2021.03.04

人工甘味料は危険?不使用のものを選ぶべき?|管理栄養士執筆

人工甘味料は砂糖よりも低いカロリーで甘味を楽しめることから、お菓子や清涼飲料など、いろいろな食品に使用されています。

しかし、人工的に作られたものであることから安全性を不安視する声も。
人工甘味料は体に悪いもので、避けるべきなのでしょうか?

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甘味料

人工甘味料とは?

「人工甘味料」は特定の物質ひとつを指す言葉ではなく、いくつかの甘味料を総称した呼び方です。

文字通り、人工的に化学合成されることによって作られた甘味料という意味で、代表的なものとしては
アスパルテーム
アセスルファムカリウム
スクラロース
サッカリン
などが挙げられます。

いずれも日本国内の食品衛生法では「指定添加物」に該当し、使用基準に従う必要があります。

ちなみに、人工甘味料=ゼロカロリー甘味料というイメージが強いですが、厳密にはイコールではありません。

キシリトールやステビアといったゼロカロリー甘味料は天然に存在するものであり、人工甘味料というくくりでは該当しません。

甘いのにカロリーゼロなのはなぜ?

人工甘味料が甘い味なのにカロリーがゼロになるのは、
・カロリーはあるが甘味が強いため
・ヒトの消化管では消化吸収されないため
などの理由があり、甘味料の種類によって異なります。

■カロリーはあるが甘味が強いため
人工甘味料のうち、アスパルテームのエネルギーは砂糖と同じ1gあたり4kcalです。
しかし、甘味は砂糖の200倍となっているため、同じ甘さになるように使うと、「ほぼ」カロリーゼロとなるのです。
例:スティックシュガー5g:20kcal
  アスパルテーム0.025g:0.1kcal(同じ甘さ)

■ヒトの消化管では消化吸収されないため
アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンはヒトの体で消化吸収されないためにエネルギーとならないためにカロリーゼロとなります。
また、これら3種も重さあたりの甘味は砂糖よりもかなり強く、
アセスルファムカリウム:200倍
スクラロース:600倍
サッカリン:200倍
となっています。

人工甘味料は毒?

加工食品の中には、「人工甘味料不使用」などをセールスポイントとしている商品も少なくありません。
このような状況から、人工甘味料は体の害になるのでは?という不安を持つ方もいるのではないでしょうか。

買い物

しかし、前提として、どんな物質も過剰量を摂取することは健康を害する可能性があります。
少しでもリスクのあるものは避けたいと考えてしまうことは不思議なことではありませんが、実際にはリスクがゼロのものだけを食べて暮らしていくことは不可能です。

必須栄養素と呼ばれるものであっても、極端な量をとることで体へ害を及ぼすことがありますが、だからと言って毒であるとは考えません。

大事なのは、リスクがあるかどうかということではなく、
・どのくらいの摂取量で健康に影響するのか
・1日あたりどのくらいの量であれば健康に影響しないのか
・普段の食生活でどのくらいとっていて、その摂取量で影響はあるのか
ということです。

人工甘味料は指定添加物として、過剰摂取による人体への影響について検討されており、一日摂取許容量(ADI)(ヒトが毎日・一生摂取し続けても健康に悪影響がないと考えられる量)が示されています。

国内外の専門機関の評価では、
アスパルテーム:40㎎/㎏体重/日*1)*2)
アセスルファムカリウム:15㎎/㎏体重/日*2)*3)
スクラロース:15㎎/㎏体重/日*1)*2)
サッカリン:3.8㎎/㎏体重/日*3)
*1)欧州食品安全機関EFSA
*2)FAO/WHO合同専門家委員会
*3)内閣府食品安全委員会

といった数値が示されています。

一方、厚生労働省では私たちが日ごろどのくらいの量の添加物を摂取しているかの調査を行っており、平成27年度の調査では、
アスパルテーム:定量限界未満
アセスルファムカリウム:1.357㎎/人/日(20歳以上の平均体重58.6㎏に対するADIの0.15%に相当)
スクラロース:0.825㎎/人/日(20歳以上の平均体重58.6㎏に対するADIの0.09%に相当)
サッカリン:0.112㎎/人/日(20歳以上の平均体重58.6㎏に対するADIの0.05%に相当)

という結果が得られており、いずれの摂取量もADIを大きく下回っており、通常の食生活では人工甘味料による健康への被害が起こることは考えにくいと結論付けられています。

積極的にとるものでもないが、過剰に避ける必要もない

人工甘味料は過剰摂取による健康への影響があるということは間違いではありませんが、リスクがあること自体はどの食品成分にも共通することです。

国際的にも安全な摂取量が示されており、さらに日常的な摂取量はこの量を大きく下回っていることからも、日常生活では心配する必要はほとんどありません。

もちろん、常識を外れたような摂取をしてもいいということではありませんが、人工甘味料不使用をうたう商品をわざわざ選ぶ必要はない…というのが実際のところです。

まとめ 上手に活用することが大事

人工甘味料=体に悪いもの、というイメージを持つ人は少なくありませんが、人工甘味料は甘味に対して低カロリーであり、血糖値を上げないという特性から、体重管理が必要な人や、血糖コントロールが必要な人にとってはとても役立つ調味料になりうるものでもあります。

「人工物=毒」といった思い込みは食事の幅を狭めることにもつながりかねないため、それぞれの成分に対して正しい認識を持ちたいですね。

参考文献

内閣府 食品安全委員会:「一日摂取許容量(ADI)とは?」

内閣府 食品安全委員会:「食品安全関係情報詳細 欧州食品安全機関(EFSA)、食品添加物としてのアスパルテーム(E 951)の再評価に関する科学的意見書を公表」

内閣府 食品安全委員会:「食品安全関係情報詳細 欧州食品安全機関(EFSA)、食品添加物スクラロース(E 955)について提案されている幼児向け特別医療目的食品への使用拡大の安全性に関する科学的意見書を公表」

内閣府 食品安全委員会:「評価書詳細 アセスルファムカリウム」

内閣府 食品安全委員会:「評価書詳細 サッカリンナトリウム」

WHO:「Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) ACESULFAME POTASSIUM」

WHO:「Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) ASPARTAME」

WHO:「Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) SUCRALOSE」

WHO:「Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) SODIUM SACCHARIN」

厚生労働省:「マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。