2021.02.08

冷凍野菜は生鮮野菜と比べて栄養価は下がるの?|管理栄養士執筆

健康のために新鮮な野菜はたっぷりとりたいものですが、忙しい現代、すべての食事をいちから手作り…というのはかなり難しいもの。

そこで、便利なのが「冷凍野菜」ですが、その栄養価が心配…という声もあるようです。
市販の冷凍野菜は生鮮野菜と比較して栄養価に劣るのでしょうか?

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冷凍野菜

冷凍野菜ってどんなものがある?

スーパーやコンビニなどでも手に入る冷凍野菜は、皮むきや下茹でなどの下処理が済んだ状態で冷凍されており、時短調理に便利な商品です。

ほうれん草やブロッコリーなどが一般的ですが、最近ではその種類も豊富で、和食や洋食にそれぞれ使いやすい野菜をミックスしたもの、揚げナスなども冷凍野菜として購入することができます。

冷凍されているとはいえ、加工から食卓に上がるまでにある程度時間がかかるため、栄養価の低下を心配する声もあるようです。

冷凍野菜の栄養価は?

生野菜を家で調理したものと市販の冷凍野菜においては、「栄養価に問題はない」と考えられます。

理由はいくつかありますが、
・旬の時期に収穫・加工されたものが多いこと
・ブランチング処理により栄養素の消費が止まること
・輸送・保管中の冷凍保存により栄養素の損失がないこと
が挙げられます。
それぞれの理由について詳しく解説します。

冷凍ブロッコリー

■旬の時期に収穫・加工されたものが多いこと
メーカーによって製造工程は異なるものの、冷凍野菜の原料となる野菜の多くは旬の時期に収穫されたものが多いようです。
旬の野菜は価格も安く、収穫量も多いため、メーカーにとって利点となります。
加えて、旬の野菜は味がよく、栄養価も高い傾向があるため、消費者にとってもいいことづくめです。
生鮮野菜として出回らない冷凍野菜は品質が劣る…というのはよくある勘違いのひとつといえるでしょう。

■ブランチング処理により栄養素の消費が止まること
ブランチングとは、熱湯や蒸気により7~8割ほど火を通すこと。
生野菜は収穫後も生きているため、保存しているうちに栄養素も消費されて減少していきます。
冷凍野菜の製造工程では、収穫後に洗浄、カット、ブランチング(加熱)を行います。
加熱工程によって野菜の細胞の活動が停止するため、栄養素の損失だけでなく、組織の劣化や偏食も防いでいます。

加熱工程であるためビタミンCなどの熱に弱い栄養素の一部が失われますが、加熱を行うのは家庭での下茹で調理でも同じであり、口に入る段階での栄養素の損失に差はあまりないと考えられます。

■輸送・保管中の冷凍保存により栄養素の損失がないこと
生鮮野菜と冷凍野菜ではっきりと異なるのは、保存期間の長さです。
そのために栄養素の損失が気になりますが、輸送中、保存中と-18℃以下の低温が保たれるため、栄養価はあまり変化しないようです。
冷凍野菜のビタミンC含有量の保存中の変化を計測した実験*1)では、12か月後でも大部分が残存していることが示されていました。

生鮮野菜は輸送・保存中の環境によって栄養素の損失が起こることを考えると、野菜の取り扱い方によっては、冷凍野菜のほうが栄養素の損失が少ないという場合もありそうですね。

食感が劣ることが弱点かも

冷凍野菜は生鮮野菜と比較しても栄養価に問題はありませんが、どうしても劣ることが多いのは食感ではないでしょうか。

メーカーや商品それぞれによっても異なりますが、ブランチング処理によりある程度火が通っているので、家庭での仕上げ調理の際に加熱しすぎて柔らかくなりやすく、また、冷凍処理によって水分が抜けたような食感になりやすいようです。
野菜の組織が冷凍によって壊れてしまうため、そもそも冷凍に向かないものもありますね。

このようなことから、冷凍野菜では葉物野菜は水っぽく、根菜は水分が抜けてスジっぽい食感が気になることが多いようです。
なるべく気にならないように調理するには、冷凍野菜は汁気のあるもの(ラーメンや煮込み料理など)やしっかり味付けの料理(カレーやパスタなど)に使うのがよいのではないでしょうか?

おひたしや温野菜、蒸し野菜のような素材の味を活かす料理には、生鮮野菜を調理したほうが適しているといえそうです。

おすすめの冷凍野菜の活用法

忙しくて調理の時間が取れない時でもできる、冷凍野菜を使って簡単に野菜を増やすメニュー例を紹介します。

・レトルトカレー+洋風野菜ミックス
あまり具の入っていないレトルトカレーに、ごろっと大きめサイズのにんじん・ブロッコリーがミックスされた冷凍野菜をプラス。
彩りもよく、ボリュームアップもできます。

・インスタントラーメン+ほうれん草+青ネギ
インスタントラーメンを鍋で煮るのと一緒にほうれん草と青ネギもプラス。
レンジ解凍の手間もなく、手軽に野菜の栄養を増やせます。

まとめ 便利な冷凍野菜。時短と栄養価アップに役立てて!

近年は種類もどんどん増えてきて便利な冷凍野菜。
すべての野菜を冷凍でまかなうことはできませんが、忙しいときの時短のため、手軽な栄養価アップには便利な食材です。

生鮮野菜をいちから料理することは素晴らしいことですが、忙しい現代ではそれが難しいことも現実です。
便利なものを上手に活用して、無理なく健康的な食事にしたいですね!

参考文献

辻村 卓, 荒井 京子, 小松原 晴美, 笠井 孝正. 冷凍あるいは凍結乾燥処理した野菜・果実中のビタミン含有量に及ぼす通年貯蔵の影響. 日本食品保蔵科会誌 VOL.23 NO.1 35-40 (1997)

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。