
年齢ごとのカルシウムの摂取基準値
からだが成長していく時期の子どもたちにとって、骨の主な材料となるカルシウムは特に重要な栄養素といえます。
体重に対して必要とするカルシウムの量は大人よりもかなり多く、食事摂取基準2020年版における推奨量は男女とも12~14歳で最大となります。
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書より作成
子どもたちのすこやかな成長のためにも、カルシウムは不足しないように気を付けたいポイントです。
カルシウムの摂取量は不足しがち
平成28年の国民健康・栄養調査によると、どの世代でもカルシウムの摂取中央値(平均値ではなく、データを小さい順に並べた時の中央に位置する数値)は摂取推奨量を下回っており、半数以上がカルシウムの摂取が十分ではないことが分かっています。
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書、厚生労働省:「平成28年度 国民健康・栄養調査」より作成
からだが成長する時期の子どもたちはもちろん、成長期が終わった大人世代でも、骨や歯の健康維持のためにカルシウムはしっかりとっていきたいですね。
カルシウムを多く含む食材
積極的にとりたいカルシウムは小魚や乳製品、大豆製品、緑黄色野菜など様々な食品に含まれていますが、それぞれの食品ごとに吸収率は異なるようです。
(食事摂取基準2020年版における摂取推奨量等の数値は吸収率を考慮されたものです)
それぞれの食品においてカルシウムの吸収率を比較した研究では、牛乳は39.8%、小魚は32.9%、野菜は19.2%と報告されており、カルシウムの吸収率では牛乳が特に優れていることが分かります。
体の大きさ・食べる量に対してたくさんのカルシウムが必要な子どもたちにとって、牛乳や乳製品はカルシウム摂取のためには効率的な食品です。
■食品ごとの1回量と1回量に含まれるカルシウムの量
- 牛乳…1回量150g(コップ1杯) カルシウム170㎎
- ヨーグルト…1回量70g(小分けパック1個) カルシウム84㎎
- プロセスチーズ…1回量15g(個包装1個) カルシウム95㎎
- スキムミルク…1回量6g(大さじ1) カルシウム66㎎
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」をもとに作成
乳製品は、それぞれの特性に合わせていろいろな場面で使えるのが魅力です。
- 朝食にヨーグルトやチーズをプラス
- おやつの時間の飲み物として牛乳をプラス
- ホットケーキミックスにスキムミルク(脱脂粉乳)を混ぜ込む
…という風に、いろいろな方法で取り入れるようにすると、無理なくカルシウムの摂取量を増やすことができるのではないでしょうか?
乳製品以外でカルシウムを多く含む食品
牛乳や乳製品と比較して吸収率が劣るとはいえ、食事のバリエーションを保つ意味でも、いろいろな食材を柔軟に取り入れていくことをおすすめします。
■食品ごとの1回量と1回量に含まれるカルシウムの量
- しらす(微乾燥品)…1回量20g カルシウム56㎎
- サクラエビ(素干し)…1回量5g カルシウム100㎎
- 煮干し(煮干し)…1回量10g カルシウム220㎎
- 木綿豆腐…1回量100g(1/3丁) カルシウム93㎎
- 小松菜(生)…1回量50g(1/4束) カルシウム85㎎
- ゴマ(いり)…1回量3g(小さじ1) カルシウム36㎎
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」をもとに作成
ただし、しらすなどの小魚、サクラエビなどはカルシウムのほかに塩分(ナトリウム)も比較的多く含んでいるので、あまり偏りすぎないようにすると安心です。
まとめ
カルシウムは体の成長が著しい子どもたちだけでなく、大人にとっても大事な栄養素です。
生涯にわたって健康的な生活を送るためにも、取り入れそうなものから摂取量を増やしてみてはいかがでしょうか?
カルシウムの働きと摂取源になる食品について、より詳しく解説した記事はこちら
参考文献
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書