
カット野菜は栄養がなくなってしまっているの?
カット野菜は不要部分を除く下処理とカット作業ののち洗浄・殺菌を行い、脱水されて包装されます。
このうち、カットの後の洗浄・殺菌工程において栄養成分が流れ出て行ってしまうのでは?と心配する声が多いようです。
カット野菜のメーカーが行った調査では、工場で洗浄された野菜と家庭で水洗いされた野菜の栄養素についてどれだけ残っているかを比較したところ、ビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄についてはほとんど違いがなく、80~90%の栄養素が残っていることが報告されています。*1)
製造工程によって栄養素が抜けてまったくなくなってしまうということはなく、家庭での洗浄とほぼ変わらないのであれば、栄養素の面では安心して使うことができそうですね。
安全面・衛生面は大丈夫?
「カット野菜は消毒液につけられていて体に悪いのでは?」という噂がささやかれることもあります。
しかし、カット野菜の洗浄・殺菌に使われる電解次亜塩素酸水などの殺菌水は人体に影響のない使用方法で取り扱われており、かつ、最終的な製品には残留していないため、私たちの体に悪影響が及ぶことはありません。
また、カット野菜がカットされてから一般家庭に届くまで品質を保てるのは、殺菌水の作用に加え、切れ味の良いスライサー、十分な脱水作業、包装フィルムの機能性や窒素充填により酸素が取り除かれていること、低温での輸送・保管などといった様々な配慮がなされているためです。
とはいっても、消費期限は出荷日を含めて5日程度が限界で、丸ごとの野菜に比べると日持ちはしないので注意が必要です。
買い置きはせず、開封したら使い切るようにするといいですね。
野菜不足の救世主に!
野菜は1日350gを目標に…といわれるように、たっぷりの野菜を食事に取り入れるのは健康的な食事のポイントのひとつ…ですが、丸ごとの野菜をいちから料理しようとすると、洗って、皮をむいて、切って…という風に手間がかかってしまいます。
忙しい現代においては、洗わずそのまま料理に使える、または食べられるカット野菜は野菜不足の解消に役立つもののひとつです。
お肉に炒め物用のカット野菜を加えて野菜炒めにしたり、ラーメンなどのトッピングにしたりと、包丁を使わずに野菜のおかずを食卓にプラスすることができます。
ただ、1日350gの野菜のうち、120gは緑黄色野菜であることが望ましいとされています。
対して、カット野菜はキャベツやもやしなどの単色野菜に偏りがちなので、野菜は取れても緑黄色野菜は少なくなりやすいのが弱点かもしれません。
カット野菜を買うときににんじんやパプリカといった緑黄色野菜が含まれているものを選んだり、カット野菜以外にトマトや豆苗といった取り入れやすい緑黄色野菜をプラスするようにしたりするとより栄養的に理想に近づくのではないでしょうか。
カット野菜の注意点
カット野菜は保存性を高めるために野菜表面の水分を取り除いているため、サラダ用のものでは生野菜と比較してパサパサ感を感じやすいかもしれません。
キャベツの千切りよりもサラダ用レタスのほうが表面積が少なくパサパサ感が少ないため、水分の少なさは気にならないかも。
また、加熱調理用のカット野菜は調理の過程で気にならなくなることがほとんどですので、パサパサ感が苦手な人は、生で食べるものと調理して食べるもので上手に使い分けるのも一つの方法かもしれません。
価格についてはやはり丸ごとの生野菜と比較すると割高になることが多いカット野菜。
しかし、少量ごとの包装であるために食べきれないということはなく、無駄にすることは少なそうです。
また、天候などの影響で野菜が高騰している時期でもあまり価格が変わらないため、かえって経済的といえる場合も多そうです。
まとめ
カット野菜だからと言って栄養価が低いということはありません。
また、安全性にも問題はなく、安心して日々の食事作りに役立てることができそうです。
もちろん、価格の面や食感など、丸ごとの生野菜を過程で調理するのとは異なる面もありますが、使い方次第で通常の野菜とそん色なく、またはそれ以上に効果的に、野菜たっぷりの健康的な食事をとることに活用できそうですね。
参考文献
太田 英明,菅原 渉.カット野菜の品質保持研究の現状 調理科学Vo1,19No.4(1986)