
食中毒もいろいろ
食中毒といってもその原因はさまざま。
腸管出血性大腸菌O-157、カンピロバクター、サルモネラなどの細菌が原因となるもののほか、ノロウイルスなどのウイルスが原因となるもの、ヒスタミンなどの食品由来の化学物質が原因となるもの、アニサキスなどの寄生虫が原因になるものなどがあります。
今回は頻度の高い細菌性、ウイルス性の食中毒に対しての対策について紹介します。
食中毒が起こるのはなぜ?
食中毒の原因になる細菌やウイルスは土壌・海水・生肉や生卵などの食材、ヒトの手や傷などに存在します。
これらの細菌・ウイルスが食品につき、食品中で増殖します。
多くは30~40℃の温度帯で急速に増殖、種類によっては増殖に伴って毒素を生成するものもあります。
食中毒の原因となる細菌やウイルスが増殖した(または毒素の生成した)食品を人が食べることで下痢や嘔吐、腹痛などの食中毒の症状が現れます。
食中毒を起こさないためには、この流れのどこかで原因となる細菌やウイルスのはたらきを止めること。
食中毒の原因となる細菌やウイルスを「つけない」「増やさない」「殺菌する」ことがポイントです。
食中毒のよくある誤解
「食べ物が腐っていたらにおいや味でわかるでしょ」と思う人も少なくないかもしれません。
腐敗というのは(食中毒菌に限らず)細菌によって食品の成分が分解されているために不快なにおいや味がするもので、食中毒を起こす状態と腐敗している状態とはイコールではありません。
見た目・匂い・味に違和感がなくても食中毒が起こることはあるため、調理や保管状態に気を配る必要があります。
また、新鮮な食材であれば食中毒を起こさないということはなく、例えば生の鶏肉には鮮度にかかわらず食中毒を起こすカンピロバクターという細菌が高い確率で存在します。
また、免疫力を付ければ…ということもありません。
体調が悪いときや免疫の働きが不十分な乳幼児は食中毒症状が強く出ることは考えられるものの、いくら健康に気を使っていても、食中毒にならないという保証はありません。
食中毒の予防において最も大事なのは食中毒の原因となる細菌やウイルスを生きたまま体内に入れないことです。
買い物から食事作り、食べるまでに気を付けたいポイント
食中毒を起こさないために「つけない」「ふやさない」「殺菌する」というポイントは、「食中毒予防の三原則」と言われています。
食材の購入から食べるとき、保存に至るまでこの三原則を守ることで食中毒を防ぐことができるので、注意したいポイントを紹介します。
■買い物~帰宅まで
生肉、生魚は細菌を含むドリップが液漏れしないようビニール袋へ(ほかの食材につけない)
要冷蔵品は低温を保てるよう保冷剤や保冷バッグを活用する(ふやさない)
■調理までの保存
生肉、生魚はドリップがほかの食品につかないようにトレーなどを活用する(つけない)
冷蔵庫は温度を上げないように管理する(ふやさない)
■調理中
手をしっかり洗う(手指由来の菌を付けない)
生ものを扱うときは使い捨て手袋などを利用する(食材の菌を手に付けない)
まな板や包丁などの調理器具は使うたびにしっかり洗う、または使い分ける(つけない)
生肉などの食材と生食する食材を近くに置かない(つけない)
下ごしらえから加熱調理まで時間が空くときは冷蔵庫にて保存する(増やさない)
加熱は食材の中心温度が75℃以上を1分キープする(殺菌する)
(ノロウイルスの恐れがあるものは85℃以上1分)
加熱後の食材に素手で触れない(手の菌を食品につけない)
■盛り付けから喫食、保存まで
出来上がったらなるべく早めに食べる(増やさない)
お弁当など、食べるまでに時間が空くときは十分に冷まし、保冷材などを活用して低温を保つ(増やさない)
残り物を保存するときは清潔な容器に移し、冷蔵または冷凍で保存する(ふやさない)
保存したものは早めに、十分に再加熱してから食べる(殺菌する)
まとめ しっかり対策をとって安全な食事を!
食中毒は命にもかかわることもあるものですが、しっかり対策を行うことで防ぐことができるものでもあります。
とはいえ、食中毒が疑われる症状が出た時は、早めに医療機関を受診してくださいね。