miller JC, Stockmann K, Atkinson F, Petocz P, Denyer G. Glycemic index, postprandial glycemia, and the shape of the curve in healthy subjects: analysis of a database of more than 1,000 foods. Am J Clin Nutr. 2009 Jan;89(1):97-105.

Taniguchi A, et al. Natto and viscous vegetables in a Japanese style meal suppress postprandial glucose and insulin responses. Asia Pac J Clin Nutr 2008; 17: 663-8.

Atkinson FS, Foster-Powell K, Brand-Miller JC. International tables of glycemic index and glycemic load values: 2008. Diabetes Care. 2008 Dec;31(12):2281-3.

シドニー大学 グリセミックインデックスデータベース

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(はちみつについて)

Greenwood DC, et al. Glycemic index, glycemic load, carbohydrates, and type 2 diabetes: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. Diabetes Care 2013; 36: 4166-71.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。